新刊案内(01年4月)


 『講談資料集成 第一巻 菊池真一編 本体10,000円
  (講談資料集成1) A5・上製函入 347頁 ISBN4-7576-0104-2

講談黄金期の講談師たちの逸話・回想を集大成。関連記事・興行記録も可能な限り収録。新聞・雑誌・単行本などから、幅広く資料収集。(年一巻ずつ刊行予定。別巻として人名索引・事項索引を発行予定。)

 江戸時代、軍記読みから発展した講釈・講談は、幕末・明治には最盛期を迎える。しかし、明治末期からは、浪花節の台頭、活動写真の流行などによって勢力衰え、平成には講談専門の定席が消滅するに至った。黄金期の講談師たちの生き方や演じ方を振り返り、纏めておくことは、歴史的記録としてのみならず、今後の講談のあり方の参考資料ともなるであろう。
 本集成は、このような観点から、明治・大正に活躍した講談師たちの回想記・活動記録を纏めようとするものである。新聞・雑誌・単行本から、講談師の生態を窺うに足る資料を集成する。

第一巻の内容(平成13年刊)
『講釈師物語』(風流坊)
 『講釈師物語』は、明治29年5月から7月にかけ47回にわたって「読売新聞」に連載されたもの。翌明治30年には『講談相撲贔負くらべ』として単行本となった。
『講談界昔話』(四代目宝井馬琴)
 『講談界昔話』は、四代目宝井馬琴の口述を野村無名庵が筆録したもの。。昭和3年1月から10月にかけ、239回にわたって「都新聞」に連載された。馬琴はこの連載終了後間もなく、昭和3年暮れに没している。
『本朝話人伝』(野村無名庵)
 『本朝話人伝』は野村無名庵の著。昭和19年に刊行された。関根黙庵『講談落語今昔譚』を骨格とし、前出馬琴の『講談界昔話』によって肉づけしたものとも言える。無名庵は翌昭和20年、戦災で亡くなっている。

第二巻内容予定(平成14年刊行予定)
「軍書講釈并神道心学辻談議之事歴」(関根只誠。『只誠埃録』所収)
『私の思ひ出話』(悟道軒円玉。昭和4年「国民新聞」連載)
『猫遊軒茶話』(松林伯知。昭和4年「都新聞」連載)
文芸倶楽部所収講談関連記事

第三巻以降に掲載予定の書目
『芸人百面相』(「やまと新聞」)『釈師仲間の寄生虫』(「やまと新聞」)『東玉のこと』(「やまと新聞」)『桃川実の逸話』(「やまと新聞」)「芸界佳話」(「やまと新聞」)『芸人クラブ』(「二六新報」)『釈師奇人伝』(「二六新報」)『講談通』(「二六新報」)『松林伯知の物語』(「時事新報」)『芸人銘々伝』(「毎日電報」)『諸芸一流今の名人小金井蘆洲』(『読売新聞』)『芸人談叢邑井一』(『毎日新聞』)『寄席の楽屋』(「都新聞」)『軍談師の起源』(「講談雑誌」)『講談界の過去と将来』(「新小説」)
……その他、新聞・雑誌掲載の講談関連記事多数収録予定。





 『守覚法親王全歌注釈』 小田 剛著 本体11,000円
  (研究叢書261) A5・上製函入 399頁 ISBN4-7576-0083-6

 本書は、新古今随一の閨秀歌人である式子内親王の一つ違いの弟である守覚法親王(薨去もちょうど一年後)の全歌316首(他人の歌、重出歌八首を含む)の注釈を試みたものである。守覚の全歌の注釈は他になく、専門家以外の読者をも念頭に置いた。守覚は、新古今和歌集を代表する名歌「春の夜の夢の浮橋とだえして峰に別るる横雲の空」(38・春上・定家)の収められている御室五十首(仁和寺宮五十首・508)を主催された方として、つとに著名である。
 守覚の和歌の研究は、姉式子に比べて進んでいるとはいえず、まだまだ解明の余地が多いと思われる。そこで、守覚の全歌を、「校異」、「語注」、「(口語)訳」、「本歌・本説」、「補説・参考事項・参考・類歌」の順で、さらに各歌の"移り変わり"にも留意して、多方面の角度より注釈を施した。守覚の歌の本質に迫ろうとするのである。
 そして巻末には、前著『式子内親王全歌注釈』と同じく、全歌自立語総索引と五句索引を付して利用の便をはかった。この著によって守覚研究が、ひいては新古今(歌人・時代)研究が、さらに進捗せんことを切に願うものである。

〔内容目次〕凡例/北院御室御集(春・夏・秋・冬・雑)/書陵部本拾遺 北院御室集(春・夏・秋・冬・雑)/守覚法親王百首 詠百首和歌(春廿首・夏十五首・秋廿首・冬十五首・祝五首・恋十首・鳥五首)/三百六十番歌合 正治二年/新時代不同歌合/月詣和歌集/夫木和歌抄/平家物語〔覚一本〕/源平盛衰記/(補遺)新古今和歌集・夫木和歌抄・御室五十首/付記/索引(全歌自立語総索引・五句索引)

▼既刊(重版出来!)
式子内親王全歌注釈 小田剛著 研究叢書173 本体15,000円 ISBN4-87088-754-1





 『論攷横光利一』 濱川勝彦編著 本体7,000円
  (近代文学研究叢刊24) A5・上製函入 304頁 ISBN4-7576-0086-0

 本書は、人生の底に潜む「虚無」を見詰め、そこから創作の原動力を汲み上げた青年期の横光利一が、新しい発想や表現を求め新天地を創造しつつ、一方では実生活の不幸に足元を掬われ悪戦苦闘の末、血路を見いだし、世界史の動乱と言う外界と、人間の心理と言う内面とに探く関わって行く過程を明らかにしようと試みた。昭和十年代の激動の中で、横光利一が身を挺して取り組んだ課題は、日本人であることのアイデンティティの確認であった。その大きな課題に苦闘する魂の試行錯誤を作品の中に探り、二十世紀前半を駆け抜けた横光利一が、幾多の過誤や蹉跌に満身創痍になりながら、誠実に解決しようと努力し、遂に果たし得なかった課題が、二十一世紀にもなお有効であることを論証することが本書の最終の狙いである。

〔内容目次〕横光利一・文学の軌跡―「序」に代えて―/T 一 初期作品と青年・横光利一―虚無からの創造―/二 『御身』/三  「蠅」・「頭ならびに腹」再論―蝿・子僧と構図を中心に―/四 「春は馬車に乗つて」/五 「上海」/六 「機械」―戯画化された自意識の混迷―/七 「旅愁」/八 「夜の靴」―自己流謫の書―/U 一 「旅愁」「祕色」と伊勢神宮/二 「雪解」解説/所収論文初出一覧





 『「仮名書き絵入り往生要集」の成立と展開研究篇・資料篇
 西田直樹編著 本体30,000円
  (研究叢書264)B5・上製函入 568頁 ISBN4-7576-0085-2

 「仮名書き絵入り往生要集」とは、江戸時代初期の『往生要集絵巻』と、江戸時代に刊行された同様の仮名書き絵入り版本の総称である。
 源信が著した『往生要集』は、日本人の地獄思想を体系化し、往生極楽の扉を指し示した。中でも、漢文の本文を漢字仮名交じり文に書き改めて挿絵を加えた「仮名書き絵入り往生要集」は、最も広い階層に読まれた『往生要集』である。これらは、説教台本や仮名草子としても読まれ、日本人の思想や文化に多大な影響を与えてきた。
 研究篇にて「仮名書き往生要集」の成立から「仮名書き絵入り往生要集」への展開に至る全貌を初めて明らかにし、翻刻篇には『往生要集絵巻』詞書などを収め、影印篇には希覯本を含む「仮名書き絵入り往生要集」五本と『極楽物語』二本を収載した。
 なお、当初収録予定であった『絵入往生要集』(古版)〔影印・翻刻〕は、諸般の都合により収録を見合せたことをお断りしておく。

〔内容目次〕【研究篇】第一部 『往生要集』の成立と展開 『往生要集』の成立と流布/漢文・翻訳・語りという三種類の『往生要集』テクスト/源信と受容者の間に成立するコミュニケーションの時代的変化/『往生要集』の伝本 第二部 「仮名書き往生要集」の成立と展開―『往生要集』の訓みの固定― 『往生要集』の仮名書き(延べ書き)本について/西南院蔵『往生要集』断簡について/伝後京極良経筆 浄福寺蔵『往生要集』について/興福寺蔵『往生要集』について/親鸞自筆『往生要集』について/明性寺蔵 蓮如自筆『往生要集』について 第三部 「仮名書き絵入り往生要集」の成立と展開 『往生要集絵巻』―「仮名書き絵入り往生要集」の成立/「仮名書き絵入り往生要集」の展開―江戸時代版本 【資料篇】『往生要集絵巻』詞書〔翻刻〕/『極楽物語』(古版)〔影印・翻刻〕/『極楽物語』(恵心の極楽物語)(寛文八年版)〔影印・翻刻〕/『ゑ入往生要集』(寛文十一年版)〔影印・翻刻〕/『ゑ入往生要集』(元禄二年版)〔影印〕/『往生要集』(寛政二年版)〔影印〕/『和字絵入往生要集』(天保十四年版)〔影印〕/『平かな絵入往生要集』(嘉永再刻版)〔影印〕




 『日本古典文学の仏教的研究』
 松本寧至著 本体11,000円
  (研究叢書257)A5・上製函入 392頁 ISBN4-7576-0071-2

 仏教文学とは人間性の発見である。時代の光と影、情念と悟達、自己凝視と信仰。日記、随筆、紀行、説話文学など、仏教的視点から見直すことで、従来の謎の部分が解明される。著者多年の仏教文学研究の集成。

〔内容目次〕時代があたえた光と影―序にかえて T 源流・展開・回帰 敗者の魁偉な孤影/歴史物語と説話/中世から古代へ U 旅・日記・発見 日記文学と仏教/宮廷女性の宗教感覚/宮廷三才女の仏教的教養/母一尺の鏡を鋳させて/『建礼門院右京大夫集』と『とはずがたり』の写経の記事について/『海道記』の形成 V 情念・流離・懺悔 『大和物語』小考/なぜ常不軽か/『宇治十帖』と仏教/懺悔と道心 W 苦行・狂惑・哄笑 笑いの根源(一)(二)/放逸邪見と聴聞随喜 X 信・縁・生 『鞍馬蓋寺縁起絵巻』の発見/新出『当麻曼陀羅縁起絵巻』について Y 人・仏・人 大福光寺本『方丈記』と龍門文庫本『摸方丈記』の奥書の意味/夏目漱石英訳『方丈記』をめぐって/今は忘れにけり/思索の果て 〈書評『仏教文学の周縁』〉



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