新刊案内(04年1月)


 『柿本人麻呂と和歌史』
 村田右富実著 本体10,000円

  (研究叢書307) A5・上製 424頁 ISBN4-7576-0241-3

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 本書は、口誦から記載へという一回的な文学史状況の中にあって、次々と紡ぎ出された和歌作品を題材に、前期万葉の和歌史を論じたものである。壬申の乱〜天武王権の樹立〜律令制の完成〜平城遷都へと激動して行く時代と和歌との関係性にかかわる記述が言説の中心となる。その際、本書においては、和歌の作者は作品創出の母胎としてのみ機能し、文学史を担う個性として把握される。
 そして、基本的な訓詁注釈を土台とした個別の作品論の積み重ねを通じて、挽歌史を中心とした和歌表現のダイナミズムを活写する。また、作品の話者がどのように配置されているのか、作品は時間をどのように表現しているのか、という基礎的な問題意識の上に、単なる時系列叙述に終始しない文学史が構成される。柿本人麻呂作品が論の中心ではあるが、その人麻呂作品への道程を切り拓いた初期万葉歌についての論も載せる。未公表の論文を含む、著者最初の論文集。 





 『隠遁の憧憬―平安文学論考―
 笹川博司著 本体3,500円

  (和泉選書142) 四六・上製 321頁 ISBN4-7576-0239-1

 本書は、前著『深山の思想―平安和歌論考―』に続く第二論文集である。前著のテーマを発展させ、隠遁を憧憬する平安文学に分け入り、「山里」「覊絆」「辺境」「深山」「出家」について論じる。
 平安後期に和歌が漢詩文を受容し、仏教思想と交流するなかで、山里に新しい自然美が加わり、陰影が深まる様相を詳細に辿る山里論。漢詩の比喩を学ぶことによって成立した古今集の歌語「ほだし」に、天台浄土教へ傾斜していく時代の空気のなか、仏教的色彩が加わって「ほだし」の物語が誕生することを論じる源氏物語「ほだし」淵源考と、拾遺抄・拾遺集の諸本から仏教的解釈が加わる今昔物語集までの展開を追う蘆刈説話の変貌を合わせた覊絆論。
 その他、文化史的視点から古今・伊勢・源氏に描かれた水辺を考察する辺境論、文献学的考察に基づき、歌語「みやま」の表記史を構想する深山論、平安時代の出家をめぐる全般的状況と一つのケースを追跡する出家論を収める

〔内容目次〕
T山里論―陰影を深める山里と女君 「山里」の自然美の形成/源氏物語「山里」の風景 
U覊絆論―断ち切れぬ絆と脆い絆 源氏物語「ほだし」淵源考/蘆刈説話の変貌/
V辺境論―癒しの場と屏風絵の世界 「ほとり」と「つら」/古今集「池の藤波」考 
W深山論―歌語の表記史 古今集「みやま」表記史/歌語「みやま」の「深山」表記 
X出家論―時代状況と一つのケース 今鏡と出家/蜻蛉日記「山深く入りにし人」追跡 
あとがき/初出一覧/和歌索引・書名索引・人名索引・事項索引
  





 『地名語彙の開く世界』
 上野智子著 本体2,800円

  (生活語彙の開く世界2) A5・上製 253頁 ISBN4-7576-0240-5

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 耳新しい地名に出会うと、人は即座に漢字を思い浮かべ、意味を推し量ろうとするだろう。だが、ここに扱う地名の多くは、文字表現されることをはにかみ、己が素性を容易には語ろうとしない。渚に散りばめられた名もなき無数の地名との邂逅の旅を、北は知床半島から南は宮古島まで綴ってみると、ようやく見えてきた普遍性と地域性がある。従来、地名研究は「学際性」が謳い文句であったにもかかわらず、その実態は必ずしも学際的ではなかった。21世紀の高度情報社会において相互の学問交流を図りながら、誰もがもっと楽しくもっと自然に多くの地名との対話ができる時代を切り拓いていきたい。本書はそういう願いを込めて身近な地名研究の切り口を臨地調査に基づき整理したものである。数量と地名・比喩と地名・伝説と地名・地名と色名・人名にちなむ地名・命名視点と命名心理などなど、どこからでもいい。地名研究の魅力を読み取っていただきたい。
21世紀の高度情報社会において相互の学問交流を図りながら、誰もがもっと楽しくもっと自然に多くの地名との対話ができる時代を切り拓いていけたら‥‥‥。そんな願いを込めて、身近な地名研究の切り口を知床半島から宮古島までの実地調査資料を基に提示する。




  




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