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作品詳細

ISBN:978-4-7576-0746-0 C3381
らんしょやくじゅつごこうそう
研究叢書460 蘭書訳述語攷叢
定価(税込): ¥14,300
表紙 著作者よみ よしのまさはる 
著者名 吉野政治 著 著書検索
発売日 2015年05月15日
ジャンル 語彙・意味・東洋思想(中国・インド・イスラーム)・日本史(近世)・散文 - 近世
判型A5/504頁

西洋の学術書の翻訳は日本に新しい世界観やものの見方をもたらしたが、その翻訳に取り組んだ蘭学者たちの課題の一つは、如何に東洋の思想を克服した訳語を造るかにあった。本書では、西洋の天文学・暦学、地理学・地学、物理学・化学、植物学におけるいくつかの重要概念が、今日でも用いられている訳語だけでなく、忘れ去られていった訳語も含めて、どのように東洋思想を克服したのか、あるいは克服できずに終わったのかを、それまでの日本ではそれに関わることがらがどのように捉えられていたのかをも明らかにしながら検討する。あわせて、今日ではその存在がほとんど知られていない重山文庫所蔵(新村出旧蔵書)の伊藤圭介宛のシーボルト書翰の堀辰之助による翻訳とその訳文に手を加えた伊藤圭介自身の訳、またシーボルト事件が影を落としている伊藤圭介の『泰西本草名疏』の自筆原稿を紹介し、さらに小川友忠著『西洋時辰儀定刻活測』の翻刻を付す。

目次
はじめに
序篇 蘭書の訳述
   翻訳の文体と漢語の術語
     1 翻訳の文体
     2 術語としての漢語と訳語の採用順序
     3 漢語への新しい意味賦与と新字の製作
     4 漢語と蘭語の造語力
     5 訳語に対する蘭学者の態度
     6 意訳の功罪
   三訳法の起源とその名称
     1 浮屠氏訳法と『翻訳名義集』
     2 蘭学者たちの三訳法の名称
     おわりに
第一篇 天文学・暦学のことば 
   「地動説」ということば ―中山茂氏説続貂―
はじめに
     1 「地動説」についての中山茂氏の指摘
     2 本木良永の「コペルニクスの窮理」等と航海術
     3 志筑忠雄の「地動の説」と陰陽説
     4 吉雄南皐の「地動説」と西洋天文学
     おわりに
   「惑星」と「遊星」
     はじめに
     1 〈恒星〉の名称
     2 〈惑星〉の名称1 ―「五星」・「五行」・「五歩」―
     3 〈惑星〉の名称2 ―「五緯」・「緯星」―
     4 〈惑星〉の名称3 ―「惑星」と「遊星」―
     5 〈惑星〉の名称4 ―「行星」―
     おわりに
黄道十二宮の星座名
     はじめに
     1 日本に伝わった西洋黄道十二宮
      1―1 南蛮紅毛との交易から
  1―2 イエズス会の教科書から
      1―3 在華宣教師による漢訳書から
      1―4 蘭書・蘭人から
     2 蘭学書に見える十二宮漢名と現在の十二宮星座名の源流
     おわりに
     補説 曼荼羅の十二宮について
   七曜日
     はじめに
     1 本木良永『星術本原太陽窮理了解新制天地二球用法記』
     2 前野良沢『七曜直日考』
     3 吉雄南皐『遠西観象図説』
     4 蘭学者の説明に対する補足と考察
      4―1 「命理占候の天学」と西洋の「星の占」の関係について
      4―2 七曜値日の起源について
      4―3 曜日の訳語について
      4―4 七曜の時の順序について
      4―5 一週の始まりについて
     おわりに
第二篇 地理学・地学のことば
   アジア州とヨーロッパ州 ―一州か二州か―
     はじめに
     1 諸書に記す世界の大州の数
     2 メガラニカ州とオーストラリア州
     3 五大州説への疑問
     4 ヨーロッパ大州とアジア大州との区別
     5 佐久間象山の「五世界」
「経・緯」―タテ・ヨコと方向―
     はじめに
     1 経・緯 ―東洋のタテ・ヨコと方向―
     2 longitude・latitude ―西洋のタテ・ヨコと方角―
     3 和蘭通詞の気づきと大槻玄沢の「経線・緯線」
     4 在華宣教師の漢訳語「経線・緯線」「経度・緯度」
     5 吉雄南皐の『遠西観象図説』の「経度・緯度」の説明
     おわりに
   本初子午線と東経三百六十度
     はじめに
     1 福島と東経三百六十度
     2 世界経度と国内経度
     3 ハリソンのクロノメーター
     4 グリニッジ子午線と「東経・西経」
     5 日付変更線
     おわりに
  「化石」の変質
     1 牧野富太郎の「化石」川本幸民造語説
     2 幸民以前の蘭書に見える「化石」
     3 本草学等に見える「化石」
     4 木内石亭と平賀源内の化石観
     5 西洋地質学における「化石」
第三篇 物理学・化学のことば
  青地林宗による時間語彙の創出
     はじめに
     1 西洋時間との出会い
     2 時間と角度
     3 「○分時」「○秒時」の成立
     4 「○分時間」「○秒時間」の成立
     5 「○時間」の成立
     6 「時間」の成立(松井氏案)
     7 「時間」の成立(私案)
     おわりに
  「ヱレキテル」から「電気」へ
     1「ヱレキテル」から「電気」へ
     2「魄力」という訳語
     3「電気」という訳語
     おわりに
七色の虹のはじまり
     はじめに
     1 陰陽五行説以前の虹
     2 陰陽五行説の虹(二色と五色また単色の虹)
     3 南蛮天文学の虹(三色の虹)
     4 陰陽五行説と南蛮天文学の折衷説
     5 プリズムを通した光の色の数(五色あるいは六色の虹)
     6 ニュートン説による七色の虹
     7 翻訳の問題
「元行」から「元素」へ
     はじめに
     1 「元素」の初出
     2 Hoofdstof の訳語としての「元素」
     3 「元行」を用いなかった理由
     4 「実素」を用いなかった理理
     5 「○素」以外の訳語
     6 宇田川榕菴の先駆性
     7 Element の訳語としての「元素」
     8 Hoofdstof の造語成分の逐語訳としての「元素」 
第四篇 植物学のことば
   宇田川榕菴の植物部位名の特徴
     はじめに
     1 西洋近代植物学輸入以前の植物部位に関する和名
      1―1 日本固有の植物部位名
      1―2 本草学における植物部位名
     2 西洋近代植物学訳述書における部位名
      2―1 『植学啓原』の部位名
      2―2 李善蘭等の『植物学』の部位名
      2―3 『植学啓原』と『植物学』の部位名の比較
     3 榕菴の生殖機関部位の訳語の特徴
     おわりに
「鬚蕊・心蕊」から「雄蕊・雌蕊」へ
     1 古典文学と本草学の蕊
     2 Helmstijltje と Stampertje
     3 「鬚蕊・心蕊」という訳語
     4 「雄蕊・雌蕊」という訳語
     5 「蕊・心蕊」「鬚蕊・心蕊」「雄蕊・雌蕊」
     おわりに
「歳輪」(年輪)
     1 板面に現れる模様をいう和語
     2 木(もく)目(め)と木(もく)理(り)
     3 本草学における「木理」
     4 「歳輪」という造語
     5 天文学の「歳輪」
     6 「年輪」の成立
     おわりに
「幹(みき)」と「茎(くき)」
     はじめに
     1 ミキ成立以前 ―クキ・カラ・モト―
      1―1 クキ
      1―2 カラ
      1―3 モト
      1―4 院政期から室町時代におけるクキ・カラ
     2 ミキの成立
     3 江戸時代におけるカラ・クキ・ミキ
      3―1 木本と草本とを区別しないもの
      3―2 木本と草本とを区別するもの
      3―3 蘭学における区別の意味
     4 中国植物学における「幹」と「茎」
     おわりに
研究余滴 
『泰西本草名疏』とシーボルト事件
   「植物学」ということば
   『植学独語』の「霊蚕」存疑
   時刻を「○字」と書くこと
 資料紹介
重山文庫所蔵伊藤圭介宛シーボルト書翰
重山文庫所蔵『泰西本草名疏』伊藤圭介自筆原稿
   小川友忠著『西洋時辰儀定刻活測』翻刻
本書で用いた蘭学関係書使用テキスト一覧
 初出一覧
 あとがき

著者略歴
同志社女子大学特任教授。博士(文学)。主著に『古代の基礎的認識語と敬語の研究』『日本植物文化語彙攷』(いずれも和泉書院)他。

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