新刊案内(04年3月)


 『日本古典文学史の課題と方法−漢詩 和歌 物語から説話 唱導へ−
 伊井春樹先生御退官記念論集刊行会編 定価16,800円
(本体16,000円)

   A5・上製 627頁 ISBN4-7576-0250-2

   




 『太宰治と外国文学 ―翻案小説の「原典」へのアプローチ―
 九頭見和夫著 定価2,940円(本体2,800円)

  (和泉選書143) 四六・上製 335頁 ISBN4-7576-0245-6

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 本書は、太宰治と外国文学、特にドイツ文学との関係を中心に論じたものである。太宰治と外国文学というと、「太宰治ほどその作品中に外国文学の影をちらつかせた作家も少ないが、同時に、この人の作品ほど外国文学の影響云々を論じにくいものもない」とみなされ、太宰死後半世紀になる現在もなおまとまった研究書が出版されていないのが現状である。
 このことの最大の理由は、太宰が尊敬した森?外や芥川龍之介の場合と異なり、太宰の外国語能力を証明するものが全くなく、太宰の外国文学受容において大きな役割をはたしたものが何か必ずしも明らかになっていないからである。
 この事を踏まえ本書では、奥野健男の分類に従えば、「中期」と規定される時期、すなわち井伏夫妻の媒酌で石原美知子と結婚し生活が安定した昭和一四年以降に、太宰が発表した外国文学や『聖書』等外国の文献から素材を取った多くのいわゆる翻案小説、例えば「走れメロス」等を取り上げ、作品の素材となった「原典」を中心に作品の解明を試みた。

〔内容目次〕
T 太宰治のシラー受容―「走れメロス」の素材について/太宰治とシラー―太宰の作品におけるシラーの影響について/太宰治とオイレンベルグ―「女の決闘」の背景/「女の決闘」論―太宰の外国文学受容の視点から/太宰治とクライスト/「乞食学生」と外国文学/太宰治のカフカ受容―「花火」を中心として/「人魚の海」の比較文学的考察/『お伽草紙』と異郷淹留説話―「浦島さん」成立の背景について/『お伽草紙』とグリム童話 

U 変身と再生―「魚服記」試論/太宰治と「お化け」のホフマン―太宰のドイツ文学受容について/飛島定城と太宰治―作家「太宰治」誕生の頃 収録論文初出一覧/あとがき



 




 『語彙研究の課題』
 田島毓堂編 定価9,450円(本体9,000円)

   (研究叢書311) A5・上製 341頁 ISBN4-7576-0252-9

 本書は田島毓堂博士の名古屋大学大学院文学研究科定年退官を記念し、日本語学における語彙に関わる論考を纏めたものである。本書はまず比較語彙研究・意味分野別構造分析法の総論を述べ、その方法論的検討および意味分野別構造分析法の適用による具体的考察を行う。また比較語彙研究以外の研究として、平安期から明治期までの個別語彙を論じる。 物語、和歌、経典、本草書、韻書、音義書、キリシタン文献、露日辞書、日蘭単語集、聖書、漱石作品、童謡、日韓教科書、辞書、シソーラス、小説など、多様な資料、視点から構成された諸論考は、各領域での語彙研究の最先端の課題を提起する。比較語彙論および日本語個別語彙の記述に関心のある読者必見の論考である。

〔内容目次〕
 比較語彙論――構想と目的の概要―― 田島毓堂/翻訳論から見た比較語彙論 鈴木広光/意味分野別構造分析法による個別語彙比較の有効性 加藤浩司/『竹取物語』における「用の類」から「体の類」への変化 広瀬英史/日韓小学校語彙の特徴――小学校の国語教科書を用いた比較語彙研究―― 李 庸伯/北原白秋の詩と童謡に見る使用語彙の違い――大人向けから子ども向けへと対象が変わるとき―― 加藤妙子/日韓並列シソーラスの構築に関する研究 韓 有錫/比較語彙研究の観点から統合漢字の日本語的な意味性格を考察する――『大漢語林』における字義の一番目の意味記述に着目する―― 林 立萍/日中同形語『適当』と“適當” 林 玉惠/オノマトペの構造(U)――2拍反復型オノマトペのモデル化および母音交替における形態と意味の分化について―― 南部忠明/和歌喩辞受容の一側面 多門靖容/『大正新修大蔵経』所収の本邦仏教典籍に現れる本草語彙 河野敏宏/漢字音研究の語彙 中澤信幸/キリシタン・ローマ字文献のグロッサリー 山田健三/『新スラブ・日本語辞典』の語彙 駒走昭二/『類聚紅毛語訳』附録『万国地名箋』について 櫻井豪人/漱石作品における語の習熟――「みたようだ」から「みたいだ」への変遷―― 田島 優/語彙論の対象――あとがきにかえて―― 田島毓堂/後記  




chiikibunkashi.jpg  『地域文化史の研究―三重の衣食住と高松塚壁画・暦木簡を論ず―  
  上野利三編著 定価3,360円(本体3,200円) 
  (松阪大学地域社会研究所叢書6)A5・上製 290頁 I4-7576-0306-1

本書は、さまざまな時代に地域社会で生まれ育まれ、現在の我々の身近なところに存在する文化の基本を成している衣・食・住・医・暦について、地域の諸兄姉とともに考察したものである。内容は、江戸期に、庶民の衣料である木綿の中でも最上といわれた松阪木綿の文様と織りの実例を検討(第1部)。食材に恵まれた伊勢の食文化史を古文献と今に伝わる実物をもとに追求(第2部)。松阪や四日市といった都市の再生・活性化をうながすための試論、及び市町村合併にともなう図書館ネットワーク構想を提示(第3部)。中世期伊勢長野にいた時宗千手寺の陣僧が、戦場で敵味方の区別なく傷病兵に医療を施し、死者を弔っていた史実をたどる。また飛鳥の石神遺跡で発掘され大きく報じられた日本最古の具注暦木簡の読みのうち、新たな解読試案を示す。高松塚古墳壁画人物像の中の東南壁男子像に文字の痕跡を読み取った論究、などを載せる(第4部)。

〔内容目次〕序文/第1部 衣・松阪木綿の研究 第1章 松阪木綿T―法田染について― 上野利三・上阪千保 第2章 松阪木綿U―法田染・染型紙の文様別分類について― 上野利三・上阪千保 第3章 縞帳の研究T ―松阪市中万町竹口家所蔵の「縞手本」について― 上野利三・上阪千保 第4章 縞帳の研究U ―松阪市立歴史民俗資料館所蔵の「御嶋本帳」について― 上野利三・上阪千保/第2部 食文化史の研究 第5章 美し国伊勢―三重県における食文化史の一研究― 上野利三・加藤幾子/第3部 住居環境に関する研究 第6章 ヒストリー商業タウン松阪―生活者視点の都市デザイン― 上野利三・谷 清司 第7章 四日市の商店街が目指すべき情報化のスタイル 葛山久人 第8章 地域社会における図書館ネットワーク 上野利三 付章 大学図書館の役割と情報化時代―書誌学の復権を求めて―/第4部 医・暦―科学史研究の断章 第9章 陣僧の政治的中立性と救護活動 加藤順一 第10章 石神遺跡出土木簡暦の二、三の問題 上野利三 第11章 高松塚古墳壁画・東壁男子像に見える文字について 上野利三/編集後記



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