新刊案内(03年7月)


 『円地文子の軌跡』
 野口裕子著 本体2,800円

  (和泉選書137) 四六・上製 216頁 ISBN4-7576-0218-9

    ◆円地文子の創作の源に迫る◆

 本書は、円地文子とその小説について、作品分析を中心に論じたものである。代表作『女坂』や三部作『朱を奪うもの』『傷ある翼』『虹と修羅』からは、作家の姿勢を問うた。そして、「おまえが男だといいんだがなあ」と言った父上田万年の言葉が、結局、文子をして小説家たらしめたと述べている。また、筆者が特に力を注いだのは、円地の古典受容についてである。古典に感じていたエネルギーを汲み取りたいという内発的な理由によって、円地がどのように古典を継承し新しい作品を生み出していったかを考え、『妖』『二世の縁 拾遺』『女面』『小町変相』『やさしき夜の物語』『なまみこ物語』を論じた。そして、その受容に明らかな傾向があることを指摘し、架空の古典作品の創作に至るとしたものである。また、『なまみこ物語』が、『夜半の寝覚』とだけでなく『春琴抄』とも密接な関係にあると結論している。

〔内容目次〕
 序章 円地文子の世界を探る

 第一章 作家の姿勢―〈女を生きる〉
  第一節 再出発を期した三部作―『朱を奪うもの』『傷ある翼』『虹と修羅』論
  第二節 白川倫の生き方―『女坂』論

 第二章 古典受容の系譜―古典本文挿入から架空の古典創作へ
  第一節 『伊勢物語』九十九髪の女の力―『妖』の構造と手法
  第二節 秋成「二世の縁」現代語訳という創作―『二世の縁 拾遺』論
  第三節 <野々宮記>の功罪―『女面』論
  第四節 新しい小野小町の創出―『小町変相』論
  第五節 『夜半の寝覚』散佚部分からの表現―『やさしさき夜の物語』の創作手法
  第六節 『春琴抄』の方法と架空の古典<生神子物語>―『なまみこ物語』の世界

 終章 展望―今後の研究に向けて





 『大伴家持(ニ)』
 神野志隆光・坂本信幸 <企画・編集> 本体3,500円

  (セミナー万葉の歌人と作品9) A5・上製 300頁 ISBN4-7576-0217-0

    ◆最新の研究成果による万葉の森への誘い 待望の第九巻◆

 『万葉集』の編者ともいわれ、その中に約480首の最多歌数を残す、後期万葉随一の歌人大伴家持。
 本書は、第八巻に引き続き、家持の後半生(越中守時代から帰京以降、『万葉集』の最後の歌を詠んだ因幡守時代まで)、充実の時代から失意の時代にかけての代表的な作品を取り上げ、その研究史をたどり、歌人家持を探る。


 【セミナー万葉の歌人と作品 既刊】
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