新刊案内(05年11月)
![]() |
〈初めての本格的な音声研究のテキスト〉 『音声研究入門』CDーROM付(音声録聞見フリー版など) 今石元久編 定価1,890円(本体1,800円) テキスト A5並製・カバー装 164頁 ISBN4-7576-0339-8 音声学は、過去を顧みるとき社会習慣面などの音韻論に従属するかのようであった。しかしながら、現代や未来へは、誰でも追及できる、独自色の濃い、調和のとれた中庸の学が必要であろう。対象は人間の声である。生きている、うねっているその人間の声を、いかに追求するかであろう。 音響面から照しだしてみて、最初に注目されるのは、分節に関わる母音や子音である。次は音節である。そして、イントネーションなど、分節を超えたいわゆる人間的なところであろう。いずれにしても、耳と目を十分に養い、分析結果も見ながら、バランスのとれた人間のための音声学が夙に期待されているのではなかろうか。 〈執筆者〉今石元久/岩城裕之/大橋純一/鹿島 央/岸江信介/久野 眞/澤松玲子 /上斗晶代/世木秀明/中井幸比古/長瀬慶來/原田哲男/三輪譲二/山口幸洋 〔内容目次〕緒言 桐谷 滋/第1章 序説 第1節 音声言語の誕生 第2節 音声とコミュニケーション 第3節 発声の仕組み 第4節 音声器官/第2章 母音と子音 第1節 母音の定義・子音の定義 第2節 母音の生成 第3節 母音を目で見る 第4節 日本語の母音 第5節 日本語の母音に見る地域差 第6節 実地研究のために・南琉球の特色的な母音 第7節 英語との母音対照 第8節 子音 第9節 日本語の子音の概要 第10節 実地研究のために・東北の鼻音化 第11節 日本語と英語の子音の対照/第3章 音節 第1節 音節とは 第2節 特殊拍を覆う日本語の音節 第3節 日本語の鼻音効果 第4節 いろいろな母音を持つ日本語の音節 第5節 英語の音節/第4章 単語アクセント 第1節 日本語共通語のアクセント 第2節 日本語諸方言のアクセントとその歴史 第3節 第2言語としての日本語アクセント/第5章 イントネーション T 文アクセント 第1節 文アクセントの表記 第2節 根強い非弁別的特徴 第3節 アクセント論への反省 U 日本語のイントネーション 第1節 日本語におけるイントネーション 第2節 イントネーション形式の把捉 第3節 イントネーションの分析例 第4節 日本語と英語のイントネーションの対照/第6章 音声教育 T 日本語教育での実践 第1節 はじめに 第2節 音声上の「誤り」とは 第3節 単音レベルの「誤り」 第4節 韻律レベルの「誤り」 U 海外での教育事情 第1節 はじめに 第2節 発音習得に影響する要因 第3節 英語発音習得の実態 第4節 日本語発音習得の実態 第5節 語学教育への示唆/第7章 音声の音響分析等 T 音声の音響分析 第1節 分析音声の録音方法 第2節 音声の音響分析 第3節 本書以外の音響分析プログラム U 自然会話の収録及びホームページ 第1節 概要の記録 第2節 話者をどう探すか 第3節 収録と編集の方法 第4節 ホームページの利用 V 研究文献/編修後記/索引/本書のCD−ROM/国際音声記号 |
![]() |
〈ついにシリーズ完結!〉 シリーズ全巻情報へ |
![]() |
『紅葉文学の水脈』 土佐 亨著 定価10,500円(本体10,000円) (近代文学研究叢刊30)A5・上製 517頁 ISBN4-7576-0318-5 「近代の説話」という概念を編み出し、新聞の雑報(三面記事)と『金色夜叉』『多情多恨』『三人妻』等紅葉文学との内的関連を追究した待望の書である。雑報を単なる風俗紹介の枠に閉じ込めず、近代の生んだ「説話」であり当時の民衆の情念を代表するという視点で積極的に活かす。前近代的な明治を描く紅葉の作品から、雑報の醸し出す当時の民衆の情念に根ざしつつ同時にそれとの格闘を地道に行なう様相を導き出す手法が魅力。近代化の進行する真っ只中に身をおきながら、その「近代」を内側から相対化する視点を持つ紅葉が鮮やかに浮かび上がる。また、上田秋成や柳亭種彦に関する論稿が加わることにより、近世文学からの水脈の上に形成されている紅葉文学の土壌がより鮮明となろう。紅葉文学の表現を広く文化史的な土壌において捉えるとともに、日本の歩んできた「近代」とは何だったのかをあらためて問いかける書である。 〔内容目次〕T 江戸文学の流れ 一 『雨月物語』「仏法僧」の寓意/二 春雨物語「血かたびら」私考/三 柳亭種彦論/四 緑雨と江戸/五 江戸文化圏の影/六 近世文学に原話をもつ紅葉作品二種/U 近代説話と紅葉文学 一 近代の説話と文学/二 近代文学研究の外廓資料としての『官報』/三 紅葉文学における“風俗”/四 紅葉初期小説の方法/五 紅葉作『紅白毒饅頭』ノート/六 尾崎紅葉と雑誌『貴女の友』/七 紅葉と読売新聞社との違和をめぐる明治二十五年九月の事件について/八 紅葉の旅から/九 『三人妻』の周辺/十 紅葉・秋声の合作雑報をめぐって/V 文学的成熟への試み 一 尾崎紅葉『侠黒児』とエッジワース『恩がえしをした黒人』/二 『寒帷子』作者考/三 『心の闇』/四 尾崎紅葉の児童文学/五 『多情多恨』試論/六 尾崎紅葉とマリヴォー/W 『金色夜叉』の世界 一 『金色夜叉』の相貌/二 『金色夜叉』の初出掲載および現行本対照表/三 『金色夜叉』の一素材/四 『金色夜叉』を軸として/X 硯友社とその余波 一 山田美妙『蝴蝶』典拠考/二 小栗風葉『青春』/三 漱石と硯友社/四 『魔風恋風』考/索引(人名・書名・事項他)/あとがき |
![]() |
『近代戦争文学事典 第九輯』 矢野貫一編 定価13,650円(本体13,000円) (和泉事典シリーズ17)A5・上製 503頁 ISBN4-7576-0333-9 読解書誌学の範例 谷沢永一 執筆者が敍述を進める時は、経営者が商品を生産するのと同じく、その成果を使いこなすにあたり、できるだけ有効に利用されるよう、見通しを立ててかからねばならない。書物の内容をじっくり噛み砕いて、未見の読者にも十分に呑みこませる手法では、矢野貫一が現今の先頭走者である。 巻を重ねるごとに筆が進み、書誌にとどまらない読み込みの研究となってゆく。岩田豊雄(獅子文六)の『海軍』には、本当の海軍士官が目指すところ、人間が出来たと称されるような、人格の磨きであったと、作者が訴える意図を汲みとっている。主人公を家柄や学問や資産に支えられず、母の慈愛に育った並みの青年に設定した作者の構想を察知して共感を誘う。 野間宏の『真空地帯』を解読するのに、戦後の定型となった陸軍批判の常套語を避け、温もりのある矢野貫一自身の肉声で語るあたり見事である。文学研究は深く読みぬいた上で、おのれの個性に即した批評の文脈を見出すべしと教えている。 〈主な収載項目〉【明治期】佐賀電信録(神奈垣魯文)/甲子兵燹図(前川五嶺)/丁丑公論 瘠我慢の説(福沢諭吉)/血烟(安川隆治)他(全80点)【大正期】帝国々防論(大隈重信)/或兵卒の記録(細田民樹)他(全26点)【昭和戦前戦中期】●戦前=爆弾三勇士の歌(与謝野寛)/関東艦の想出(南条郡教育会)他(全38点)●日華事変期=揚子江艦隊従軍記(杉山平助)/脇坂部隊(中山正男)他(全100点)●大東亜戦争期=海戦(丹羽文雄)/海軍(岩田豊雄)/南方演芸記(小出英男)他(全80点)【昭和戦後期】●被占領期=最後の御前会議(近衛文麿)/真空地帯(野間宏)他(全27点)●講和条約発効以後=プレオー8の夜明け(古山高麗雄)/戦艦陸奥(山田風太郎)他(全114点)【平成期】ホタル帰る(赤羽礼子・石井宏)他(全56点)〈論文〉日清戦争実記(翻刻)/大いなる天保/深田久彌守分/〈索引〉書名作品名索引/著者編者名索引 |