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作品詳細

ISBN:978-4-7576-0886-3 C3381
ごんざしりょうのにほんごがくてきけんきゅう
研究叢書503 ゴンザ資料の日本語学的研究
定価(税込): ¥10,800
表紙 著作者よみ こまばしりしょうじ 
著者名 駒走昭二 著 著書検索
発売日 2018年10月03日
ジャンル 言語史・言語学史
判型A5/314頁

一七二九年、ロシアに漂着した薩摩漂流民ゴンザはロシア科学アカデミーのA.ボグダーノフと協力して日本語の参考書『露日単語集』『日本語会話入門』『簡略日本文法』『新スラヴ日本語辞典』『友好会話手本集』『世界図絵』の六点を制作する。いずれも当時の薩隅方言がロシア語との対訳形式で記されている。
まずゴンザ資料は誰が書いたのか、ゴンザの出身地はどこなのかという研究の前提となる資料の性質に関する問題を検討する。その上で一八世紀の薩隅方言はどのような言葉だったのか(複数のエ列音、イ列音が存在したのではないか、アクセント体系は再構できるのか、「受身」と「尊敬」が区別されていたのではないか、敬意はどのように表現されていたのか、他動詞とカス型動詞は何が違ったのか、どのような漢語語彙が存在したのか、中央語はどのくらい伝播していたのか、薩隅方言はなぜ独特な言葉だと思われてきたのか)、音韻・文法・語彙に関する諸問題を扱う。
豊富な薩隅方言語彙がキリル文字によって記されている本資料を分析することは、一八世紀の薩隅方言のみならず、日本語史の解明にも寄与するものである。

目次
まえがき
第I部 ゴンザ資料について
第1章 ゴンザ資料の筆録者
1.はじめに
2.二つの筆録者案
3.ゴンザの事跡に関する手稿
3. 1.筆跡の相違と一致
3. 2.ゴンザのロシア語運用能力に関する評価
3.3.『簡単な報告II』の語彙とゴンザの語彙量
3.4.『簡単な報告II』の筆録者
4.ゴンザ資料の筆跡
4.1.各資料の筆跡
4.2.ゴンザ筆録説の問題点
5.おわりに
第2章 ゴンザの出身地
1.はじめに
2.先行研究
3.特徴的な語から
3.1.「кибисъ(キビス)」から
3.2.「бобра(ボブラ)」から
3.3.「фе(フェ)」から
4.18世紀の薩摩の情勢から
5.『簡単な報告II』再読
6.おわりに
第3章 ゴンザ資料による方言史研究
1.はじめに
2.先行研究
2.1.キリル文字で記されているということ
2.2.アカデミー本とアッシュ本
3.ロシア語を媒体とした資料として
3.1.ロシア語正書法の検討
3.2.アクセント
4.おわりに

第II部 音韻
第1章 エ列音の表記と音韻
1.はじめに
2.日本語表記に見られる使い分けの特徴
2.1.単独で用いられている場合
2.2.子音文字と結合している場合
3.先行研究
4.ロシア語の正書法
4.1.『露日単語集』におけるロシア語の正書法
4.2.グレーニングの正書法
5.日本語表記に見られる文字の使い分けの解釈
5.1.単独で用いられている場合
5.1.1.語頭の場合
5.1.2.語中語尾の場合
5.2.子音と結合して用いられている場合
5.3.音節表記のまとめ
6.おわりに
第2章 イ列音の表記と音韻
1.はじめに
2.日本語表記に見られる使い分けの特徴
2.1.単独で用いられている場合
2.2.子音文字と結合している場合
3.ロシア語の正書法
3.1.ロシア語の部分における規範
3.2.グレーニングの正書法
4.日本語表記に見られる文字の使い分けの解釈
4.1.単独で用いられている場合
4.2.子音と結合して用いられている場合
5.おわりに
第3章 アクセント符号について
1.はじめに
2.再構されたアクセント体系
3.現代鹿児島方言とのきれいな対応
4.長音節の排除
5.表記の揺れ
6.長音節排除の基準
7.型認定の基準
8.助詞のアクセント
9.再びアクセント符号の意味について
第4章 特殊拍とリズム──薩隅方言の特異性──
1.はじめに
2.音韻論的特徴
3.音節数の相違
4.おわりに

第III部 文法
第1章「ゆる・らゆる」と「る・らる」について
1.はじめに
2.『世界図絵』における「ゆる・らゆる」の文法的意味
2.1.先行研究
2.2.「ゆる・らゆる」の用例と文法的意味
3.『世界図絵』における「る・らる」の文法的意味
4.おわりに
第2章 敬意表現
1.はじめに
2.敬意を表す動詞
2.1.「たもる」について
2.2.「ござる」について
2.3.「ござゆ」について
3.助動詞「る」「らる」による敬意表現
4.助動詞「やる」による敬意表現
5.おわりに
第3章 カス型動詞について
1.はじめに
2.ゴンザ資料におけるカス型動詞の出現例
3.形態的特徴
4.表現価値
4.1.カス型動詞と他動性
4.2.対応するロシア語の接頭辞
4.3.『世界図絵』における本文と単語欄との齟齬
5.おわりに

第IV部 語彙
第1章 『新スラヴ日本語辞典』の日本語訳
1.はじめに
2.重複訳の実態
2.1.ロシア語見出しの数
2.2.延べ訳数
2.3.異なり訳数
2.4.重複率
3.説明形式訳の実態
3.1.単語認定の基準
3.2.訳形式の区別
4.個々の日本語訳の頻度
4.1.頻度の高い訳
4.2.日本語訳のないロシア語見出し
5.おわりに
第2章 『新スラヴ日本語辞典』の語彙
1.はじめに
2.使用語の数
2.1.日本語訳の数
2.2.単位の認定
2.2.1.単位の長さ
2.2.2.単位の幅
2.3.延べ語数と異なり語数
3.使用頻度の高い語
4.使用語の種類
5.おわりに
第3章 『新スラヴ日本語辞典』における漢語語彙
1.はじめに
2.資料の特性について
3.数量的特性
4.意味的特性
4.1.調査の方法
4.1.1.意味分野別構造分析法
4.1.2.コード付け
4.1.3.『新スラヴ日本語辞典』と意味分野別構造分析法
4.1.4.漢語の出現しやすい意味分野を判定するための手法
4.2.調査結果
4.2.1.4つの類と5つの部門による分類
4.2.2.中項目による分類
4.2.3.漢語の出現しにくい意味分野
5.おわりに
第4章 『新スラヴ日本語辞典』における「自由」の語義
1.はじめに
2.中央語における「自由」の語史
2.1.否定的な「自由」
2.2.肯定的な「自由」
2.3.翻訳語としての「自由」
3.『新スラヴ日本語辞典』の用例
3.1.肯定的な意味を持つロシア語
3.2.否定的な意味を持つロシア語
4.おわりに
第5章 『新スラヴ日本語辞典』における現代標準語
1.はじめに
2.現代標準語の抽出
3.分類の結果と実例
4.おわりに
第6章 18世紀の薩隅地方へ伝播した中央語
1.はじめに
2.方言と中央語
3.18世紀の薩隅方言に見られる現代標準語語彙
3.1.語種の特性
3.2.品詞の特性
3.3.意味分野の特性
4.おわりに
第7章 現代語の形成と中央語の伝播
1.はじめに
2.語種の特性
3.品詞の特性
4.意味分野の特性
5.時間的変遷と空間的拡散
6.おわりに
あとがき
索引

著者略歴
1969年鹿児島県生まれ。
名古屋大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。
韓国国立木浦大学校特別講師を経て、現在、神奈川大学外国語学部准教授。

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