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太宰治研究20



目次


〔作品とその生成要素〕
「善蔵を思ふ」から「誰」まで

「善蔵を思ふ」と「ふるさとの秋」を語る青森県出身の在京芸術家座談会 齋藤三千政
「盲人独笑」と『葛原勾当日記』 高橋秀太郎
太宰治「乞食学生」とフランソワ・ヴィヨン『大遺言書』 柏木隆雄
「清貧譚」と『聊斎志異』「黄英」―「聊斎癖」の系譜 押野武志
太宰治『新ハムレツト』と浦口文治『新評註ハムレット』 藤原耕作
「風の便り」と湯浅芳子訳『チェーホフとゴーリキイ往復書簡集』 松本常彦
「誰」と塚本虎二「イエス伝研究」 奥野政元

〔作品論〕
随想「知らない人」から「私信」まで

「知らない人」 野口哲也
太宰治「大恩は語らず」が語ること 渡邊史郎
「自信の無さ」―努力による再生の軌跡 西野常夫
「国技館」における反順応主義―太宰治の相撲観 山口直孝
太宰治「貪婪禍」論―旅行者的心性にまつわる「私」の素性― 中根隆行
太宰治と〈書く読者〉―商品化する“悲劇の作家”― 北川扶生子
太宰治「砂子屋」について 下岡友加
「パウロの混乱」考―太宰治と今官一― 箕野聡子
太宰治「かすかな声」論―中期小説のエスキスとして― 九内悠水子
「田中君に就いて」 友重幸四郎
「弱者の糧」論 小林明子
郷土を思い出として語るとき―「五所川原」を読む― 若松伸哉
「男女川と羽左衛門」 米村みゆき
作品論「青森」 池田 亨
「犯しもせぬ罪を―宮崎譲詩集『竹槍隊』序」―聖句をめぐる競闘と共闘 國中 治
「容貌」という韜晦 山根繁樹
太宰治「「晩年」と「女生徒」」を読む 佐藤嗣男
太宰治「私の著作集」―人生の足跡、戦争への足音 光石亜由美
「生けるユダ」の残響―亀井勝一郎と太宰治― 中山弘明
「私信」論 丹羽 章

〔資料紹介〕

太宰治ビブリオグラフィー 二〇〇六 山内祥史
「太宰治研究」掲載 創作「作品論」一覧 編輯部

〔作家論〕
三島由紀夫と太宰治―劇の文学、声の文学― 有元伸子
島尾敏雄と太宰治―虚構の誘惑、影響の不安― 鈴木直子

〔作品評釈〕
「HUMAN LOST」評釈(一) 山口俊雄




編集後記



 「太宰治研究」第二〇輯には、「作品とその生成要素」「作品論」「資料紹介」「作家論」「作品評釈」の五種の文章や紹介を掲げた。
 「作品とその生成要素」欄には、昭和一五(一九四〇)年四月一日付発行の「文藝」に掲載された「善蔵を思ふ」から、昭和一六(一九四一)年一二月一日付発行の「知性」に掲載された「誰」までの、七篇の「作品とその生成要素」についての論究を掲げた。創作集でいえば、『女の決闘』『東京八景』『千代女』『新ハムレット』『風の便り』等の時代の作品ということになろう。論者は、孰れも、日本近代文学について、優れた研究を積み重ねられている方々である。太宰治の七篇の作品が、これら七氏によって、生成要素という側面から改めて問い直され深め広げられ、もう一度掘り下げられた。これら論究は、太宰治の作品研究を一層進展させるにちがいない。
 「作品論」欄には、随想「知らない人」から「私信」までの二〇篇の作品についての論究を掲げた。「知らない人」は、昭和一五(一九四〇)年三月一日付発行の「書物展望」に掲載され、「私信」は、昭和一六(一九四一)年一二月二日付発行の「都新聞」に掲載された。先の「作品とその生成要素」欄での作品と、ほぼ同時期の随想である。これら二〇篇の随想作品論は、調査の行き届いた論究が多く、新しい発見が随処に見られる。これまで単独で論じられることのなかった随想が、様々な角度から論究され、今まで指摘されることのなかった作品の在り様も姿を現わしているようだ。「作品とその生成要素」欄と「作品論」欄とに稿を寄せて下さった、二七氏に感謝したい。
 「資料紹介」欄の「太宰治ビブリオグラフィー」には、「二〇〇六」を掲げた。また、前輯の「編輯後記」で言及したように、第一九輯掲載の太宰治の創作「作品論」をもって、「最後の太閤」から「家庭の幸福」までの一八二篇についての、一八三氏の一八五篇の作品論を掲載してきたことになる。編輯部で協議の結果、読者の便を考え、「「太宰治研究」掲載 創作「作品論」一覧」を掲げることにした。寄稿して下さった一八三氏に、お礼を申し上げる。
 「作家論」欄には、二篇の論考を掲げた。「三島由紀夫と太宰治」の有元伸子氏には、『三島由紀夫 物語る力とジエンダー 『豊饒の海』の世界』(翰林書房、二〇一〇年三月二五日付発行)の著書を初め、三島由紀夫に関する論考が多い。この度の稿では、三島由紀夫と太宰治との「一度だけ」の出会いの日を確定し、三島由紀夫の太宰治像とふたりの作家の文学的特性を明らかにされた。また、「島尾敏雄と太宰治」の鈴木直子氏には、島尾敏雄の文学に関する論考や島尾敏雄研究の動向紹介が多く、島尾敏雄の文業と研究動向とに通暁されている。この度の稿では、島尾敏雄における、太宰治への「習作期」の「熱烈な傾倒」と「戦後」の「訣別」との「・末」を明らかにされた。有元伸子氏、鈴木直子氏共に、貴重な示唆に充ちた論考を寄せて下さった。
 「作品評釈」欄の山口俊雄氏には、『太宰治をおもしろく読む方法』(風媒社、二〇〇六年六月二五日付発行)の編著がある。この度の「「HUMAN LOST」評釈(一)」は、「〈作品タイトル〉と〈エビグラフ〉」から「十九日」までの評釈であった。力のこもった労作で、成果が楽しみだ。種々の先見を踏まえた精緻な考察は、作品「HUMAN LOST」読解に大きな貢献をするにちがいない。
 一九九四年に第一輯を上梓し、二〇〇〇年二冊上梓した以外は毎年一冊を上梓、一九年目の本年に第二〇輯を上梓することができた。(後略)(山内祥史) 
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