新刊案内(01年6月)


 『太宰治研究9』 山内祥史編 本体5,000円
 (定期刊行物)A5・上製 267頁 ISBN4-7576-0117-4

 【作品論】特輯「道化の華」から「花吹雪」まで
「道化の華」の現在性 長部日出雄/「彼は昔の彼ならず」論 川崎和啓/「満願」論 細江光/「デカダン抗議」の遊蕩 佐藤秀明/「春の盗賊」論 清水康次/「古典風」論 榊原理智/太宰治「ろまん燈籠」―コラボレーションへの憧憬― 大本泉/「恥」論を読む 小田桐弘子/卑屈ということ―「禁酒の心」― 松本常彦/「花吹雪」論―この作者の持つ笑ひはいまの大方の読者にすゝめたいものがある― 須田喜代次 【モデル考証】三鷹通信旧中鉢家―「朝」と「斜陽」と「グットバイ」と― 小船井美那子・島田怜子 【回想記】義兄太宰治と姉美知子 石原明 【資料紹介】「新ハムレツト」論―朗読劇「迎へ火」の典拠について― 宮地弓子/太宰治ビブリオグラフィー 一九九六〜一九九七 山内祥史 【作家論】葛西善三と太宰治 相馬正一 【作品評釈】「逆行」評釈(一) 山ア正純/「富嶽百景」評釈(三) 川崎和啓





 『生と死の文化史』 財団法人懐徳堂記念会編 本体2,300円
  (懐徳堂ライブラリー4) 四六・上製 216頁 ISBN4-7576-0113-1

 明治以後の近代化の土台となる日本型市場経済が姿をあらわしつつあった1724年、その中心である大坂に創立された町人の学問所「懐徳堂」は、近代日本の学術教育の重要なさきがけとなる。その精神を現代に蘇らせ、市民講座の開催や出版、資料収集活動をおこなっている「懐徳堂記念会」の編集による、第一線の研究者が一般市民向けに書き下ろす論集(ライブラリー)の第四冊。

 生と死はだれによってどのように決定され、語られ、考察され、信仰され、芸術に描かれてきたのか。
 人類はその誕生以来、死と隣り合わせに生き、また、自分が生きるために他の動物を殺し、食べつづけてきた。このため洋の東西をとわず、人間の救済を追及する宗教や哲学はもちろん、文学その他の芸術も、古代以来ずっと、生と死を重要なテーマとしてきた。こうした過去の気の遠くなるような積み重ねのうえに、現在のわれわれは生きている。
 しかし、二十世紀の歴史は、生と死の様相を大きく変える。それは、「戦争の世紀」として、大量死の問題を人類に突きつけただけではない。二十世紀は言論や映像の世紀でもあったため、そこでの死の語り方、描き方といった新たな検討課題が浮上する。また、爆発的な科学技術の発達は、その負の側面として、大量殺戮兵器を生み出し、生態系や人間の健康に負担をかけただけではない。医療の発達は日常から死を遠ざける一方で、社会の高齢化とともに「自宅の畳の上で平穏に往生することが難しい」「個人の死は誰が決めるのか」などの問題を噴出させる。
 こうしたさまざまな側面で人間の死を、ひるがえって生を考えることは、人文学の根源的な課題であり、また、人文学の関与なしには、現代の生と死の問題を理解することはできないのである。
 新たな世紀と千年紀の出発点にあたり、六人の執筆者が人間の原点の問い直しをよびかける。
なお、本書は平成九年春・秋、十年春と、三季連続でおこなわれ、好評を得た生と死をテーマとする公開講座の講演に基づき企画されたものである。

〔内容目次〕人間らしい安らかな死―尊厳死と安楽死― 浅野遼二/戦争における証言の領域 冨山一郎/考えにくい死を考える―哲学のまなざし― 中岡成文/「日本仏教」から見た人と動物―「殺生肉食」と「動物供養」の問題を中心に― 中村生雄/源氏物語の生と死 伊井春樹/日本映画における生と死 上倉庸敬

▼既刊
 『道と巡礼―心を旅するひとびと―』 懐徳堂友の会編(懐徳堂ライブラリー1) 本体2,500円 ISBN4-87088-623-5
 『批評の現在―哲学・文学・演劇・音楽・美術―』 懐徳堂記念会編(懐徳堂ライブラリー2) 本体2,800円 ISBN4-87088-988-9
 『異邦人の見た近代日本』 懐徳堂記念会編(懐徳堂ライブラリー3) 本体2,600円 ISBN4-87088-991-9





 『増補改訂小野篁集・篁物語の研究
   影印 資料 翻刻 校本 対訳 研究 使用文字分析 総索引

 平林文雄・財団法人水府明徳会編 本体10,000円
  (研究叢書271)B5・上製函入 361頁 ISBN4-7576-0107-7

 昭和20年の戦災によって失われた彰考館旧蔵乙本の宮田和一郎氏による影写本を含めて、小野篁集・篁物語のすべての写本の影印と、「文学」の翻刻に先立つこの作品初の翻刻たる「厳橿」誌掲載並びにそれを別刷和装本として刊行した幻の翻刻本の複製などの資料、および小野篁関係の伝記・事績・説話・作品等、更に全写本の仮名字母漢字の比較分析、使用語彙の総索引、和歌・各句・懸詞・枕詞索引、文献目録等を網羅完備した昭和63年刊行の旧版に全面的な改訂と増補を施したのが本書である。
 増補は資料篇に、今は稀覯となった宮田氏著の校註篁物語、新校篁物語、篁日記(『王朝三日記新釈』)の三篇を複刻掲載して、研究に資するとともに、研究篇では、小野篁集・篁物語の典拠、並びに詳細な研究史、および篁物語乙本は甲本の直接の子写本であることを論じた論文三篇を加え、他の個所においては、判明する限り克明な改訂加筆を行ない、この作品研究のより完璧な集成たるを期した。

〔内容目次〕第一部 影印篇 篁物語(乙本)影印/篁物語(甲本)/小野篁集影印 第二部 資料篇 厳橿誌掲載翻刻複製/和装単行本翻刻複製/校註篁物語(宮田和一郎)/新校篁物語(宮田和一郎)/篁日記(「王朝三日記新釈」)(宮田和一郎) 第三部 翻刻校本篇 篁物語(乙本)翻刻本文/篁物語・小野篁集校本/三本並列対校本 第四部 対訳篇 整定本文・現代語対訳 第五部 研究篇 小野篁の家系と事績・説話/小野篁の伝記とその作品群/題材・構成・伝本・研究史/篁物語の伝来と彰考館旧蔵乙本/『小野篁集』『篁物語』の典拠/『小野篁集』『篁物語』研究史/小野篁集・篁物語関係文献目録/彰考館旧蔵乙本は甲本の子写本 第六部 使用文字分析篇 小野篁集仮名字母本文/篁物語甲乙両本対照仮名字母本文/小野篁集・篁物語甲乙本漢字索引/三本使用の漢字別数量一覧表/三本写本別使用漢字数量分類一覧(写本別使用漢字一覧/写本別漢字特殊用例一覧)/小野篁集仮名字母索引/篁物語(甲本)仮名字母索引/三本使用の仮名字母別数量一覧表 第七部 総索引篇 凡例/一般語彙索引/地名索引・人物索引/助詞・助動詞索引/接頭語索引・接尾語索引/歌句索引/懸詞索引・枕詞索引/和歌索引 



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