新刊案内(04年7月)


 『俳諧史の分岐点』<文部科学大臣奨励賞受賞>
 櫻井武次郎著 定価12,600円(本体12,000円)
   (研究叢書315)A5・上製 309頁 ISBN4-7576-0268-5


俳諧史の流れを作り、流れを変えていった無数の人々、当代にあっては確かに俳壇の中心であった淡々や梅室という人物を通して、従来の俳諧史では見えなかった歴史の変更点を探る。俳諧摺物と月並句合、祗空と淡々、梅室、明治俳諧の問題点、岩手宗也等を取り上げ、巻末に索引を付す。

〔内容目次〕
はじめに/第一章 俳諧一枚摺 1 俳諧一枚摺の大衆化―化政期から近代へ/2 年賀状と俳諧/3 馬田江の摺物/第二章 月並句合 1 上方の月並句合/2 升六の丁摺と『年どしふり』/3 茂椎と松尾文庫/4 月並点取俳諧の興行/第三章 元禄と享保の間 1 祗空と淡々/2 八千房と『青陽帖』/3 第三の『仏兄七久留万』/第四章 櫻井梅室 1 櫻井梅室/2 槐庵相続と句集各種/第五章 明治俳諧の問題点 1 俳諧―最後の光彩/2 芭蕉二百回忌/3 子規の蕪村/第六章 岩手宗也 1 岩手宗也とその奉納連歌/2 宗也の『水海月』を求めて/3 校本・宗也著『四国道乃記』/あとがき/索引




 『夏目漱石論―漱石文学における「意識」―
 増満圭子著 定価10,500円(本体10,000円)

   (近代文学研究叢刊29)A5・上製 533頁 ISBN4-7576-0261-8

作家夏目漱石について、特に「意識」というテーマを中心に、作者論・作品論の両面から考察している一連の論文集。「意識」に対しての、いわゆる“漱石的”なる解釈を彼の残した各具体的著述やメモから詳細に抽出・分析し、まず人間漱石が、哲学・心理学の用語でもある「意識」をどのように捉え、時間的変遷の中でその認識をどう変化させていったのかを考察する。その、あくまでも漱石独自なる「意識」解釈は、「理想」を追求する東洋哲学から、決して「断定」しない西洋心理学の方面へと、視線を転換していく彼の心の軌跡そのもので、筆者が独自に行った手沢本の調査、多くの書き込みの検証等からも明らかなるものである。そしてそれらの分析に基づいて、前・中・後期それぞれの作品についての解釈を「意識」という観点から具体的に論じている。

〔内容目次〕
はじめに/第T部 漱石という作家 第一章 「意識」とは何か 一 近代文学の始まりと漱石 二 意識への注目 三 『文学論』から 四 「文芸の哲学的基礎」 五 「創作家の態度」/第二章 東洋思想と漱石 一 「嬉しさ」の背景 二 初等教育 三 初期の文章から 四 漢籍に触れて 五 金之助の迷い 六 「居移気説」の思い 七 初期漱石と禅 八 「老子」の前に立ち尽くす漱石/第三章 西洋思想と漱石T 一 英文学との出会い 二 ホイットマンへの共鳴/第四章 西洋思想と漱石U 一 第一期 意識への開眼―『宗教的経験の諸相』との出会い― 二 第二期 流れる意識―『心理学原理』への共感― 三 第三期 修善寺の大患以後―『多元的宇宙』からの示唆―/第U部 漱石の作品 第一章 前期作品―「こちら側」と「あちら側」― 一 『吾輩は猫である』―「猫」の役割― 二 『漾虚集』―遥かなる夢の旅路― 三 『草枕』―還ってきた意識―/第二章 中期作品 一 『坑夫』―流れる意識― 二 『夢十夜』 三 中期三部作の意識―『三四郎』、『それから』、『門』―/第三章 後期作品 一 『彼岸過迄』 二 『行人』 三 『こゝろ』 四 『明暗』/第四章 漱石文学に於ける意識の様相 一 漱石という作家 二 漱石の作品 三 最後の境地/おわりに




 『谷崎潤一郎論 ―深層のレトリック―
 細江光著 定価15,750円(本体15,000円)  

   (近代文学研究叢刊28)A5・上製 997頁 ISBN4-7576-0251-0


谷崎は、母恋いで有名だが、実は母を憎んでもいた。享楽的と思われて来たが、実は暗いからこそ、明るさを求めていた。空想だけで作品を書いたと思われていたが、実は綿密な調査も行なっていた。これまでの通説を覆し、今、真実の谷崎の姿が明らかにされる。

〔内容目次〕
はじめに 第一編 作家論編 第一部 谷崎文学の心理的メカニスム―共時的横断的研究/第一章 谷崎潤一郎の母に対するアンビヴァレンツ/第二章 谷崎文学における分裂・投影・理想化―クライン派理論の応用/第三章 谷崎潤一郎とマゾヒズム/第四章 谷崎潤一郎とフェティシズム/第五章 谷崎潤一郎とエディプス・コンプレックス/第六章 躁鬱気質と谷崎潤一郎/第七章 肛門性格をめぐって―シンポジウム「〈性〉という規制」より―/第二部 谷崎文学の心理的メカニズム―通時的縦断的研究 第一章 谷崎潤一郎・容貌の論理―所謂日本回帰を中心に―/第二章 昭和戦前期の谷崎潤一郎―その宗教性を中心に―/第三章 戦後の谷崎潤一郎―新資料に寄せて―/第三部 作家特殊研究 第一章 谷崎潤一郎と詩歌―そして音楽・声/第二章 谷崎潤一郎と戦争―芸術的抵抗の神話―/第三章 谷崎家・江沢家とブラジル/第二編 作品論編 第一部 谷崎作品の深層構造 第一章 『天鵞絨の夢』論/第二章 『痴人の愛』論―その白人女性の意味を中心に―/第三章 『日本に於けるクリツプン事件』論/第四章 『吉野葛』論―シンポジウム『吉野葛』より―/第五章 『春琴抄』―多元解釈およびレトリック分析の試み―/【資料】『春琴抄』論争をめぐって/第六章 不能の快楽―『瘋癲老人日記』小論―/第二部 作品特殊研究 第一章 『象』・『刺青』の典拠について/第二章 『人魚の嘆き』の典拠について/第三章 ハッサン・カン、オーマン、芥川/第四章 『ドリス』と“Motion Picture Classic”/第五章 『乱菊物語』論―典拠及び構想を巡って―/第六章 偽作『誘惑女神』をめぐって/附録1 比較文学ノート/附録2 モデル問題ノート/終わりに  



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