新刊案内(02年1月)


 『近世中期の上方俳壇』 深沢了子著 本体11,000円
  (研究叢書275)A5・上製・函入 372頁 ISBN4-7576-0135-2

 享保から宝暦にかけての時代、芭蕉没後の都市俳壇では、趣向を構え、技巧を誇る洒落風が流行した。本書は江戸の洒落風が上方で流行・変容していくさまを、淡々・紹廉など江戸から上方に移り住んだ俳人の影響を中心に、作風・付合意識・芭蕉観などの視点から考察したものである。洒落風を取り込みながらも、やがて明和期には上方俳壇の主流は平明な作風になっていく。明和期の平明さと、洒落風の作意とが絶妙のバランスで表現されたものとして、蕪村の発句についても論じた。

〔内容目次〕序  長島弘明 序章 はじめに 第一部 京俳壇 第一章 淡々の上京(淡々の俳歴/宝永・正徳期の京俳壇/淡々の上京/上京後の活動/結論) 第二章 淡々の作風と流行(『にはくなぶり』/『花月六百韻』/淡々門の隆盛) 第三章 享保以降の貞門俳人(享保中期の状況/貞門俳人と淡々流の点取俳譜/宝暦以降の俳壇構成/丈石) 第四章 宋屋考―宝暦期京俳壇の展開―(はじめに―巴人の上京と作風―/宋屋と芭蕉/宋屋の作風/宋屋と巴人) 第五章 蕪村発句試論(はじめに/「夜半亭月並小摺物」考/静かな時雨/春雨の伝統・俳意/涼二景/おわりに) 第二部 大坂俳壇 第六章 淡々と大坂俳壇(享保期の大坂俳壇/淡々の大坂進出/高点付句集―百句放言―/高点付句集―速さと多さ―) 第七草 紹廉の系譜(はじめに/紹廉/門人たち/おわりに) 第八章 芭蕉の受容一―『師走嚢』の場合―(はじめに/梅門/譬喩/かけ合/趣向/芭蕉像/おわりに) 第九章 芭蕉の受容二―淡々系の場合―(村径他/『おくのほそ道鈔』―『源氏物語』と西行―/『おくのほそ道鈔』―仏教色―/淡々門と芭蕉)  附録年表(松木淡々年譜稿/大坂俳書年表稿)  初出一覧/索引/あとがき

▼既刊関連書
新出 近世俳人書簡集  矢羽勝幸編著 研究叢書105 本体10,000円
近世中国俳壇史―研究と資料―  下垣内和人著 研究叢書119 本体18,000円
近世の俳諧と俳壇と―研究と資料―  大内初夫著 研究叢書154 本体8,500円
二条家俳諧―資料と研究―  富田志津子著 研究叢書243 本体8,000円
連句文芸の流れ  櫻井武次郎著 和泉選書41 本体1,800円
田上菊舎全集  上野さち子編著 本体20,000円
 





 『敷田年治研究』 管 宗次著 本体10,000円
  (研究叢書279)A5・上製・函入 359頁 ISBN4-7576-0143-3

 敷田年治が没したのは明治三十五年一月で、平成十四年は、百年祭にあたる。年治が伊勢の皇學館大学の創設にかかわり、久邇宮朝彦親王の台命を拝し学頭として尽力したことで、江戸時代に興った国学は近代教育機関のなかでも大きな意義を持ち命脈を今日に伝えることとなった。
 はじめ、幕府の和学講談所の講師となったことを振り出しに、皇學館や家塾の百園塾で多くの門人を育成したが、個性豊かな門人たちの仕事ぶりも様々で、明治という日本近代化のなかでの彼らの活躍は、その一人一人見逃せないものがある。
 本書は、広狭の意味で国学(神道・音韻・文法・和歌・古代法制・古典・思想・民俗)にすぐれた業績を数多く残した年治の伝記と著述を中心に調査研究したものである。さらに、年治という魅力ある人物を要として、幕末から明治期にかけての国学者や歌人の交流も浮かびあがってくるように門人たちにまで論及している。
 また、本書には、新資料を多く紹介しており、敷田年治令孫(住吉大社宮司敷田年博氏)蔵の自筆資料、大阪天満宮神主家滋岡家の滋岡文書(現在・武庫川女子大学蔵)などの貴重な資料を載せてもいるが、本書を一覧することによって、幕末期から明治期の関西を中心とする国学・和歌の学芸壇・文雅壇を俯瞰的につかむことができようし、図版には短冊や肖像画などが豊富なことも従来なかった研究書として意義があろう。 

〔内容目次〕題字 皇學館大学学長 大庭 脩先生 序文 住吉大社宮司 敷田年博
1はじめに/敷田年治逸話/敷田年治の蔵書印 2歌集『玉つばき』 3歌人としての敷田年治/敷田年治と類題歌集・年々歌集/敷田年治の短冊/高宮正路 4荒木田久守/敷田年治の表歌 5敷田年治翁短冊帖 6吉井良秀 7関治彦 8富永翁追悼歌集『のきの月花』 9敷田年治門人帳/高橋篤敬/里見義 10敷田年治先生五十年祭遺著展観目録/石丸忠胤書簡/賀陽宮弔問 11賢夫人律子 12吉井良秀と『樟園餘影』 13滋岡従長/『松園集』と『摂河名家集』/歌人としての滋岡従長 14律子刀自の和歌短冊 15敷田年治編輯『官故』/『官故』の板本二種について 16敷田年治追悼和歌短冊 17敷田家蔵和歌短冊 18武津八千穂 19『他萬能由久閇』 20『他萬能由久閇』の幽冥観/異説家 21活字版本『假名沿革』 22『假名沿革』における考証 23里見義と唱歌 24野口守敏『長歌草稿』/野口守敏/明治八年の年治 25野口守敏の長歌/年治と野口家 26野口家の神道改宗 27『なには草』/小田清雄 28百園塾跡/阿倍野墓地 29敷田年治先生百園塾跡石碑/渡辺弘人 30三宅本『假名沿革』/年治の序文/滋岡家と年治 31堀貴光 32『言林掃葉』(滋岡家本) 33『言林掃葉』について 34『標注播磨風土記』 35『標注播磨風土記』のことども 36『標注播磨風土記』と播磨の門人(西松茂彦/上月為彦/岡平保) 37真鍋豊平 38年治と『水穂舎年々集』 39『敷田年治標注古事記標註』 40和学講談所/神宮皇学館  参考文献/あとがき





 『明治前期日本文典の研究』 山東功著 本体10,000円
  (研究叢書274) A5・上製・函入 352頁 ISBN4-7576-0131-X


 【御推薦のことば】
 今後の日本語学史に不可欠な礎石  大阪大学大学院文学研究科教授 工藤真由美


〔内容紹介〕本書は、明治前期に多く著され、国語教育の場においては教科書として使用されていた「日本文典」と称される日本語文法書群について、研究史的検討を総合的に試みたものである。
 本書の論点は大きく二つあり、一つは、明治前期日本文典の検討を通じて得られた研究史に対する方法論の確定である。研究史とは何をすべき研究か、また研究史自体の歴史性をどのように扱うべきか。本書ではこうした方法論の実践形態として、日本語の言語学史という意味合いを込めた「日本語学史」を提唱している。
 もう一つは、明治前期日本文典の内実についてである。従来あまり評価されなかったこれらの文法研究に対して、当時の思想潮流に極めて合致したものであったという歴史性に着目し、いたずらに価値判断を下さず、文法研究の歴史性自体を示す典型例として位置付けるべきだと主張している。そして、こうした明治前期の文法研究を体現する学者、物集高見の文法研究を詳細に追うことで、当時の研究内容が一層明らかなものとなっている。あわせて、明治前期の言文一致と国語教育との関係を見る上で興味深い資料、物集格太『小学詞遣』の影印を収録している。

〔内容目次〕序文  古田東朔  序 日本語学史研究方法論序説 第一章 国語学史の成立とその意味/第二章 国語学史批判の陥穽/第三章 国語学と日本語学/第四章 日本語学史の定立と本論の構成 第一部 明治前期日本文典の諸相 第一章 明治前期の国語教育と文法研究/第二章 明治前期文法研究の系統/第三章 洋式日本文典の研究―中根淑『日本文典』について―/第四章 国学風日本文典の研究―佐藤誠実『語学指南』について―/第五章 明治前期文法研究の諸側面/結論 第二部 物集高見の日本語学史的研究 第一章 国学と洋学―『初学日本文典』と物集高世―/第二章 言文一致と国語教育―『日本文法問答』と『小学詞遣』―/第三章 辞書と文法―『日本小文典』と近藤真琴―/第四章 口語文法の研究―『普通日本文典』と下田歌子―/第五章 折衷文典の完成―『日本文語』と大槻文彦―/結論 結語  注/参考文献/参考資料『小学詞遣』影印/人名索引/あとがき





 『萬葉集栞抄 第五』 森重敏著 本体12,500円
  (研究叢書278) A5・上製・函入 277頁 ISBN4-7576-0141-7

 本書は『萬葉集栞抄』の掉尾を飾る最終巻である。既刊四編で採りあげなかった萬葉集の難訓・難解・その他存疑の歌を拾遺して、その訓詁注釈をむねとしつつ、通行の説では決して見えてこなかった歌の真意を、鮮明に照らし出している。
 本書で採りあげたのは、柿本人麻呂吉野讃歌をはじめ、石川女郎・大伴田主相聞歌、高市黒人羇旅「山下赤のそほ船」の歌、長屋王故郷「嶋待ちかねて」の歌、大伴旅人「夢のわだ」の歌、大伴坂上郎女祭神歌、山部赤人「縄浦ゆ」の歌、沙彌滿誓「鳥總立」の歌、大伴池主「ことはたなゆひ」の長歌、防人「ふたほがみ」の歌など、全四十首余である。
 本書の刊行により、『萬葉集栞抄』全五巻が完結を見た。二百七十首余の萬葉歌が章段ごとに詳しく論じられ、引用歌や関連語彙等についてもしばしば独自の注解が加えられている 。それらは全て文法論と文体論を両立しえた著者ならではの独壇場である。不分明不可解であった通説をことごとく改めた『栞抄』全五巻は、万葉研究史を画する偉業であり、上代国語国文学研究者必見の書である。

〔収録詠〕巻一−36〜7、38〜9、52〜3、巻二−263、268、269、270、278、285〜6、299、300〜1、331〜5、357・358、376〜7、379〜80、391、404〜6、巻七−1099、1417、巻八−1421〜2、2551、巻十−1982、巻十七−3973、3974〜5、巻二十−4382

▼既刊
萬葉集栞抄     森重敏著 研究叢書112 本体10,000円
萬葉集栞抄 第二 森重敏著 研究叢書157 本体13,000円
萬葉集栞抄 第三 森重敏著 研究叢書216 本体13,500円
萬葉集栞抄 第四 森重敏著 研究叢書245 本体15,000円
               ◎全五巻 本体セット価64,000円 




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