新刊案内(05年4月)




mojishi8.jpg 『国語文字史の研究 八』
 国語文字史研究会編 定価7,875円(本体7,500円)
   A5・上製 240頁  ISBN4-7576-0304-5

言語はそれ自体で文化を創造するものであるとともに、時代・地域を越えて情報を伝えるものである。文化と関わる言語において文字の果たす役割は重要である。(中略)もし言語研究で文字が明確に位置付けられるとすれば、日本語の文字の在り方を説明できるものでなければならない。日本の文字の研究は、日本文化を明らかにするためにも、世界の言語研究を進めるためにも必要な時期となってきている。(「発刊に際して」より抜粋)

〔内容目次〕「枚」と「牧」の通用―「牧夫」は「ひらぶ」― 犬飼 隆/上代の表記とことば―「参」字をめぐって― 土居美幸/善珠『因名論疏明燈抄』所引『玉篇』佚文攷 井野口孝/天理図書館蔵『大和物語』四種の平仮名連彫活字 中嶌容子/書き手の意識 今野真二/観智院本『類聚名義抄』における異体字の記載形式 田村夏紀/擬似漢文の展相 乾 善彦/「公+心」から「急」へ―イソグ訓変遷の環境― 白石幸恵/『一之富當眼』の仮名遣い―「い・ひ・ゐ」「え・へ・ゑ」の仮名遣いを中心に― 矢野 準/『坊っちやん』原稿に現れた漱石の手書きルールについての覚え書き 佐藤栄作/漱石の特徴的なあて字―字音的・字訓的表記と意味的表記との混交― 田島 優/一九六五〜七五年度頃の略字 蜂矢真郷/書名索引/人名索引/用語索引/語彙索引/仮名索引/漢字索引




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 現代語で読む『松陰中納言物語』付本文
 山本いずみ著 定価2,625円(本体2,500円)

   四六・並製 336頁 ISBN4-7576-0310-X


中世物語『松陰中納言物語』に対する初めての現代語訳である。
この物語は、恋の逆恨みから無実の罪に沈んだ松陰中納言が帰京を果たし、再び栄華を極め、人々を仏道へ導くという話であり、松陰中納言の一代記となっている。と同時に、そこには、脇役たちの生き生きとした活躍の様子や、短編小説のような逸話が描き込まれており、全体として、充分に読み応えのある作品となっている。
一方で、破格な文法表現や場面展開の突然性、省略の多さなどが、読解する上での障害となっていた。本書では、行間に込められた意図を丁寧に探り、汲み上げることで、これらの問題を克服し、初めて整合性の取れた全文訳を示すことができた。
現代語訳を読み物として楽しむだけでなく、東北大学附属図書館蔵本を底本とし、尊経閣文庫本を校合使用した本文が付されているため、研究書としても充分に利用価値のあるものであろう。

〔内容目次〕現代語訳篇 凡例/松陰中納言物語第一 人物関係図・梗概 山の井 藤のえん ぬれぎぬ/松陰中納言物語第二 人物関係図・梗概 あづまの月 あしの屋 車たがへ/松陰中納言物語第三 人物関係図・梗概 むもれ水 文あはせ おきの嶋 九重 ねの日/松陰中納言物語第四 人物関係図・梗概 うゐかぶり をと羽 みなみの海 やまぶき/松陰中納言物語第五 人物関係図・梗概 花のうてな はつ瀬 宇治川 
本文篇 凡例/松陰中納言第一 山の井 藤のえん ぬれきぬ/松陰中納言第二 あつまの月 あしの屋 車たかへ/松陰中納言第三 むもれ水 文あはせ おきの嶋 九重 ねの日/松陰中納言第四 うゐかふり をと羽 みなみの海 やまふき/松陰中納言第五 花のうてな はつ瀬 宇治川/奥書/参考文献/あとがきにかえて―泣かない女と泣く男―




ochikubo.jpg  長嘯室本 落窪物語』
 伴      利   昭
 立命館大学落窪物語研究会編  定価16,800円(本体16,000円)
  (研究叢書334)A5・上製函入 455頁 ISBN4-7576-0312-6

本書は木下長嘯室の写書になる四巻三冊本の『落窪物語』の影印に翻字を付したものである。奥書に「畠山修理大夫女号興雲院」の書写とあることから興雲院畠山千代の歿年慶長十四年八月以前の写本であるのは明確である。現在公刊されている『落窪物語』の写本で写書年次の明らかなものは十八世紀を逆上れないので本書は最古に位置付けられる。全文を書写したのち何らかの事情で中冊と下冊で綴じ誤まりのために錯簡が生じてしまったため本書ではその誤まりを正して影印を掲出した。翻字に際しては文意不通の箇所はそのままにしたが、すでに写本中に祖本の本文に対する不審を示す書き入れがあり、物語本文の乱れの古体がうかがえる。写本『長嘯室本落窪物語』の解説の他、参考として、写本系の善本といわれる九条家本と、異文本文を多く校合している「たひらのますかた」転写による加藤千蔭校合本との校異一覧、及び「ますかた」転写千蔭本の書入れ注の論考を収めた。

〔内容目次はじめに―『落窪物語』古写本のこと―/本文について/『長嘯室本 落窪物語』上・巻一 『長嘯室本 落窪物語』中・巻二 巻二錯簡対照表 『長嘯室本 落窪物語』下・巻三・巻四 巻三・巻四錯簡対照表/本文異同/諸本の校異について/『長嘯室本 落窪物語』について 伴利昭 長嘯室本中・下の錯簡/『千陰本 落窪物語』における注釈的研究について 伴利昭/「落窪物語研究会」について―あとがきにかえて―




 『国語語彙史の研究 二十四』
  国語語彙史研究会編 定価10,500円(本体10,000円) 
  A5・上製函入・344頁 ISBN4-7576-0315-0

国語語彙史研究の体系化と共に、語彙史研究の新たな方法論や隣接分野との関わりにも積極的に取り組んだ論文集。

〔内容目次〕特集―近世語《江戸東京語の敬語形式オ〜ダ 小松寿雄/雅俗に遊ぶことばの世界―近世初期俳諧『大海集』の語彙― 山内洋一郎/女中ことばの位相 松井利彦/近世漢語の重層性について―対訳資料「唐音和解」(一七一六)を中心に― 陳 力 衛/書簡用語集としての『世話早学文』の語彙 乾 善彦/一九世紀近世節用集における大型化傾向 佐藤貴裕/『扶氏経験遺訓』巻一から巻五の漢字とことば 浅野敏彦/伯楽と博労 丸田博之/明治の中の近世―「準備」と「用意」とをめぐって― 今野真二/「扁桃腺」という言葉の成立について 付:関連語彙にも触れながら 王 敏 東・許 巍 鐘/『改正増補蛮語箋』「火器」部について―『海上砲術全書』との関係― 櫻井豪人》上代語における助詞トによる構文の諸相 竹内史郎/今昔物語集の形容動詞―語種からの分析を中心に― 村田菜穂子/キブイの意味 山本佐和子/森鴎外初期言文一致体翻訳小説の本文改訂から見えてくるもの 藤田保幸/『長塚節歌集』の形容詞 蜂矢真郷/「日本語話し言葉コーパス」の資料性―形態論情報を用いた分析から― 小椋秀樹/キリシタン版『羅葡日辞書』とその原典 岸本恵実/語彙索引 人名・書名・事項索引




「二十世紀旗手」太宰治の〈今とここ〉を問う!
 『二十世紀旗手・太宰治―その恍惚と不安と―
  山内史・笠井秋生・木村一信・浅野洋 編 定価3,780円(本体3,600円) 
  (和泉選書146)四六・上製・328頁 ISBN4-7576-0309-6

太宰治にはよく知られた何枚かの写真がある。有名なのは、腕まくりのチョッキ姿でバー「ルパン」の丸椅子にあぐらをかいたスナップや、トンビを羽織って三鷹陸橋から遠方を眺める姿などだ。その表情は、照れているようにも、恥じているようにも、やや得意気にも見える。また、泣きながら微笑むようにも見える。要するに、太宰の〈顔〉には、ただ喜び、ただ悲しむといった「単色」の表情がない。それは、太宰自身のさまざまな思いが「重層的」に溶けこんだ複雑な〈心の色〉の反映だが、同時に、太宰の〈顔〉に見入る太宰文学の読者すべての〈今とここ〉を映し出す〈鏡〉でもあるからだ。つまり、「二十世紀旗手」太宰治へのアプローチとは、「二十一世紀」を生きる我々自身の「恍惚と不安」を尋ねることでもある。従って、本書中で問われた「方法・時代・コトバ・身体・イデオロギー・宗教・トポス」とは、「太宰治」に名を借りた我々自身の足元の別名でもある。

〔内容目次〕序―太宰治と現代日本 猪瀬直樹/第T部 「太宰治」という方法 「太宰治」の方法―「自己」と「他者」との視点から 饗庭孝男/「太宰治」という世界 山内史/「太宰治」という磁場―「吉野山」を視座として― 木村小夜/故意と過失の裂け目―「魚服記」の空白― 浅野洋/第U部 「太宰治」という時代 作家以前・作家としての出発の時代 清水康次/小説家「太宰治」の誕生まで―昭和初年代の津島修治点描― 曾根博義/開戦前後の太宰治―「徴用」失格を受けとめる― 木村一信/「人間失格」の彼岸 角田旅人/第V部 「太宰治」のコトバ/身体/イデオロギー/宗教 太宰治の弁証法 花田俊典/発病するメタフィクション―太宰・病・薬 中村三春/太宰治における共産主義と〈人間失格〉 川崎和啓/太宰治と聖書―マタイ伝六章(二五節〜三四節)との関わりを中心に― 笠井秋生/第W部 「太宰治」のトポス 津軽―放蕩息子のふるさと― 相馬正一/無用の用―『惜別』の位相― 東郷克美/太宰と甲府 渡部芳紀/太宰文学と〈鎌倉〉 三谷憲正/結―『桜桃』についての二、三の感想 長部日出雄




kyoto_to_bungaku.jpg  『京都と文学―京都光華女子大学公開講座―
  京都光華女子大学日本語日本文学科編 定価2,625円(本体2,500円)
  (和泉選書144)四六・上製・208頁 ISBN4-7576-0262-6

「京都」あるいは「京都学」への関心は、近年とみに高まっている。ゆえんはいうまでもなく、「京都」が千二百年の長きにわたって、政治的にはもちろん文化全般にわたる種々の領域で中心的な位置を占めてきた、その歴史性が、あらためて見直されつつある、ということであろうが、その「京都」という地にあって、文化の華たる国語および国文学がどのように展開してきたか、もしくは国文学のなかで「京都」がどのような意味の土地として描かれてきたか、をさまざまな時代ないしジャンルから論じているのが本書である。
扱われている問題は多岐にわたり、また奥の深いことがらであるが、『万葉集』の和歌から近代の小説に至る、各作品に即して論ぜられているためと、公開講座で講ぜられた原稿を基にした論であるために、その難しい問題が、実に具体的に分かりやすく説かれている。

〔内容目次〕長岡京と大伴家持―万葉集の成立と伝来に関連して― 一、長岡京と古代文学 二、藤原種継暗殺事件 三、大伴家持と万葉集の編纂 四、万葉集伝来の開始 朝比奈英夫源氏物語における「都(みやこ)」と「京」 一、和語と漢語 二、源氏物語での用例数 三、「みやこ」と「京」 四、都の外 五、邸内の京……絵巻 神谷かをる歌枕「宇治」考 一、はじめに―宇治を詠じた和歌とその属性― 二、柿本人麻呂の詠 三、喜撰法師の詠 四、寂蓮法師の詠 五、藤原定家の詠 六、おわりに 三村晃功説経『信徳丸』と清水寺 はじめに 一、説経『苅萱』と清水寺 二、御伽草子『物くさ太郎』と清水寺 三、舞曲『景清』と清水寺 四、説経『信徳丸』と清水寺 肥留川嘉子泉鏡花の出発と『日出新聞』―『冠弥左衛門』をめぐって― はじめに 一、『日出新聞』の成り立ち 二、『冠弥左衛門』連載の経緯 三、物語世界の構造 四、明治二十年代の社会と新聞メディア 関 肇志賀直哉と京都 はじめに 一、青春期の京都訪問―明治四十一(一九〇八)年・明治四十五(一九一二)年― 二、京都在住第一期―大正三(一九一四)年〜大正四(一九一五)年― 三、京都在住第二期―大正十二(一九二三)年〜大正十四(一九二五)年― 清水康次京ことば―その現状と源流― 一、京都と「京ことば」 二、形容詞の連用形―丁寧表現など― 三、動詞の連用形―転成名詞など― 四、「京ことば」と和語・漢語 五、「京ことば」の特質 玉村禎郎/あとがき

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