■日本文学・日本語学・日本史学と上方文化本の図書出版


太宰治研究11



目次



〔作品論特輯〕
「新釈諸国噺」

〔作品論〕
「貧の意地」論 諏訪春雄/「猿塚」―〈代行〉と〈代用〉、喪失と解放― 高田知波
「裸川」論―メディアとの相関― 池内輝雄
太宰治「義理」論―「義理の死」と「戦死」― 渡邉正彦
「女賊」の位相―戦略としての翻案― 渡辺善雄
「引用の織物」としての「赤い太鼓」― 佐藤義雄
「粋人」論―「いき」へのアンチ・テーゼ― 佐藤隆之
「遊興戒」「猿塚」論 前田秀美
〈空白〉の語り―「吉野山」の作品構造― 杉本好伸
初期習作・「股をくゞる」について―〈復讐〉と〈自意識〉の物語としての「股をくゞる」― 西田りか

〔資料紹介〕
太宰治『パンドラの匣』の背景―木村庄助日記と「雲雀の声」― 相馬正一
太宰治ビブリオグラフィー 一九九八 山内祥史

〔作家論〕
織田作之助と太宰治 浦西和彦
田中英光と太宰治 田中励儀
太宰治と聖書―一九四二・四三年を中心に― 田中良彦
太宰治と社会主義運動―一九三一(昭和六)年― 山口浩行

〔作品評釈〕
「雀こ」評釈 渡部芳紀




編集後記

 
 第一一輯には、「作品論」「資料紹介」「作家論」「作品評釈」の四種類の文章を掲げた。
 「作品論」欄は、『新釈諸国噺』の特輯とした。『新釈諸国噺』は、一九四三(昭和一八)年一一月から一九四四(昭和一九)年一〇月までの間に執筆され、一九四五(昭和二〇)年二月に生活社から刊行された、全一二篇の短篇集である。力篇を寄せてくださった各氏にお礼を申しあげたい。一二篇中「大力」「人魚の海」「破産」の三篇の作品論は、各筆者の都合で掲載できなかった。これらは次輯に掲げたいと思う。なお、第一〇輯に掲載予定であった初期習作論の一つ西田りか氏の「初期習作・『股をくゞる』について―〈復讐〉と〈自意識〉の物語としての『股をくゞる』―」も掲載した。これで、初期習作二五篇すべての作品論を掲げたことになる。
 「資料紹介」欄には、相馬正一氏の「太宰治『パンドラの匣』の背景―木村庄助日記と『雲雀の声』―」を掲載した。木村庄助日記と『雲雀の声』『パンドラの匣』との関連を論究した力篇である。なお、最近、木村庄助氏が一九四〇(昭和一五)年夏に砂子屋書房に寄せた、刊本の『晩年』と『女生徒』についての意見を記した文章に接する機会を得た。木村庄助氏の太宰治著作への傾倒ぶりを知り得る資料の一端となろう。参考までに左に紹介しておく。

 晩年の装幀、たいへん結構でした。頁の切つてないのも、よかった。女生徒は、是非箱入にして欲しかった。女生徒の本文活字は、著者の希望なのかもしれないが、少し大き過ぎ、読みづらかつた。太宰の近頃の作品は、句読点が相当に多いから、菊判ならともかく、四六判に十二ポを使ふのは、ちよつと、面白くない。ケント紙といふのか、用紙はよかつた。作品については、何も云ふことがない。云ふだけ、野暮である。(原文旧漢字)

 「太宰治ビブリオグラフィー」は、「一九九八年」だけを掲げた。歿後五〇周年にあたって、多量であったため一年分だけとした。
 「作家論」欄には、浦西和彦氏「織田作之助と太宰治」と田中励儀氏「田中英光と太宰治」とを掲げた。浦西和彦氏には、周知のように『織田作之助文藝事典』(和泉書院、一九九二年七月)の編書がある。また、田中励儀氏には、田中英光関係の多くの論考がある。田中良彦氏「太宰治と聖書―一九四二・四三年を中心に―」は、第七輯に掲げた遠藤祐氏「太宰治と聖書―一九四〇・四一年を中心に―」の続稿で、山口浩行氏「太宰治と社会主義運動―一九三一(昭和六)年―」も、第七輯に掲げた島田昭男氏「太宰治と社会主義運動―一九三〇(昭和五)年後半期―」の続稿である。太宰治と「聖書」「社会主義運動」との関わりが、種々明らかになっていくので楽しみだ。
 「作品評釈」欄には、渡部芳紀氏の「『雀こ』評釈」を掲げた。渡部芳紀氏は、太宰治の難解といわれている作品についての評釈を、多く執筆されている。(後略) (山内祥史)
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