新刊案内(00年3月)


 『和歌史論叢後藤重郎先生傘寿記念 後藤重郎先生算賀世話人会編 本体11,000円
  A5・上製函入405頁 ISBN4-7576-0030-5

 本書は、後藤重郎先生の教えを受けた研究者による和歌に関する論文集である。後藤重郎先生の「定家八代抄」に関する論文を巻頭に置き、万葉時代から江戸時代までの和歌に関する最新の論考一九編を収める。論文のテーマに従って時代順に論考を配列することで、和歌史研究の現段階をあぶり出すよう工夫した。巻末には、「新古今和歌集」を中心に長年に亘って、和歌文学研究に注目すべき発言を続けてこられた後藤重郎先生の業績目録を付載する。

〔内容目次〕『定家八代抄』に関する一考察―奥書をめぐって― 後藤重郎/物語要素としての和歌 神山重彦/万葉集「人妻ゆゑ(に)」について―巻一・二一番歌を中心に― 和田明美/万葉集巻十の編纂 村瀬憲夫/人麻呂羈旅歌二五六番歌の一本歌をめぐって―「舶尓波有之」の理解と紀州本― 菊川恵三/延喜の菊の宴―公忠集詠歌年時贅説― 高田信敬/貫之集伝本研究の現段階 田中登/「おいつしま」考―紫式部集の一考察― 安藤重和/後冷泉朝の物語と和歌―『狭衣物語』『夜の寝覚』の作中詠歌― 乾澄子/「花」を詠む歌の変遷について―後拾遺集から千載集の「春」部を中心に― 人見恭司/千載集における俊頼の歌 杉戸千洋/『建礼門院右京大夫集』と藤原俊成 弓削繁/俊成最晩年の「艶」《続一》―『後京極殿御自歌合』『新宮撰歌合』を中心に― 梅野きみ子/十三代集における武人歌人について 深津睦夫/続拾遺和歌集成立の周辺―亀山院と藤原為氏― 安田徳子/良基『知連抄』の成立と周辺 乾安代/暗号化された秘事―国会図書館本『和歌秘伝抄』の「阿古根浦口伝」「三木伝」から― 三輪正胤/『常昭家集』をめぐって 岡本勝/古典和歌の虹歌とその表現 荻野恭茂/後藤重郎先生 業績略目録(編著書・論文)/あとがき 村上學





 『近世大和地方史研究』 木村博一著 本体8,000円
  (日本史研究叢刊10)A5・上製函入 口絵モノクロ1頁・429頁 ISBN4-7576-0017-8

 地方史研究に徹し、地方史研究はいかにあるべきかを考え続けた、近世大和史研究の第一人者による書。したがって本書は、近世大和史の研究として意味をもつだけではなく、同時に、地方史研究のひとつのあり方を指し示す書でもある。
 序章では、著者長年の思索にもとづき、地方史研究は何か、地方史研究を日本史研究の一環としてどうすすめるかを論じる。第一章は、著者の独擅場である、奈良晒の生産・流通組織の構造的研究。さらに北山郷の木年貢制度、および奈良盆地での売薬の実態を明らかにする。第二章では、著者が切り開いた、大和での百姓一揆とその社会的背景を解明。付表「大和の百姓一揆・打こわし年表」は有用。第三章の、大和絣の創始者浅田松堂が町人としての生き方を説いた「家用遺言集」の分析は、地方町人の思想史研究として貴重。著者戦後の研究生活を回顧した終章は、それ自体が日本史研究の戦後史にほかならないことを物語る。





 『国語語彙史の研究 十九』 国語語彙史研究会編 本体9,500円
  (定期刊行物)A5・上製函入 347頁 ISBN4-7576-0035-6

  国語語彙史研究の体系化と共に、語彙史研究の新たな方法論や隣接分野との関わりにも積極的に取り組んだ論文集。〔内容目次〕小特集―位相語 オレ・ソチ・ソナタ・ワッチ・ワタイ―明治東京語女性人称形成の一考察― 小松寿雄/副詞エの意味 渋谷勝己/「全国ダメ・アカン分布図」を読む―不可能からよくない、さらに禁止・当為表現へ― 松本修/旧制高等学校の学生語 米川明彦/部分的宣命書きの機能 乾善彦/枕詞の変容―萬葉集から王朝和歌へ― 白井伊津子/「みそかに」「しのびて」「しのびやかに」の語義と文章表現―源氏物語とそれ以前― 大槻美智子/カ・ヤカ・ラカ型語幹の語基 蜂矢真郷/宗教的・儀礼的性格を持つ解釈用語の問題点―生贄・身代わり・人身御供・人柱― 吉田比呂子/複合形容詞「―ガタシ」「―ニクシ」 舘谷笑子/『エソポのハブラス』の語句について―その禅語的性格を中心に― 山内洋一郎/近世前期のことば問題―「漢語類+ない」の語について― 田島優/『仏蘭西法律書 刑法』の唐話と近代刑法用語 藁科勝之/接続詞と対話 甲田直美/明治の"歌"と"花" 前田富祺/「発想」はどんな概念を表示する命名単位か 大島中正/二つの『改正増補英語箋』―双方の関係と編纂方法の相違― 櫻井豪人/書名索引 人名索引 語彙索引





 『他文化を受容するアジア』 追手門学院大学アジア文化研究会編 本体2,500円
  (和泉選書123)四六・上製 328頁 ISBN4-7576-0040-2

 アジアの国々と一口に言っても、それぞれ長い複雑な歴史と個性豊かな文化を持っている。そしてアジア内部のある地域で独自に発生展開したと思われるような諸事象にも、他地域との交渉、他文化との接触等が深く関係していることがしばしばある。そうした他とのさまざまな交渉・接触の中で、ある民族・集団・地域・国家等々の個性的な文化的アイデンティティが形成され、確立していったのだとすれば、正に他とのそうした関係の中に現われる、又現われた種々の事象(確認・選別・受容・吸収・反撥・拒否等々の諸反応のあり方)こそは、それぞれの文化的アイデンティティの具体的な姿を示すものであろう。本書の各論考は、それぞれ各自の専門的視点から、そうした具体的な姿の中に、アジアの文化的アイデンティティとは何であるかを探ろうとしたものである。

〔内容目次〕はじめに 上村祥二総論 アジア社会のアイデンティティ 加賀谷寛第一部 中国を舞台に 中国人の国民性から見た文化大革命 楠山修作/漢族形成へ―民族と文化の複合 武田秀夫/傍観者の目 高橋文治/内藤史学における中国文化的アイデンティティ 大谷敏夫/延辺における朝鮮族のアイデンティティについてのアンケート調査 李慶国第二部 東のアジアを舞台に 古代東北アジアのアイデンティティ―夫余の東明王物語と高句麗の朱蒙物語をてがかりに― 奥田尚/韓国社会における家族関係の変化―聞き取り調査を中心に― 中村啓佑/異文化受容空間としての港― 一九世紀の那覇港点描― 南出眞助/日本人のアイデンティティと「やまとだましい」―聞き取り調査のための問題提起― 中小路駿逸/三国伝来の狐―玉藻前説話の変容― 永吉雅夫第三部 南と西のアジアを舞台に <土地>か<生まれ>か―インド中世の法解釈に見るアイデンティティ要因― 正信公章/イラン近現代史とアイデンティティ 加賀谷寛/トゥルク民族とイスラーム―アイデンティティの観点から― 井谷鋼造/甦る「幸せの島タヒチ」―一九世紀後半のフランス人とポリネシア― 上村祥二/境界性のフィリピン的形態―「リサリスタ」と「サント・ニーニョ」を中心に― 小関三平/あとがき 武田秀夫





 『近古史談注釈索引篇 菊池真一編 本体8,000円
  (索引叢書47)A5・上製函入 293頁 ISBN4-7576-0041-0

 『近古史談』は、武辺咄(武士の逸話)の佳話を精選し漢文化して、それに編者大槻磐渓の論評を添えたもの。本書は、本文篇に引き続いて『近古史談』の注釈書五種の記述を集成し、人名索引を付したものである。
 本文は、大槻磐渓の『近古史談』(元治元年刊)と、大槻文彦の『刪修近古史談』(明治十五年刊)とによる。注釈は、大槻清二『刪修近古史談註釈』(明治十五年)・ 水野盛之『刪修近古史談字解』(明治十八年)・大槻文彦『標注刪修近古史談』(明治三十二年)・篠田適堂『註解速成近古史談』(明治三十三年)・角田東涯『新訳近古史談』(明治四十五年)の注釈を集成した。
 巻末の人名索引は、『近古史談』本文のみならず、元となった武辺咄原話の人名も拾っているので、通常の姓名表記によって簡単に検索することができる。
▼既刊 近古史談・本文篇 菊池真一編     索引叢書40 本体10,000円





 『平家物語の成立』 小林美和著 本体10,000円
  (研究叢書249)A5・上製函入 368頁 ISBN4-7576-0042-9

 中世軍記物語は、どのような状況のもとで成立したか。その精神史的土壌は如何なるものであったか。また、そこにはどのような物語世界が成立を見たのか、等々の課題を、平家物語を中心として解き明かそうとしたのが本書である。そして、さらにその後の軍記物語の内部に分け入り、中世軍記の物語的核心に迫ろうとした。また、ひるがえって、これらの軍記諸作品が内包する精神史的状況は、現代のわれわれを鋭く撃つ一すじの光ともなるであろう。

〔内容目次〕第一章 物語の構想と成立の周辺 一 『保元物語』の歴史叙述/二 『平家物語』の構想力―巻一・滅亡の序曲―/三 慈円からの視線―延慶本『平家物語』の思想的風景―/四 延慶本『平家物語』の成立/五 後白河院説話の周辺/第二章 物語世界の成立 一 文覚発心譚再考―物語世界の考察―/二 滝口発心譚―延慶本『平家物語』の〈特異〉な世界をめぐって―/三 滅びに至る一つの脈絡―延慶本の阿波民部と知盛―/四 『平家物語』の重衡像/五 延慶本『平家物語』の頼盛―物語作者の倫理観をめぐって―/<付論> 鎮魂の文学/第三章 歴史伝承と語り 一 源頼政の死/二 『源平盛衰記』の武勇譚―中世渡辺党異聞―/三 語り物の類型表現―合戦叙述をめぐって―/四 書評・山下宏明著『語りとしての平家物語』/五 書評・松尾葦江著『軍記物語論究』を読んで/第四章 軍記物の展開 一 真名本『曽我物語』覚書―〈御霊〉と〈罪業〉をめぐって―/二 語り物の周辺―真名本『曽我物語』の窓から―/三 〈貧道〉論―『曽我物語』の一側面/四 中世弁慶物語の変奏/五 戦国期幸若舞曲の周辺―幸若「本能寺」の成立―





 『日本語論究 6 語彙と意味 名古屋・ことばのつどい編集委員会編  本体11,000円
  (研究叢書248)A5・上製函入 445頁 ISBN4-7576-0037-2

 「名古屋・ことばのつどい」は、日本語研究を唯一の接点とした会で、本論集も、様々の分野の論文の集まりであるが、言語学とその周辺科学の一冊、古典日本語と辞書を中心にした一冊、現代の日本語研究の一冊としてまとめ、題して『日本語論究』という。今後も、機をみて日本語研究の論集を計画してゆきたい。大方の忌憚なき御批正と御援助を乞うものである。(発刊の辞・編者識)

〔内容目次〕語彙研究において混同してはならない四つの観点 田島毓堂/発話動詞の分析(2)―「呼ぶ」の多義構造の記述を中心に― 籾山洋介/「とりたて」形式の構文的特徴と意味機能―とりたて詞と係助詞・副助詞― 宮地朝子/『英語箋』から二つの『改正増補英語箋』へ―書誌が語る出版事情― 櫻井豪人/動詞「とおる」の多義構造 鷲見幸美/使用頻度"0"の語の語彙の分析―『源氏物語』(桐壺巻)を使った語彙研究― 広瀬英史/マレー・日本両言語の比較語彙論的研究―基本語彙の意味分野別構造分析― ザイド・モハマドズィン/白秋童謡の擬音語 加藤妙子/日中語彙の比較研究―感情語彙を中心に― 林玉惠/擬するということ―『小夜衣』の語の一側面― 山本いずみ・山口榮作/韓国語の語彙分類表の作成方法―日韓両言語の語彙比較のために― 韓有錫/日本語・インドネシア語における身体語彙慣用句の比較研究―意味分野別構造分析のためのコードづけ基準についての試み― アグス・スヘルマン・スルヤディムリヤ/動詞分類に見るインドネシア語と日本語の語彙内在アスペクト―構文的なアスペクト表出との関係において― ナンダン・ラフマット/言語学・日本語学・方言学 丹羽一彌/馬、隙を過ぐ―名古屋・ことばのつどい20年の歩み― 田島毓堂/断定辞ナリの成立に関する補論―万葉集と宣命を資料として― 釘貫亨/『物類称呼』と『和訓栞』の異同―「南部」と「南都」との混同― 田島優





 『平家物語を読む成立の謎をさぐる 早川厚一著 本体1,900円
  (和泉選書120)四六・上製 223頁 ISBN4-7576-0038-0

 今、平家物語の成立論が面白い。原本としての原平家から、約八十種類程に及ぶとされる現存平家物語に至るまでの成立と生成をどのようにとらえるか。僅かばかりの外証しかなく、成立に関して決定的な物言いができない現状において、平家物語の成立を論ずるとは、結局は研究者それぞれの平家物語の読みを示す作業に他ならない。
 試行錯誤の論をこれまでにいくつか積み上げることにより、今までは全く見えてこなかった平家物語像が、少しずつではあるが見えてきた。それを今明かす。後白河院近臣の平家討滅計画・以仁王の挙兵が批判的に描かれる事情、頼朝の挙兵に後白河院院宣と征夷大将軍の官宣旨が必要とされる事情等を具体的に平家物語に読み解き、その生成の秘密を原態平家物語にまで遡り考えてみたい。さらに治承物語とほぼ重なる時期(十三世紀半ば以前)に、源平の興亡までを描く平家物語が熊野信仰圏で形成・生成されていた可能性を指摘する。 





 『日本の詩 近代篇 澤正宏・和田博文編 本体2,500円
  (和泉選書114)四六・上製 229頁 ISBN4-87088-979-X

 一九世紀後半に開始された日本の詩は、すでに一世紀を越える歴史を作ってきた。『日本の詩 近代篇』『日本の詩 現代篇』は、各時代を代表する秀作を、詩史の流れに沿って構成したシリーズである。1巻目の本書の範囲は、原則として1874年の『組合教会賛美歌集』から、1924年の『春と修羅』まで。日本語と格闘し、新しい表現領域を切り拓いた詩人たちの、83篇ほどの作品を選んでいる。全体は八章に分け、章の冒頭で、各流派について概説した。作品と併せて、詩人の解説を掲載し、頁に余裕がある場合は、同時代評なども「窓」欄で紹介している。特定の流派や詩人に関心を抱いた読者が、全集・作品集・参考書にアプローチできるよう、「主要テキスト・参考文献案内」を巻末に収録した。また「近代詩年表」で詩史の流れが読み取れるように工夫している。




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