新刊案内(05年2月)




genjikokagamisyohon.jpg 中世・近世文学に多大な影響を及ぼした『源氏物語』注釈書の翻刻
『『源氏小鏡』諸本集成』
 岩坪 健編 定価21,000円(本体20,000円)
   (研究叢書325)A5・上製 ISBN4-7576-0297-9

古今集・伊勢物語・和漢朗詠集は、原典そのものよりも、その注釈の方が中世文学によく引かれている。源氏物語も、現代人が読む青表紙本より梗概書の方がよく利用された。梗概書の中には青表紙本とは異なる粗筋や説話を含み、当時はそれも光源氏の話として享受されていた。すなわち現代と中世では、源氏物語の内容が異なるのである。
源氏物語の影響を受けた中世・近世文学を理解するには、当時の人々が把握していた源氏の世界、すなわち梗概を知ることが必要不可欠である。梗概書は数多く作られ、そのうち最も流布したのは、南北朝時代に成立した『源氏小鏡』である。本書は連歌の寄合を掲載して連歌師に重宝され、近世に到ると刊行され幾度も版を重ねた。このように中世・近世文学に多大な影響を及ぼしたため異本が多く、そこで重要な伝本を十三本厳選し、全文翻刻して解題を付した。中世・近世の文学研究の一助になることを希望する次第である。

〔内容目次〕
はしがき 
翻刻凡例 
翻刻本文 
第一系統(古本系) 

 1、第一系統第一類 京都大学本(持明院基春筆)
 2、第一系統第二類 宮内庁書陵部本
 3、第一系統第四類 国会図書館本(古活字版)
第二系統(改訂本系)
 4、第二系統    神戸親和女子大学本(無刊記整版)
第三系統(増補本系)
 5、第三系統第二類 都立中央図書館本(三井寺聖護院系統)
 6、第三系統第二類 国文学研究資料館本(道安系統)
 7、第三系統第三類 天理図書館本
第四系統(簡略本系)
 8、第四系統    神宮文庫本
 9、第四系統    大阪市立大学本
第五系統(梗概中心本系)
 10、第五系統   天理図書館本(飛鳥井宋世筆)
 11、第五系統   京都大学本(飛鳥井重雅筆)
 12、第五系統   天理図書館本(連蔵筆)
第六系統(和歌中心本系)
 13、第六系統   京都大学本
 解題 あとがき    




kodainokisoteki.jpg 言葉そのものから思惟の形を探ろうとする古代日本語研究の書
『古代の基礎的認識語と敬語の研究』
 吉野政治著 定価10,500円(本体10,000円)
   (研究叢書327)A5・上製  ISBN4-7576-0300-2

本書の目的は二つある。
ひとつは、言葉そのものの分析を通して外国語の影響を受ける前の在来の認識の形を探ること。
もうひとつは、外国語のための文字を日本語を表記する文字として変質させていく過程を追いながら、日本的なものの考え方を具体的に明らかにすることである。
前者の分析対象には因果関係・時空間などの範疇を表わす和語の形式名詞を選び、後者の調査対象には和習の生じやすい敬語に深く関わる文字を扱う。和習に注目するのは、和習を中国本来の意味用法を誤ったものとしてではなく、日本的なものの考え方の積極的な現われと捉えるからである。
本書は、言語は認識の形そのものを示し、文字はその反映であることを再確認しつつ、言葉そのものから思惟の形を探ろうとする古代日本語研究である。

〔内容目次〕
第一篇 基礎的認識語の研究
 第一章 理由の認識
 第一節 タメ―理由と目的・原因―
 第二節 ユヱとカラ―外的理由と内的理由―
 付論1 カラニの初出例の意味
 付論2 逆態に訳されるユヱ
 第二章 領域の認識
 第一節 アママ(雨間)考
 第二節 「体言(+の)+ま」の両義性
 付論 「山のマ」小考
 第三章 時空間の認識
 第一節 甲類ト―短い時間・狭い空間― 第一項 時間を表わすト 付論 ホト(程)の本義 第二項 場所を表わすト
 第二節 乙類ト―長い時間・広い空間― 付論 トコナツニの意味
 第三節 トキ(時)の語源 付論 「時々」考 
第二篇 敬語の研究
 第一章 敬語補助動詞の成立
 第一節 補助動詞マス(イマス)の成立
 第二節 補助動詞タマフの成立
 第三節 古事記の補助動詞タマフの通時的位置
 第二章 敬字の成立―「御」と「奉」―
 第一節 「御」字の受容と展開 第一項 動詞を表記する「御」 第二項 敬語接尾語的用法の「御」 第三項 至尊をさす「御」 第四項 敬語接頭語としての「御」 付論 萬葉集巻10・一八九〇「思御」存疑
 第二節 「奉」字の受容と展開 第一項 動詞を表記する「奉」 第二項 敬語接頭語としての「奉」 付論 「奉為」覚書
語句・事項・書名索引
人名・引用文献索引
記紀歌謡・萬葉歌索引
あとがき



1月のページへ  3月のページへ

新刊情報はじめへ

注文はこちら

Go to Top