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作品詳細

ISBN:978-4-7576-0943-3 C3395
むめいさっかからみるにほんきんだいぶんがく
近代文学研究叢刊69 無名作家から見る日本近代文学 - 島崎藤村と『処女地』の女性達
定価(税込): ¥5,940
表紙 著作者よみ ながふちともえ 
著者名 永渕朋枝 著 著書検索
発売日 2020年03月11日
ジャンル 散文 - 近代・現代
判型A5/368頁

 日本近代文学を有名作家だけでなく無名作家群からも見渡せば、メディアの勢力によって文学がつくられていった大きな流れが見えてくる。本書は、有名作家と無名作家・男性作家と女性作家・作家と読者との双方を見、雑誌を他の新聞雑誌との連関の中で捉える。島崎藤村の全集未収資料を駆使して藤村文学の新たな特質を捉え、藤村の所謂「私小説」の読まれ方を明らかにする。また、男女の無名作家の主張から「文壇」におけるジェンダー以外の偏りを可視化する。そして、藤村が発行した婦人雑誌『処女地』の女性達がどんな新聞雑誌に何を書いたかを、学校教育・女性労働運動・戦時下の言説・出版状況など、領域を横断して追跡することによって、文学生成の場を解き明かす。人々は〈文学〉に何を求めたのか。出版資本主義の台頭と成熟の時代を扱う本書の考察からは、これからの〈文学〉が浮かび上がるだろう。

目次
目次
凡例
序章 無名作家からも日本近代文学を見る

第I部 大正文壇と藤村の読者
 第一章 小説家協会・無名作家同盟から見る大正文壇──藤村に師事した青年達──
     一、大正「文壇」研究
     二、小説家協会と無名作家同盟
     三、無名作家同盟の青年達の作品発表状況
     四、大正文壇作家の偏り
     五、〈機会均等〉を言うべき人
 第二章 新聞連載の「告白小説」・『新生』の生成と受容の場
     一、新聞連載小説『新生』
     二、作品と作家像
     三、「告白」を求める時代思潮と文壇
     四、人生の指針を読もうとする〈一般の読者〉
     五、新聞連載の「告白小説」の意義
 第三章 藤村『新生』に嵌め込まれた節子の手紙
     一、節子の手紙が保証するもの
     二、節子の「告白」と岸本の「懺悔」
     三、岸本に寄り添う語りと節子の手紙との齟齬
     四、『処女地』にみる当時の手紙と節子の手紙
     五、『新生』の特異性
 第四章 藤村「嵐」の評判――所謂私小説論争と関わって――
     一、「嵐」に対する讃辞と月評
     二、文壇評価の論点 ─「心境小説」「私小説」「本格小説」─
     三、〈一般読者〉の人気
  コラム1 「よみうり婦人附録」の分析――『家』の主人公三吉、貞操論争(1910〜1916年)
     一、「よみうり婦人附録」における「身の上相談」の分析
     二、「身の上相談」に見る三吉の仲間達
     三、貞操論争――花世の前に立ちはだかった社会通念――
第II部 『処女地』とその執筆者達
 第五章 藤村発行の婦人雑誌『処女地』の再検討
     一、『処女地』についての従来論
     二、当時の新聞雑誌における評価
     三、執筆した女性達における意義 
     四、藤村における刊行の意味
     五、「機を得た」雑誌『処女地』
  コラム2 『処女地』執筆者の分析
        ──結婚・上京・女子教育・参加理由──(1910〜1920年頃)
    一、『処女地』創刊時の年齢・未婚既婚の別など
     二、創刊時の在住地・上京
     三、女子教育・学歴
     四、参加形態と参加理由
 第六章 『処女地』に執筆した『女子文壇』出身の作家達
  ――生田花世、加藤みどり、鷹野つぎ、若杉鳥子、若山喜志子──
     一、『処女地』の「作家達」
    二、生田花世〔西崎花世、長曽我部菊子〕
     三、加藤みどり〔高仲菊子〕
     四、鷹野つぎ〔鷹野つぎ子、岸次子〕 
     五、若杉鳥子〔板倉鳥子、若杉とり子、若杉浜子〕
     六、若山喜志子〔太田きし子、はゝき木〕
     七、女流文芸雑誌の連関
 第七章 『処女地』に執筆した多様な作家達
       ――池田小菊、川島つゆ、澤ゆき、島崎静子、細川武子、正宗乙未──
     一、池田小菊〔池田こぎく〕
     二、川島つゆ〔川島つゆ子〕
     三、澤ゆき〔沢ゆき子〕
     四、島崎静子〔河口玲子〕
     五、細川武子
     六、正宗乙未〔辻村乙未〕
     七、女性作家達における「書くこと」の意味
 第八章 『処女地』に執筆した無名の女性達
       ──モダンガール大井さち子・画家埴原久和代・女塾長茂木由子など──
     一、無名の執筆者達三二名
     二、他の紙誌への執筆が明らかになった一七名
     三、他の紙誌への執筆が確認できなかった一五名
     四、無名の執筆者達と読者達における『処女地』の意義
    コラム3 女性の収入・住まい――編集者・素川絹子――(1920〜1930年頃)
     一、作家志望女性の一典型
     二、希望社発行雑誌と女教員
     三、職業婦人のためのアパートとその収入

第III部 少女小説・労働運動・戦争・メディア
 第九章 伊東英子「凍つた唇」
       ──『少女画報』の伊澤みゆき・『青鞜』の濱野雪だった作家──
     一、伊東英子の別名
     二、『心の花』『女子文壇』『ムサラキ』の伊澤英子
     三、『少女画報』『婦人画報』の伊澤みゆき
     四、『青鞜』『演芸画報』の濱野雪
     五、『三田文学』『赤い鳥』の伊東英子
     六、『処女地』『サンデー毎日』の伊東英子、その後の濱野ゆき、須田英子
     七、『処女地』掲載の「凍つた唇」
     八、〈無名〉ということ
 第一〇章 織田やす──初期女性労働運動・覚醒婦人協会との結節点──
     一、『処女地』と『覚醒婦人』
     二、覚醒婦人協会の主な活動
     三、覚醒婦人協会に関わった人々
     四、覚醒婦人協会と全関西婦人連合会との関わり
     五、やすにとっての覚醒婦人協会、『処女地』の意味
     六、結節点としての存在意義
 第一一章 戦時下における『処女地』の女性達   
     一、より無名の女性達の言説
     二、抵抗の言葉を残した女性
     三、国策童話と映画化作品を書いた女性
      四、日本文学報国会の女性達
      五、戦時下における〈戦争協力〉
     コラム4 『処女地』の女性達と戦争 (1940〜1954年)
       一、『日本の母』と『処女地』の母達
       二、アジア・太平洋戦争下の人々
       三、戦時下における「生き甲斐」と文学の〈力〉
 第一二章 メディアの勢力と日本近代文学──『処女地』作家群像から──
     一、メディアと作家達とを見渡す研究
     二、投書という行為 ─『女子文壇』前後─
     三、「女流新人の起用」 ─婦人雑誌と新聞─
     四、女性自身の手になる発表誌 ─『女人芸術』、婦人運動系雑誌等─
     五、ジャーナリズムと女性作家
     六、メディアの勢力と作家達
 注
 初出一覧
 あとがき
 索引

著者略歴
 1962年、大阪府生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。博士(文学)。奈良女子大学文学部講師、京都学園大学(現京都先端科学大学)経済学部助教授を経て、現在、神戸女子大学文学部教授。
『北村透谷 「文学」・恋愛・キリスト教』(和泉書院 2002年)、『女の手紙』(荒井とみよ・永渕朋枝編 双文社出版 2004年)、「明治の子殺し―北村透谷「鬼心非鬼心」における〈社会〉と〈魔〉―」(『日本近代文学』2009年11月)、「『藤村全集』逸文年表とそこからの問題提起」(『日本近代文学』2013年11月)など。

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