■日本文学・日本語学・日本史学と上方文化本の図書出版


太宰治研究17



目次



〔作品とその生成要素〕
変身譚「魚服記」と柳田国男『山の人生』 相馬正一
「魚服記」と上田秋成「夢応の鯉魚」 木村小夜
太宰治「葉」―寛容の神を求めて 鈴木貞美
「道化の華」とダンテ『神曲』「地獄篇」 栗原 敦
「道化の華」とアンドレ・ジッド 樫原 修
「雀こ」と川合勇太郎『津軽むがしこ集』 長部日出雄
「雀こ」と内田邦彦『津軽口碑集』 宮崎靖士
「地球図」の語りとは―『西洋紀聞』ほかとのかかわりで 遠藤 祐
開かれ、閉じられた「地球図」―小さな白石― 細谷 博

〔作品論I〕
太宰治「おさん」論―「利巧」な妻と「だめな人」― 吉川仁子
残像としての〈終戦直後〉―太宰治「女類」論― 安藤公美
「人間失格」について 羽鳥徹哉

〔作品論II〕
随想「魚服記に就て」から「碧眼托鉢」まで
「魚服記に就て」―随想「魚服記に就て」から「碧眼托鉢」まで 渡部芳紀
「もの思ふ葦」(「日本浪曼派」所収) 片山晴夫
太宰治「作者の言分」の周辺―匿名批評への応答― 井原あや
一九三五年の川端康成と太宰治―第一回芥川賞をめぐる応酬に潜むもの― 十重田裕一
太宰文学の「弱さ」と「強さ」―その文学の性格―「もの思ふ葦」から『女の決闘』まで 山崎國紀
「Alles Oder Nichts」について 赤井恵子
「もの思ふ葦」論―芥川龍之介・ボードレール・保田與重郎との関係性をめぐって― 小林真二
「人物に就いて」 山本欣司
太宰治と「碧眼托鉢」 前田角藏

〔資料紹介〕
新資料・中畑慶吉保管文書より 安藤 宏
木山捷平と太宰治―「海豹」創刊号発行後の木山捷平宛太宰治封書まで― 山内祥史
太宰治ビブリオグラフィー 研究参考書 一九九六補遺 二〇〇五 山内祥史

〔作家論〕
檀一雄と太宰治―「鷭」の時代を中心に― 長野秀樹
保田與重郎と太宰治 神谷忠孝

〔作品評釈〕
「走れメロス」評釈(三) 近藤周吾



編集後記

 
 「太宰治研究」第一七輯には、「作品とその生成要素」「作品論機廖嶌酩箆性供廖峪駑曽匆陝廖嶌邁範澄廖嶌酩壁昭瓠廚力纂錣諒絃呂魴任欧拭
 「作品とその生成要素」欄は、太宰治作品の研究推進のために新設した欄である。今回は、太宰治第一短篇小説集『晩年』に収載された「魚服記」「葉」「道化の華」「雀こ」「地球図」等の諸作品とその生成要素との論究をして戴く事にした。各氏太宰治についての論考を数多く発表されている方ばかりである。真摯な論究を寄せて下さった、諸家の労に感謝したい。
 「作品論機徑鵑砲蓮◆屬さん」「女類」「人間失格」の三篇の小説作品についての論を掲げた。このうち、「女類」論は、宮坂覺氏に依頼していたのだが、氏がフェリス女学院大学の学長に選出されて時間的猶予がなくなったため、急遽安藤公美氏に依頼し直した。急ぎ稿を成して下さった氏のご配慮に感謝の意を表したい。また、羽鳥徹哉氏には、力篇「人間失格」論を随分以前に寄せて戴いて、長くお待たせしてしまった。お詫び申し上げたい。「おさん」「女類」「人間失格」研究に、貴重な示唆を与えられる力篇論考を寄せて下さった三氏に、お礼を申し上げる。
 「作品論供徑鵑砲蓮⊃郡覯茲凌鐐杠酩箆世魴悩椶垢觧にした。「作品とその生成要素」欄と照応させ、今回は、『晩年』収載作品と同時期に発表された「魚服記に就て」から「碧眼托鉢」まで採り上げた。渡部芳紀氏には「魚服記に就て」を論じて戴く心算であったが、「「魚服記に就て」から「碧眼托鉢」まで」を論じた稿を寄せて下さったので、今回の特輯の総論として掲げさせて戴く事にした。九氏による各随想論は、初めて単独で論じられる随想も多く、研究の更なる深化が期待されよう。ご寄稿下さった諸氏に、お礼を申し上げる。
 「資料紹介」欄には、安藤宏氏「翻刻・文責」の「新資料・中畑慶吉保管文書より」の紹介を掲げた。「太宰治研究」第六輯(一九九九年六月一九日付発行)所掲の「太宰治の実生活に関する新資料三題」に続く、資料紹介である。津島美知子夫人の『回想の太宰治』(人文書院、一九七八年五月二〇日付発行)に「未公開資料」として書かれたこの「文書」については、私も或る鼎談で「公表されると、評伝や年譜等もいろいろ書き換えなければいけないところが出てくるのではないか」と発言した事がある。評伝資料として、一級の貴重資料であろう。津島家のご厚志と安藤宏氏のご尽力に依って、この「公表」が実現した。資料の公開をご了承下さった、井伏節代氏、北泰夫氏と併せ、関係各位に心より感謝したい。「木山捷平と太宰治」は、気掛りになっていた事を紹介した続稿である。また、「太宰治ビブリオグラフィー」は、「研究参考書」の「一九九六補遺」と「二〇〇五」を掲げた。
 「作家論」欄には、長野秀樹氏と神谷忠孝氏との二つの作家論を掲げた。第一六輯に予定していた「特輯日本浪曼派の人々と太宰治」の続稿と考えて戴きたい。長野秀樹氏は『逢う、花に。―檀一雄作品集―』(花書院、一九九六年五月一九日付発行)の編書や檀一雄についての多くの論考を、神谷忠孝氏は『保田與重郎論(雁叢書一〇一)』(雁書館、一九七九年九月二〇日付発行)の著書や保田與重郎に関する編書や論考を、共に発表されていて、しかも共に太宰治についての論考も多く発表されている。造詣の深い論究を寄せて下さった二氏に、感謝したい。
 「作品評釈」欄の近藤周吾氏「「走れメロス」評釈(三)」は、城に向かって走るメロスが、「豪雨」のための「濁流」と「闘争」をしたあと、「山賊」に「いのち」を狙われる場面までの評釈である。
 今年は太宰治生誕一〇〇年目に当たる。昨年は、三鷹市美術ギャラリーで、「太宰治 三鷹からのメッセージ―没後六〇年記念展―」が一一月二二日から一二月二一日まで開催されたが、それに続き、今年は多くの企画展が予定されているようだ。仄聞する限りでも、弘前市立郷土文学館で「第三三回企画展 太宰治生誕一〇〇年展」が一月一二日から一二月二八日まで、山梨県立文学館で「開館二十周年記念 太宰治展 生誕一〇〇年」の企画展が五月二日から六月二八日まで、青森県近代文学館で「太宰治生誕一〇〇年記念特別展」、青森県立美術館で「生誕一〇〇年記念 太宰治展」が、共に七月一一日から九月六日まで、各々開催されるという。多くの成果が得られる事を、期待したい。(後略)(山内祥史)
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