新刊案内(01年3月)


 『梅の文化誌』
 梅花女子大学日本文学科編 本体2,300円
  (和泉選書125) 四六・上製 235頁 ISBN4-7576-0099-2

 梅は「難波津に咲くやこの花冬ごもり今は春べと咲くやこの花」と詠まれたように、春の先駆けとして咲く花である。その昔、内裏の庭に橘とともに植えられたのは、後に桜にその位置を譲ったとはいえ、梅であった。王朝の美意識を集大成し、今に至る私たちの感性を形作った古今集では、梅は春の部だけではなく、冬の部にも詠まれている。桜に散りゆくものの美しさとはかなさを見た人々は、雪のなかで薫る梅に、春へのあこがれやよろこびを見たのである。とすれば、新たな世紀に踏み入るにあたって、梅について論じるのは故なきことではなかろう。しかも、中国から渡来した梅が日本の社会に根付いていくさまは日本文化の一面を如実に象徴している。
 本書は、梅花女子大学の日本文学科の教員が校名にちなんだ「梅」をテーマに日本の文化について総合的に考究したものである。
 本書の特徴は、梅に食用と鑑賞の二面があるように多角的なことである。文学作品だけの考察であれば花の鑑賞が中心となってしまう。けれども、中国の文献を渉猟し、ことわざや命名といった社会言語学の観点からは食用としての面が浮かび上がってくる。文学作品にしても通時的に取り上げただけではなく、韻文・散文・芸能、そして近代のの市民生活を反映した唱歌と、異なるジャンルにも目配りした。さらに、漢字やかなの書を実際に取り上げて書体や書風、美意識について、図版を多用して論じた。

〔内容目次〕梅花女子大学の梅―序にかえて― 第一章 ことばとしての「梅」―慣用表現・ことわざを中心に― 大谷伊都子/第二章 「梅」……中国発 菅本大二/第三章 渡来した花―万葉の「梅」― 市瀬雅之/第四章 平安朝の美意識―白梅か紅梅か― 中川正美/第五章 梅は咲いたか、桜はまだかいな―中世文芸に見る梅のイメージ― 高橋喜一/第六章 心ありげなこの早咲き―近世演劇の中の「梅」― 荻田清/第七章 唱歌における"梅" 木村正明/第八章 「梅」を使ったネーミング 米川明彦/第九章 「梅」字の書体といろいろな書風 久保田義一/第十章 古筆に見る「梅」文字表現―書としての造形を探る― 吉村茂





 『日本文学と美術』 光華女子大学日本語日本文学科編 本体2,500円
  (和泉選書126) 四六・上製 237頁 ISBN4-7576-0100-X

 日本文学と美術のかかわりは、いくつもの地平においてさまざまの形で現れる。まず、創作の場における相互の影響という問題がある。次に、発表の場における文学と美術の共同作業の問題がある。絵巻・絵入り本などの持つ問題である。それと重なりながら、挿絵と文章との関係など享受の場における両者のかかわりの問題がある。さらに、文章表現における絵画性の問題、絵画の中にある文学性の問題も存在する。
 収録の各論文は、上代から近代にわたる各時代の作品を取り上げ、それぞれの局面において文学と美術とのかかわりを追求し、これらの問題にいくつもの光を当てるものである。
 なお本書は、平成十一年に行われた第九回光華女子大学公開講座「日本文学と美術―読む文化と見る文化―」の講演に基づくものである。

〔内容目次〕青柳の枝くひ持ちて鶯鳴くも―万葉歌と美術との接点― 朝比奈英夫/古今集・源氏物語の遠近法―「見渡せば」をめぐって― 神谷かをる/王朝女流作家の美意識と作品創作―清少納言と紫式部の視点から― 松田豊子/物語から絵画へ―絵巻の方法― 若杉準治/伝宗祇編『絵入和歌集』の世界 三村晃功/説経作品の挿絵―『をぐり』と『さんせう太夫』など― 肥留川嘉子/絵で見る『伊勢物語』―近世絵入り版本の世界― 山本登朗/新聞小説と挿絵―小杉天外『魔風恋風』を中心に― 関肇/『白樺』派の作家と西洋絵画―画家の自我から文学者の自我へ― 清水康次





 『鉄幹と晶子第六号 上田博編 本体2,200円
  (定期刊行物) 菊判・並製 188頁 ISBN4-7576-0093-3 全六巻・完結

特集 『明星』『みだれ髪』100年

〔内容目次〕〈花船〉五足の靴 池内紀〈歌栞〉佐佐木幸綱〈鏡心燈語〉『明星』初期の女流歌人 尾崎左永子/茅野雅子と「青鞜」 青木生子/藤島武二とアール・ヌーボー 児島薫〈草の夢〉晶子文学の継承者たち 島内裕子/与謝野晶子の童話「金魚のお使」 古澤夕起子〈大正と現代〉佐藤春夫の晶子像 半田美永〈人間往来〉晶子様の手紙 秋山佐和子〈回廊〉蓬左文庫と雑賀重良 松村洋〈采花歌壇〉選者 安森敏隆/短歌辞典の時代 三枝昂之〈東西南北〉『冬柏』時代の晶子の添削指導 管宗次/啄木を生きるということ『石川啄木』 河野有時/翻訳という創造『HEAVENLY MAIDEN Tanka』 加藤治郎/『鉄幹と晶子』第五号を読む 小野由紀/第四回文芸講演会 内田賢治/『明星』創刊100年特別展 『明星』100年展 森下明穂/上田博著『石川啄木』出版記念講演会 田口真理子/今、読める、鉄幹・晶子/鶯見台 上田博〈資料篇〉『紫』 解題・池田功/『みだれ髪』 解題・田口道昭

▼既刊好評発売中(全六巻・セット価 12,942円)
◎第一号 特集 与謝野鉄幹歿六十年記念 228頁 本体1,942円 ISBN4-87088-787-8
◎第二号 特集 与謝野晶子の詩 220頁 本体2,200円 ISBN4-87088-821-1
◎第三号 特集 パリから帰った鉄幹と晶子 202頁 本体2,200円 ISBN4-87088-878-5
◎第四号 特集 晶子の花物語 204頁 本体2,200円 ISBN4-87088-938-2
第五号 特集 童話・童謡の宇宙 202頁 本体2,200円 ISBN4-7576-0010-0





 『阪中正夫文学選集』 半田美永編 本体5,000円
  (近代作家文学選集2)A5・上製 328頁 ISBN4-7576-0095-X

 「『馬』にしろ、『田舎道』にしろ、阪中正夫の戯曲にはアイロニーの照明がきっちりと当っている。そこには詩があるということで、彼がもともと詩人だったということと、これは無縁ではないだろう。詩が演劇の魂である限り、今日から見て時代のずれはあるにしても、彼の戯曲は不朽だ、とわたしはかたく信じている。」    劇作家 原 千代海


 西暦2001年(平成13年)は、阪中正夫生誕百年に当たる。本選集は、これを記念する作品集であり、阪中正夫の生前に刊行された作品集を底本に、初出本文と照合して、より完成度の高い本文を追究した新しい文学選集である。阪中文学の原点ともいえる詩集『六月は羽搏く』(大正13・12、抒情詩社)のすべての作品、及び「馬―ファース」(加筆本文)、「田舎道」、「町人」などの代表戯曲六編に、略年譜、著作一覧などを収録。詩人から劇作に転じ、岸田國士の薫陶を受けて、方言戯曲に独自の世界を開拓した劇作家の全貌が、ほぼ明らかになる。
 阪中正夫は、昭和7年3月から同15年12月にかけて刊行された「第一次劇作」(白水社、通巻104冊)の主唱者であり、この雑誌は川口一郎「二十六番館」をはじめ、田中千禾夫、小山祐士、森本薫、内村直也などの作品を輩出した。本書は、台詞(ことば)に執着し、詩魂を秘めた文学者の為事を、現代に問いかけるものである。

〔内容目次〕第T部 詩集篇 詩集『六月は羽搏く』 白鳥省吾・序/自序/「樹木を植ゑる」 芝の焼けるのを見る・田舎・農夫の帰り・鶸・ある夕景・芽ばえ・蓮池・梅一・梅二・樹木を植ゑる・川・川船・六月・鮎狩り・野菜畑・苗代・朝・四季・夏蜜柑・蜜柑の花・墓地に眠る子供よ・雲雀・蜂・雨の降る日に・あの日・古巣・芸術について・梨・故郷/「木の芽」 焼き鳥をたべて・衣裳を持て遊ぶ・木の芽・小鳥を見捨てよ・雅やかな婦人・花弁・鮎かけ・裸体デッサン・白薔薇讃/「詩劇」 感傷に殉死せしある植字工の死の前夜の独白 第U部 戯曲篇 鳥籠を毀す馬―ファース田舎道故郷傾家の人町人 阪中正夫略年譜/阪中正夫著作一覧(単行本/講座・作品集等収録/雑誌・新聞・プログラム類掲載/放送台本)/舞台上演記録覚書/ラジオドラマ放送記録/解説に代えて




 『尾崎行雄の選挙世界に誇れる咢堂選挙を支えた人々
 阪上順夫著 本体4,500円
  (松阪大学地域社会研究所叢書2)A5・上製 264頁 ISBN4-7576-0091-7

 日本政治の腐敗構造の最大の要因は、選挙に金がかかることとされている。二十五回連続当選「憲政の神様」尾崎行雄の選挙は、選挙民が手弁当で行なう理想選挙であった。その選挙民に支えられて、尾崎は国政に専念し、権力と戦うことができた。咢堂選挙の実態を、文献資料だけでなく、幅広い聞き込み調査によって初めて明らかにした。
 咢堂選挙の中心は、咢堂会であり、後援会の先駆的存在であるが、政治家が金を注ぎ込む現在ものと違い、支持者が金と労力を提供して尾崎を国政に送り出す組織であった。さらに特筆すべきは、選挙区以外にも、名古屋を始め各地に咢堂会が設立され、資金などの支援を行ったことである。尾崎の偉大さを立証するものといえる。
 日本では長い間明るい選挙運動が展開されているが、十分な成果があがっていない。咢堂選挙を特殊化するのではなく、理想選挙のモデルとして政治家も有権者も学び取り、二十一世紀の政治改革を実現すべきである。

〔内容目次〕一 私はなぜ尾崎行雄にこだわるか/二 尾崎行雄はどんな政治家であったか―その生涯から―/三 日本の選挙の問題点と咢堂選挙/四 尾崎行雄の選挙の足跡/五 尾崎行雄の選挙を支えた人々/六 尾崎行雄の有権者への警鐘/七 二十一世紀日本の民主主義の危機と咢堂精神 資料編 尾崎行雄の選挙の記録/尾崎行雄の「標準」/咢堂五訓/尾崎行雄の選挙広報/尾崎行雄の政治に関する短歌/尾崎行雄の著書/尾崎行雄に関する参考文献/尾崎行雄関係の記念館・団体




『国語語彙史の研究 二十 第二十集記念・前田富祺教授退官記念
 国語語彙史研究会編 本体11,000円
  (定期刊行物)A5・上製函入 435頁 ISBN4-7576-0102-6

国語語彙史研究の体系化と共に、語彙史研究の新たな方法論や隣接分野との関わりにも積極的に取り組んだ論文集。

〔内容目次〕"第二十集記念"ならびに"前田富祺教授退官記念"にあたって 山内洋一郎/母音連続の融合と非融合―a+e、V+格助詞「へ(エ)」、V+格助詞「を(オ)」の場合― 柳田征司/意味変化の形態的指標となるもの 小野正弘/語彙史の地代区分・文字史の時代区分 乾善彦/上代形容詞の語構成 村田菜穂子/一時的ケシ型と二次的ケシ型 蜂矢真郷/地名(歌枕)の語構成―連体助詞「の・が」をめぐって― 糸井通浩/平安仮名文における「対面」 中川正美/モダリティ形式の連体用法―「枕草子」を資料として― 高山善行/古代和歌における指示副詞「かく」 半澤幹一/源氏物語における指示語「さて」の用法―平安和文での接続詞的用法の展開をめぐって― 西田隆政/平安期和文資料におけるハ行四段動詞ウ音便形について 奥村和子/動詞「そぼつ」「そぼふる」について―清濁の組み合わせ四種ある語― 山内洋一郎/「ウチツヅク」考 近藤明/「善悪」の語史―副詞用法発生前史― 玉村禎郎/「愚痴」考―仏教語からの派生の一面― 郡千寿子/《滑稽な人》を表す「ひょーひゃく」成立の史的背景 山本真吾/近世節用集書名変遷考―一七〇〇年前後の転換期まで― 佐藤貴裕/「眉毛」の語史―文献と方言との対照から― 小林隆/多義語における語レベル固有の意味について―「見る」を対象として― 斎藤倫明/引用形式「〜トスル」の表現性―「当局は、早急に調査するとしている」などの表現について― 藤田保幸/"髭尽し"をめぐって 前田富祺/複合動詞の語構造分類 石井正彦/現代日本語における漢語系接尾辞―「〜中(チュウ)」「〜中(ジュウ)」の使い分けをめぐって― 丹保健一/音・声の《大小》《高低》を表す語彙について 久島茂/「談合」―キリシタン資料「和らげ」の語釈に用いられた漢語― 浅野敏彦/「子音語幹」と活用―日本語動詞無活用論を手掛かりに― 福田嘉一郎/前田富祺教授著書・論文目録 内田宗一編/書名索引/人名索引/語彙索引/『国語語彙史の研究』第一〜二十集総目次




 『日本語史論考』 西田直敏著 本体11,000円
  (研究叢書270)A5・上製函入 400頁 ISBN4-7576-0101-8

 日本語史すなわち日本語の歴史記述において、言語生活史的視点を欠かせぬことは、もはや今日の常識となっていると言ってもよいかと思う。しかしながら、実際に、日本語史を書こうとすると、読み・書く、話す・聞く生活という枠だけでは、おおまかに過ぎる。もっときめ細やかに、実態をおさえてということになる。そこで考えられるのが社会史的文化史的な視角の導入である。本書は、新たな日本語史を構築するには、言語生活史に社会文化史的を加味することが必要であるとする。そして言語史は、社会におけるさまざまな言語コードが生成し、変化し、交代することによって、そのかたちが形成されていく。日本人の社会と文化とが最も現れやすい敬語史と文字史についての論考を中心に文体、語の問題に至るさまざまな問題をとりあげて考察した。

〔内容目次〕T 日本語史研究への新視角 一 敬語史研究の一構想/二 日本人の文字生活史序章/三 中世日本語研究への新視角 U 日本語史研究の諸問題―中世を中心に― 一 浄福寺本仮名書き『往生要集』の国語学的考察/二 明性寺本仮名書き『往生要集』について/三 明性寺本仮名書き『往生要集』の仮名遣/四 『花園天皇宸記』の助数詞/五 『太平記』の文体と語法/六 『太平記』の文体/七 物語の敬語運用/八 『平家物語』の敬語運用/九 古語の解釈二題/十 「厭離穢土」の訓み V 現代の文章・文体・敬語 一 文体・表現/二 文章・文体(現代)/三 敬語行動の現在 W 用語解説 一 日本語史関係/二 文章・文体関係/三 敬語関係 X 書評・追悼論文 一 山田巌著『院政期言語の研究』/二 金岡孝著『文章についての国語学的研究』/三 石坂正藏先生の国語学




 『中世文学叢考』 荒木 尚著 本体11,000円
  (研究叢書269)A5・上製函入 309頁 ISBN4-7576-0098-4

 本書は、著者の四十余年にわたる中世文学研究の中から選んでまとめた論文集である。『今川了俊の研究』以後の了俊研究では、了俊の著述から万葉集の訓法や諸説、夫木和歌抄の「言語」項とその内容、源氏物語の受容に関する問題などをとりあげて考察、冷泉派的な視点なるものを認めて明らかにしようとし、また、京極為兼の恋歌、兼好の誹諧歌、兼載名所方角和歌の翻刻と注解を試みた。また徒然草をめぐる問題では、伝本や享受のこと、新資料幽斎筆本を紹介し、少々の検討を加えたものを収載した。

〔内容目次〕第一部 一 『新勅撰和歌集』雑歌二―その内容と構成―/二 京極為兼の恋歌二首―『玉葉集』覚書―/三 『夫木和歌抄』巻三六「言語」考/四 定家卿の家の万葉受容―『万葉集佳詞』をめぐって―/五 『万葉集』と今川了俊/六 兼好の誹諧歌試論/七 『兼載名所方角和歌』考―新資料の翻刻を兼ねて―/八 室町時代の歌論・歌学―今川了俊の歌論を中心に―/九 九州探題今川了俊の文学活動―『二言抄』を中心に― 第二部 一 桜井神社蔵『徒然草』考/二 細川幽斎筆『徒然草』について〔翻刻・影印〕 第三部 一 「光源氏巻々注少々」とその周辺/二 『檜垣嫗集』の成立私論




 『貫之から公任へ三代集の表現 阪口和子著 本体9,000円
  (研究叢書268)A5・上製函入 320頁 ISBN4-7576-0096-8

 紀貫之は『古今集』から秀歌を抄出して『新撰和歌』を編んだが、その歌風は技巧をおさえ心を主にしたものであった。また藤原公任の撰した『拾遺抄』は、四季部を各一巻とし、屏風歌を主とする編成で新機軸をうち出している。本書では、この二つの撰集の四季・恋・雑の各部立の構成と内容を詳察し、両者の景物、歌の配列などを比較研究することにより、公任の『古今集』享受と継承は、貫之の晩年の歌風を反映した『新撰和歌』を通してのものであることを検証する。
 一方、例えば先行歌をふまえた表現は拾遺集時代の和歌の一つの典型ともいえるが、こうした和歌を代表するのが公任の歌風である。公任の秀歌撰『金玉集』『深窓秘抄』『三十六人撰』における選歌の基準や彼自身の詠歌からその和歌観についても考察する。
 『古今集』から『新撰和歌』さらに『拾遺抄』への過程を辿るなかで、貫之と公任の二人によって確立された三代集表現の本質を究明する。

〔内容目次〕序に代えて 片桐洋一 第一編 貫之から公任へ 第一章 貫之と『新撰和歌』 T 四季の巻の構成―巻第一春秋 巻第二夏冬―/U 『新撰和歌』の恋歌/V 『新撰和歌』の雑歌 第二章 公任と『拾遺抄』 T 四季部の構成と内容/U 恋部の構成と内容/V 雑部の構成と内容/W 『拾遺抄』の詞書 第三章 公任の和歌観 T 『新撰和歌』と公任―『拾遺抄』四季部を中心に―/U 『金玉集』と『深窓秘抄』/V 『三十六人撰』における公任の選歌意識/W 公任の歌風/X 公任の自然観 第二編 三代集の表現 T 三代集の枕詞/U 近江の歌枕/V 歌枕の変遷―歌語から名所へ―/W 定家の『拾遺集』享受について―『二四代集』恋部を中心として― 




 『漱石『夢十夜』以後 仲 秀和著 本体2,500円
  (和泉選書124)四六・上製 232頁 ISBN4-7576-0055-0

 『夢十夜』は、掌篇ながら、以後の漱石が展開させようとしたテーマの核のようなものを含んだ作品である。そのテーマは、さまざまに変奏され独自の作品の姿をつくり出している。
 本書は、漱石が生涯手放すことのなかった彼の精神の内奥の主題から目を離さず、作品を作品たらしめているゆえん、その全体の主題と構造を文脈の細部を読み透すことより、明らかにした論文集である。『夢十夜』から『明暗』までを論ず。

〔内容目次〕『夢十夜』論―統一的なテーマ・モチーフ・イメージと、漱石の生涯の主題―/『三四郎』論―青春の夢と挫折の物語―/『それから』論―代助の「それから」―/『門』論―過去からの逃走―/『彼岸過迄』側面―「迷信的な」人々―/『行人』論―「謎」と「一郎の内部世界」―/『こゝろ』の不思議―運命の変化の臨界点・「偶然」と「突然」―/『硝子戸の中』論―『道草』への歩み―/『道草』論―「意味」「洋燈」「温かさ」―/『明暗』断想




 『馬琴の戯子名所図会をよむ』 台帳をよむ会編 本体3,300円
  (近松研究所叢書4)四六・上製 180頁 ISBN4-7576-0103-4

 馬琴(ばきん)著、豊國画の『戯子名所図会(やくしゃめいしょずえ)』は、名所図会の形式を借りながら、当時の江戸歌舞伎役者を描いた列伝である。寛政末期の人気役者の屋号、俳号などを地名に見立てて、得意芸を織り交ぜて、名所巡りの趣向で三巻に仕立てている。挿絵もそれに準じて巧みに風物化した構図になっていて、その中には何が隠されているのかと、興味津々たるものがある。読本作者馬琴の遊び心から生まれた戯書であろう。しかし才知に長けた馬琴のことであるから、それを解きほぐす興味も尽きない。馬琴との智恵くらべとでもいえよう。
 「台帳をよむ会」では、三年近くにわたって輪講を続けてきた。それは馬琴との格闘でもあった。その輪講の成果を、注釈書としてまとめたものが本書である。したがって注釈は、文章の修辞、挿絵の絵解きに重点を置き、文脈の背景にある役者の芸歴を探るということになった。またその一助として、各役者の項目ごとにその役者の首絵を添え、それぞれの紋、俳号、屋号を示して、解読の便を図った。

〔内容目次〕凡例/巻之一本文/巻之二本文/巻之下本文/増補之巻/解題



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