新刊案内(05年5月)




<推薦> 大阪近代文学研究の礎 田辺聖子
従来の観念的に固定化された東京中心の文学を離れ、
地方に位置した視点より文学運動の総体を探る意欲的な試み

『大阪近代文学事典』【新刊の栞呈上】
 日本近代文学会関西支部 大阪近代文学事典編集委員会編
 定価5,250円(本体5,000円)
   (和泉事典シリーズ16)A5・上製 口絵1頁・本文347頁 ISBN4-7576-0284-7

大阪は、淀川に臨む上町台地に難波京と難波津が設置され、古代国家の形成期から現代に至る長い歴史の過程を通じて、我が国の文化の中心的役割を果たしてきた。近世では、懐徳堂、適塾、含翠堂による学問、俳諧、浄瑠璃、小説などの上方文化の隆盛をみた。その文化的伝統を受け継いだ現代では、この大阪の地から、ノーベル文学賞を受賞した川端康成をはじめ、梶井基次郎、武田麟太郎、織田作之助、直木三十五、小野十三郎、松瀬青々、折口信夫、五味康祐、司馬遼太郎、開高健、河野多惠子、田辺聖子、山崎豊子、黒岩重吾、藤本義一、小松左京等々のすぐれた文学者が多く輩出した。
『大阪近代文学事典』は、これら大阪にかかわった小説家、劇作家、評論家、詩人、歌人、俳人等、明治・大正・昭和はむろん、現代活躍中の文学・思想家900余名を採録し、大阪の風土と文化と歴史に育まれた近代・現代文学者の全体像を鮮やかに浮かび上がらせた。

《本書の特色》
その数900名以上にわたる人名項目
●人名項目として、大阪出身者だけではなく、居住・滞在者、訪問者、あるいは大阪に関わる作品を描いたことのある文学者までも収録。大阪の近代・現代の文学運動の息遣いが聞こえる事典です。
大阪に根ざした文学世界を一望
●枝項目としては、その作家の代表作ではなく、大阪を題材、もしくは舞台とした作品を選んで取り上げます。取り上げた作品は多岐に渡り、小説・戯曲・評論・随筆・児童文学・詞・短歌・俳句・川柳などあらゆるジャンルのものを収録。
●執筆陣は総勢96名の気鋭の文学研究者。
●巻末付録として「大阪出身文学者名簿」「枝項目(作品名)索引」を収録。




セミナー万葉の歌人と作品第十一巻東歌・防人歌/後期万葉の男性歌人たち』
神野志隆光・坂本信幸企画編集 定価3,675円(本体3,500円)
  (セミナー万葉の歌人と作品11)A5・上製 331頁 ISBN4-7576-0319-3

〔内容目次〕口絵 はじめに 凡例 東歌・防歌人論 品田悦一/東歌冒頭五首 水島義治/遠江国・駿河国・伊豆国・相模国の相聞 渡部和雄/武蔵国・上総国・下総国・常陸国の相聞 加藤静雄/信濃国・上野国・下野国・常陸国の相聞 土井清民/未勘国の相聞 菊池威雄/遠江国・相模国の防人歌 勝俣 隆/駿河国・上総国の防人歌 飯泉健司/信濃国・上野国・武蔵国の防人歌 奈良公俊/昔年防人歌 冨田大同/乞食者の歌 内田賢徳/聖武天皇の歌 影山尚之/大伴三中の歌 森長 新/湯原王の歌 川島二郎/橘諸兄の歌 都倉義孝/遣新羅使人の歌 村瀬憲夫/中臣宅守の歌 粕谷興紀/大伴池主の天平十九年晩春の歌 山崎健司/大伴池主の敬和歌 西 一夫/大伴池主の報贈歌 鉄野昌弘/大伴池主の戯歌 奥田俊博/大原今城の歌 真下 厚/東歌・防人歌/後期万葉の男性歌人関係文献目録 渡辺寛吾

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万葉百話木簡は語る』
 猪股静彌著 予価2,650円(本体2,500円)
   A5・並製 315頁 ISBN4-7576-0314-2

日本民族が、墨と硯、そして筆をもって文字を書きはじめたのは、古代国家の形成期・万葉時代であった。一九六一年、平城宮址の一隅から木簡が出土して以来、今日まで十数万点の木簡が出土した。木簡の文字は、万葉時代を生きた人々の書いた文字そのものである。力強い文字、線の細い文字、汚れた文字、誤字など、すべて万葉時代の人々の息吹のこもった字である。著者は、平城宮址の一角にある奈良市立一条高校に勤務して三十四年。教師をしながら万葉集の森に遊ぶ著者にとって、出土する木簡は万葉びと達の生活と知識と、歴史の一駒を語ってくれる友人であった。問いかけると、応じて、さまざまな歴史と文化を語ってくれる貴重な歴史資料であった。
本書「万葉百話」には、「木簡は語る」七十五話と、木簡と同様に万葉時代の文字、そのものの残る「墓誌は語る」と「古碑は語る」の二十五話を収録してある。

〔内容目次〕
第一章 重要文化財指定木簡第二章 明日香古京木簡/一 キトラ古墳/二 具注暦/三 富本銭・飛鳥池木簡/第三章 藤原京第四章 平城京/一 過所木簡/二 朱雀門など/三 ああ長屋王/第五章 墓誌は語る第六章 古碑は語る/あとがき・回顧七十年




『萬葉語文研究 第1集
萬葉語学文学研究会編 定価2,835円(本体2,700円)
  A5・並製 200頁 ISBN4-7576-0322-3

萬葉集を中心とする上代文学、八世紀を中心とする日本語学の、新たな展開を告げる論考を集めた論集の創刊。

萬葉語学文学研究会(萬葉語文研究会)の発足から五年、前身の萬葉有志研究会の発会からは十五年を経て、このたび、『萬葉語文研究』を刊行し、本会における研究成果を世に問うはこびとなった。(略)そこで本誌は、これら萬葉語文研究会における研究活動を踏まえ、主として若手研究者の有意義な研究成果公表の場として刊行を続けてゆく所存であり、研究会各位の、絶えざる一層の精進を切望するところである。」(「創刊の辞」より)

〔内容目次〕
創刊の辞 
毛利正守/萬葉集と本草書―「芽子・烏梅」などをめぐって― 井手至/笠女郎歌群をめぐって―文字による歌物語― 浅見徹/日本書紀の漢語と訓注のあり方をめぐって 毛利正守/『古事記』ウケヒ条の構想 牛島理絵/贈歌としての嘉摩三部作 八木孝昌/「にほふ」考―『万葉集』における「にほふ」の意味用法をめぐって― 龍本那津子/「公」であること―『古記』所引の漢籍を中心として― 奥村和美/『萬葉集』における序歌と「寄物陳思」歌 白井伊津子/『出雲国風土記』本文について―上代文献テキストの一面― 内田賢コ/萬葉語学文学研究会記録




『南島へ南島から 島尾敏雄研究
阪薫・西尾宣明編  定価2,625円(本体2,500円)
  (和泉選書147)四六・上製 356頁 ISBN4-7576-0321-5

本書は、島尾敏雄の文学や思想と、島尾の仕事をもっとも特色づける「南島」(「ヤポネシア」)との関係に視座を定めた、書き下ろし論考一二篇からなる論文集である。執筆者は、いずれも島尾敏雄に継続的に強い関心を寄せる研究者・評論家であり、掲載論文は、それぞれの立場から島尾研究へのさまざまな視点を提示している。島尾の小説や思想と「南島」との関連性、作品の発想や成立に関する新たな視点、「ヤポネシア」という概念に対する多様な理解の方法など、いずれの論考も示唆的で新鮮である。また、生前の島尾と深く関わりをもった三人の証言を掲載している。これらは、新資料としての価値を有すると同時に、今後の島尾研究に貴重な役割を果たすであろう。他に、一九九〇年以降の研究参考文献目録も収載。これは、現況の島尾研究の水準を知る上で必須の目録となろう。島尾敏雄歿後二〇年にあたり、本書は、現在、および今後の島尾研究に大きな指針を与える一冊である。

〔内容目次〕《巻頭言》島尾敏雄の文学に就いて 島尾ミホ/島尾敏雄『出孤島記』論 浦田義和/島尾敏雄・掌編『はまべのうた』について 寺内邦夫/『魚雷艇学生』と〈南島〉の発見 安達原達晴/神戸という空所―島尾敏雄『勾配のあるラビリンス』における戦後表象― 山口直孝/非在化された民たち…島尾敏雄と神戸の〈奄美シマ社会〉 大橋愛由等/南島のカトリック宣教と島尾敏雄 大田正紀/シマオタイチョウを探して―「ヤポネシア論」への視座― 鈴木直子/都市の表象と「ヤポネシア」構想―『家の外で』『帰魂譚』の言説、あるいは島尾文芸の一九六〇年前後― 西尾宣明/島尾ミホ『柴挿祭り』―琉球との縁― 鳥居真知子/那覇とラビリンス 岡本恵徳/ヤポネシアの終わり―谷川健一の功罪― 花田俊典/ヤポネシア論の可能性―「もうひとつの日本」の行方― 阪 薫/《証言》神戸・東京(小岩)の島尾敏雄 尾嵜 昇/《証言》奄美の島尾敏雄 藤井令一/《証言》島尾敏雄先生の、死亡に到るまでの病状の経過報告 福田正臣・増田明日香/一九九〇年以降の島尾敏雄研究参考文献目録 西尾宣明・巻下健太郎/あとがき




『寺内町研究 第九号
貝塚寺内町歴史研究会編 定価1,575円(本体1,500円)
  A5・並製 ISBN4-7576-0324-X

〈研究〉近世後期・貝塚旅籠屋の基礎的考察―天保期を中心に― 戸田州彦/貝塚寺内出土の中国産白磁系磁器について 前川浩一/〈史料翻刻〉吉村家文書『諸用記』(三) 曽我友良



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