新刊案内(03年11月)


 『国語文字史の研究 七』
 国語文字史研究会編 本体7,500円

  (定期刊行物) A5・上製 245頁 ISBN4-7576-0235-9

 言語はそれ自体で文化を創造するものであるとともに、時代・地域を越えて情報を伝えるものである。文化と関わる言語において文字の果たす役割は重要である。(中略)もし言語研究で文字が明確に位置付けられるとすれば、日本語の文字の在り方を説明できるものでなければならない。日本の文字の研究は、日本文化を明らかにするためにも、世界の言語研究を進めるためにも必要な時期となってきている。(「発刊に際して」より抜粋)

〔内容目次〕
字体分析の言語遊戯―漢字の合字・分字を中心に― 遠藤邦基/国字が発生する基盤 笹原宏之/哽咽とむせむで戯欷となげく―『万葉集』における連続性と非連続性と― 今野真二/日本書紀に見える「兒」と「子」の考察 朴 美賢/正倉院文書の「橡(ツルバミ)」―帳簿の復原と分析の試み― 桑原祐子/東明寺蔵『大般若波羅密多経』の訓点について 宇都宮啓吾/延慶本平家物語における表記システムの融合 小川栄一/動詞表記「敷」と形容詞語尾表記「敷」との間―シク活用形容詞フトシ[太]の成立について― 蜂矢真郷/大矢透以前の「太為尓歌」 岡島昭浩/漢字片仮名交じり文・漢字平仮名交じり文と外来語表記―『日本大家論集』を資料として― 深澤 愛/送り仮名法と国語調査委員会 山東 功/費用を表わす合成語について―〈代〉〈賃〉〈費〉〈料〉の場合― 王 敏東・張 静嫻 書名索引/人名索引/用語索引/語彙索引/仮名索引/漢字索引    





 『遠聞郭公 中世和歌私注
 田中裕著 本体2,500円

  (和泉選書141) 四六・上製 187頁 ISBN4-7576-0233-2

 本書は、主に、『新古今集』『百人一首』の中で、あるいは難解歌とされ、あるいは解釈のなお定まらない点のあるもの、あるいは通説はあっても不満に思われるもの等、幾首かについて私解を施したのを中心に、「歌枕」についても新たに考証を試みた。また『新古今集』やその主宰者後鳥羽院についても、異る視点から捉え直すなど、新知見にあふれる。

〔内容目次〕
T
 中世和歌私注/新古今集/霞たつ末の松山/春の海辺/贈答歌二種―花に寄せて/色変る露/風の上の露/山めぐりする時雨/鈴鹿河と山田の原/古畑の鳩/百人一首/かささぎの渡せる橋/憂かりける人をはつせの/世の中は常にもがもな/風そよぐならの小川/人もをし人も恨めし/歌枕/鳥羽田/長等山/越部の里―俊成卿女のこと/大江山・与謝の大山/新古今集大概/新古今集解題/後鳥羽院と定家/宣長における中世 
U
 望憶抄/安田教授と新古今集/藤平さんを憶う/柔らかな心の学者/堀先生追慕/『語文』と小島先生/空穂先生と父/深草の半日/あとがき/初出一覧
■既刊
「水郷春望」 --新古今私抄--     田中裕著  和泉選書104  三〇〇〇円
「後鳥羽院と定家研究」       田中裕著           一二〇〇〇円   





 『霜田史光 作品と研究
 竹長吉正著 本体2,700円

  (近代作家文学選集3) A5・上製 口絵1頁 237頁 ISBN4-7576-0237-5

 ◆日本図書館協会選定図書◆  

ゆるき流にうち解けて
幽けき思ひ、胸に充つ
いつしか空は月明り
心の果てやいかならん
ゆるき流に、その夢に

 霜田史光(しもだしこう)は明治末期から昭和初期にかけて生きた文学者である。川の流れの美しい農村に生まれた史光は、自然と人が共存していた当時の風景を豊かな感覚と多彩な言葉で詩にうたいあげている。埼玉県北西部の風景を幽邃な水墨画で描いたのが森田恒友(もりたつねとも)であり、埼玉県南部の風景を流れるような詩語でリズミカルにうたいあげたのが霜田史光である。  史光は詩人であると共に、童話作家であった。彼の童話は日本の歴史に取材したものが多く、それらは古典的な雰囲気を漂わせている。史光はそのペンネームの如く、歴史に新しい光をあて「遠いむかしのこと」を現代によみがえらせようとしたのである。  本書は史光生前の唯一の詩集『流れの秋』と童話十篇を複刻して収録した。また、これからの史光研究に不可欠な基礎資料(生涯年譜・作品年譜・参考文献など)を多く収めた。

〔内容目次〕
 序 第一部 霜田史光作品集 
(1)詩集『流れの秋』全作品 (2)霜田静志による挿画(『流れの秋』所収) (3)霜田史光童話作品十篇 白狐の怨/夢の国/偽浦島/敵の討てない熊王丸/謀叛人の子/阿新丸/額を打たれた西行法師/シドニィの乞食少年/少年絵師/空の御殿 (4)霜田史光の詩と童話―作品集の解説に代えて― 
第二部 霜田史光の世界 
(1)『十五少年』と霜田史光―海への憧憬― (2)霜田史光の童謡と童謡観 (3)雑誌『蒼空』とその周辺 
第三部 霜田史光研究の資料 

(1)霜田史光年譜 (2)霜田史光作品年譜 (3)霜田史光著書一覧 (4)詩集・童話集の収録作品名とその初出掲載雑誌一覧 (5)アンソロジー等収録作品名とその初出掲載雑誌一覧 (6)児童文学作品一覧 (7)霜田史光参考文献一覧 あとがき 索引





 『日本近代書誌学細見』
 谷沢永一著 本体2,800円

   四六・上製 352頁 ISBN4-7576-0228-6

 
 書誌学とは何か。明確な定義がない。殊に明治以後の文献を扱う方法が確立していない。その混乱に便乗して出たとこ勝負ヤッツケ仕事の役に立たないニセモノ書誌学が氾濫している。近代書誌学の基礎を築いた天野敬太郎に学ばずして何が出来るか。機械的に味噌も糞も一緒くたにした文献目録は百害あって一利なし。宮崎芳三教授仲間の『日本における 英国小説研究書誌』を範例として座右に置くべきである。
 個人書誌の綿密には先に瀧田貞治あり現今に浦西和彦教授あり、両者に劣るようでは存在理由がない。横行するニセモノとしては先行の業績を黙殺するあり、党派の画策として統領(ボス)の独断に不利な批判文献を抹殺するあり、まさに百鬼夜行であるから、それらの欠陥を具体的にひとつひとつ検討する操作によって、近代書誌学のあるべき姿を明細に浮かび上らせて斯学の今後に進むべき道を読者とともに探ろうとする。ただし書誌に完璧はありえないから行き届かぬところは容赦されたい。  

〔内容目次〕
御案内/天野敬太郎/青山毅/朝倉治彦/生田源太郎/石川巌/稲村徹元/岩城之徳/上野正治/内田穣吉/浦西和彦/江戸川乱歩/蛯原八郎/遠藤元男/大森一彦/大屋幸世/岡野他家夫/小木曾旭晃/嘉部嘉隆/川島五三郎/紀田順一郎/木村毅/木村新/久保覚/久保忠夫/紅野敏郎/国立国会図書館/小西甚一/小林一郎/斎藤昌三/集古散人/昭和女子大学/白杉庄一郎/新潮社/杉原四郎/関良一/高木健夫/高橋亀吉/高松敏男/瀧田貞治/田熊渭津子/竹内市子/橘弘一郎/田中正明/谷沢永一/辻恭平/津田亮一/土屋喬雄/内藤湖南/長尾隆次/長沢規矩也/中島河太郎/中津原睦三/中村幸彦/野中敬吾/深井人詩/保昌正夫/細川嘉六/堀内達夫/前田貞昭/町田三郎/万里小路通宗/丸山信/万字屋書店/水木直箭/三橋猛雄/宮崎芳三/武藤康史/森銑三/矢野貫一/矢作勝美/山内祥史/山野博史/吉田精一/吉田?生/吉野作造/書誌学入門文献/近代書誌学綱要/後記―私の書誌学事始





 『谷崎潤一郎と大阪』
 三島佑一著 本体2,300円

  (上方文庫27) 四六・上製 231頁 ISBN4-7576-0236-7

  大阪船場の文学として一番にあげるのは、地元の作家ではなく東京から来た谷崎の作品ではないのか。下町の江戸っ子だったから船場の御寮人さんに強烈な憧憬を抱き、『蘆刈』『春琴抄』『細雪』の名作を生んだと思われる。が、『細雪』に果たして船場が描かれているのか。使われている船場ことばは正しいのか。文楽に心酔してノーベル賞候補『蓼喰ふ蟲』を書きながら、なぜ文楽を痴呆の芸術と酷評したのか。大阪の人はこの問題を看過してはいないか。
 謎とされる古川丁未子とのわずか二年の結婚は、『蘆刈』を書くためと考えれば説明がつく。大胆な仮説を立てて傍証した。谷崎の望んだ『春琴抄』の映画化はまだ実現していない。佐助を偽善者ときめつけるのは容易だが、それではなぜ不巧の名作として読みつがれるのか。いまだにくすぶり続けているその主題に迫った。大阪が文化の中心だったことを証する雑誌「観照」、大阪朝日の記者宛の膨大な書簡類、その中の谷崎のものなどを紹介した。

〔内容目次〕
谷崎と大阪の文学 谷崎と文楽 『蘆刈』と古川丁未子 『蘆刈』新説 『春琴抄』の主題 『春琴抄』の文学碑 『細雪』の船場 『細雪』の船場ことば 焼跡大阪の雑誌「観照」 古川丁未子宛未公開書簡 大阪朝日の記者 大道弘雄宛未発表書簡 あとがき




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