新刊案内(02年12月)
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『説経と舞曲 文学的研究』 肥留川嘉子著 本体8,500円 (研究叢書287) A5・上製・函入 306頁 ISBN4-7576-0183-2 これまでは主として民俗学的、あるいは成立論的な見地から論ぜられてきた説経の作品が、本格的な文学論の対象たりうることをはじめて実証した前書『説経の文学的研究』に続いて、本書ではさらに新たに、やはり代表的な説経の古典といいうる三作品に対して、論理的に厳密な解析がなされ、それぞれの文学としての魅力が明らかにされている。 と同時にこのたびは、語り物であるという意味で大きくは説経と類同の関係にあるのみならず、文学としてのその価値が、従来はかならずしも十分に理解されてこなかったという意味でも説経に似た運命にあった舞曲の、その作品三つについても同様に、丁寧かつ具体的な読解がなされ、それによって各々の文学的主題が闡明されている。また、最後に浄瑠璃『大塔宮曦鎧』についての論が加えられているのは、その作品本文中に本書で論じた舞曲『満仲』の重要な部分が引合いに出されていて、そこが『大塔宮』においても、主題を語るにあたって主要な箇所であった、という縁による。 〔内容目次〕 説経『さんせう太夫』論 説経『松浦長者』論 説経『中将姫御本地』論 舞曲『築島』論 舞曲『景清』論 舞曲『満仲』論 浄瑠璃『大塔宮曦鎧』論―「身替り音頭」の身代りについて― |
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『雨月物語の表現 』 田中厚一著 本体7,000円 (研究叢書285) A5・上製・函入 243頁 ISBN4-7576-0181-6 十八世紀の作品でありながら、時代を超えて〈近代〉的と評価され続けてきた上田秋成の『雨月物語』。充実した研究史が積み重ねられている作品集ではあるけれども、何故、近代的なのかという点についてはあまり本質的な議論は為されてこなかったように見受けられる。 本書では、細部の表現にこだわりつつ、インターテクスチュアリティの視点から、テキストの分析を試みた。多くの和漢の典拠を持ち、又、風変わりな語り方を旋律とするこの〈物語〉の構造は、むしろ近代文学が喪失したであろう様々な豊かさを内包しており、近世初期読本の可能性を我々に見せつけている。なお、この点については、同時代の建部綾足との表現上の緊張関係(特に『西山物語』)からも分析を試みている。 また、作品集としての全体構成についても、既に様々な論議があるが、その点を踏まえつつ要になる作品を絞り込んで明快に論じた。 著者が十五年に渡り、『雨月物語』の表現と徹底的に向き合い、上田秋成という一個の書き手の息吹(エネルギー)を感じ取ろうとした渾身の書である。 〔内容目次〕 第一章 典拠からの逸脱 第一節 「菊花の約」―自立する〈作者〉― 第二節 「浅茅が宿」―創られる伝説― 第二章 偏向する〈語り〉 第一節 『雨月物語』の〈語り〉の構造―「仏法僧」・「吉備津の釜」・「青頭巾」― 第二節 「白峯」―「ゆるされ」た者の論理― 第三節 「蛇性の婬」―偏向する〈語り〉― 第三章 交渉する物語 第一節 『西山物語』―自註のダイナミズム― 第二節 『本朝水滸伝』―歌の機能― 第四章 『雨月物語』の構成 第一節 「夢応の鯉魚」―往還する物語― 第二節 「仏法僧」―考証と物語― 終章 否定された〈物語>―「貧福論」の哀しみ― |
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『紀伊半島近代文学事典 和歌山・三重』 浦西和彦・半田美永編 本体3,800円 パンフレット呈上します (和泉事典シリーズ13) A5・上製 307頁 ISBN4-7576-0180-8 【刊行のことば】 近代文学の歴史は、東京を中心に文壇が形成され、展開されていった。多くの文学者は東京に移住し、創作活動の場を東京に求めた。だが、日本の近代作家たちの多くは、東京に生活をしながら、いかに故郷への愛憎をひきずりつつ、文学に専心していたことか。書かれた多くの作品のなかに、いかに作家たちの魂と血液に故郷が沁みているか、容易に見て取ることが出来よう。近代文学を地方の視点から考察してみることも必要であり、大事なことであろう。そこで本事典は紀伊半島を核にして、明治以後の近代文学の様相を見渡したいという意図のもとに編まれた。(本書「はしがき」より) 〔内容目次〕 紀伊半島近代文学事典 紀伊半島近代文学略年表 和歌山県・三重県文化施設所在地一覧 和歌山県・三重県出身文学者名簿 枝項目(作品名)索引 付雑誌・新聞名索引 “紀伊半島の織りなす文学世界” この紀伊半島から斎藤緑雨・佐藤春夫・丹羽文雄・有吉佐和子・中上健次らの多くの優れた文学者たちが生まれ育った。横光利一が幼少時に伊賀の柘植で過ごし、彼の故郷ともなった土地でもある。また、梶井基次郎が療養のために義兄の家、三重県北牟婁郡船津村に夏を送り、名作「城のある町にて」をスケッチし、三島由紀夫が「潮騒」で鳥羽市神島を舞台に素朴で健康な若者と少女の美しい恋物語を描くなど、近代文学と深いかかわりのある半島である。 ☆御推薦☆ 楽しめる文学事典のお薦め 津市図書館協議会会長 三ツ村健吉 この本には、参考図書として充実し、どこから切り込んでも読者の需要に応えてくれる温い心がある。ことに学校教育の場にあって、学校図書館が総合学習の荷負手として期待されている今日、この事典が郷土教育の教材源として、また人間教育の糧として幅広く活用されよう。 読んで楽しく、使いやすい文学事典 前和歌山県立文書館館長 立花秀浩 夏目漱石は、講演で大阪から和歌山入りし、和歌浦で東洋一のエレベーターに乗ったなどと、その時の様子が、詳しく、しかも、平易な文章で書かれている。文学を通して、高野・熊野・伊勢など、紀伊半島の近現代史を知ることも、読む楽しみである。 【本書の特色】 ●紀伊半島に関わりのある文学者を五十音順に配しその作品は枝項目として取り上げた ●和歌山・三重両県内で編集・発行された雑誌等も項目として掲載 ●紀伊半島の近代文学を網羅する主項目は約700余 ●執筆陣は編者を始め総勢22名の気鋭の文学研究者 |
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『漱石と子規 漱石と修 大逆事件をめぐって』 中村文雄著 本体3,200円 パンフレット呈上します A5・上製 443頁 ISBN4-7576-0185-9 ◎厖大な漱石研究の中で、初めて"漱石と大逆事件"を検証した一書◎ 山田風太郎は、「見ようによっては、漱石自体が子規によって生まれたものといえる。漱石がいなくても子規はわれわれの知る子規として存在したろう。しかし、子規が存在しなかったら、われわれの漱石はついに誕生しなかったような気がする。」と述べる。子規から文学上の刺激を受けた漱石は、子規の唱えた写生文を『吾輩は猫である』において結実させた。 第一編では、子規との交友を通して作家漱石の誕生をたどる。子規没後も、漱石の心の中に子規は生き続け、旅にあっては、その昔二人で訪れたことを思い出し、「あづま菊」の絵を取り出しては友を懐かしむ漱石の姿には、胸に迫るものがある。 第二編では、もう一人の人物、平出修との関係において、漱石が明治の時代性とどう関わっていたかを検証する。ロンドン留学時に日英同盟の締結、ヨーロッパ列強の帝国主義政策を間近に見た漱石は、故国日本や中国の現状に思いを馳せながらどのように受けとめたのだろうか。漱石と修の作品から日露戦争についての戦争観を考察する。また大逆事件に焦点を当て、修の弁論や被告等の書簡、裁判史資料と、漱石を初めとする文学者の反応を丹念に追尋し、漱石と大逆事件の関わりを闡明する。ついで事件後の講演、博士号の辞退、文芸院設立をめぐっての漱石の種々の言動も眼下に収め、国家・戦争・権力等の明治の時代性と共に、その時代を生きた漱石の真の位相を浮彫りにする。 【内容目次】 序にかえて――概観 第一編 漱石と子規 1.漱石の談話「正岡子規」/2.漱石の学生時代の子規宛書簡と「京に着ける夕」/3.松山の漱石と子規/4.熊本と子規庵/5.ロンドンと子規庵/6.子規追想 第二編 漱石と平出修 一章 日露戦争時の漱石と修 1.漱石と日英同盟前夜の国際情勢/2.日露戦争とその実態/3.戦時の平出修/4.君死にたまふこと勿れ/5.戦時の漱石 二章 大逆事件をめぐって 1.大逆事件とは/2.啄木の「所謂今度の事」、森田草平「石川啄木の事ども」/3.平出修と大逆事件/4.被告たち、弁護士たち/5.大逆事件批判者の群れ/6.修をめぐる人々と事件関連作品/7.漱石をめぐる人々/8.漱石と大逆事件 三章 漱石と修の接触 1.漱石作品の批評をめぐって/2.余裕の文学をめぐって/3.博士号の辞退をめぐって/4.文芸院の設立をめぐって/5.自然主義をめぐって 参考文献/人名索引 ▼既刊関連書 「君死にたまふこと勿れ」 中村文雄著 和泉選書85 本体2,427円 漱石と異文化体験 藤田榮一著 和泉選書117 本体2,500円 漱石 『夢十夜』以後 仲 秀和著 和泉選書124 本体2,500円 管野須賀子の生涯 記者・クリスチャン・革命家 清水卯之助著 和泉選書131 本体2,500円 |