![]() |
今後の上司小剣文学研究に必読不可欠の書 『上司小剣文学研究』 荒井真理亜著 定価8,400円(本体8,000円) (近代文学研究叢刊31)A5・上製カバー装 277頁 ISBN4-7576-0335-5 上司小剣は、明治三十年(一八九七)読売新聞社に入社した。その在社中に正宗白鳥、徳田秋声、そして幸徳秋水らと知り合い、次第に社会主義に傾いていった。大正三年(一九一四)自然主義的写実小説「鱧の皮」で文壇的地位を獲得した。その優れた細かい描写力で、特に男女の京阪(かみがた)情緒を余すところなく描き、多くの秀作を発表した。 本書の特色は、こうした上司小剣文学を、豊富な資料を広範囲にわたって発掘し、論じたところにある。上司小剣の曾祖父であり、東大寺八幡宮の神主であった紀延興の享和三年(一八○三)の道行きを綴った写本「雄山記(ママ)行」などの翻刻は、近世文学研究の上でも珍しい貴重な資料の発見であろう。これまで全く論じられることのなかった上司小剣と野村胡堂との交流を、上司小剣の野村胡堂宛書簡から検討するなど、興味深いものがある。 〔内容目次〕T 上司小剣「鱧の皮」論 一、同時代の評価 二、その執筆時期 三、作品世界の時間設定 四、その主題 五、モデルたちのその後/上司小剣「木像」・その文学的転機 一、先行研究 二、作者の言葉 三、歴史的事実の歪曲 四、構想の破綻 五、「木像」執筆中に起こった「我国未曾有の大事件」/上司小剣 作家以前の小品「その日その日」 一、「小品にすぐれたるは」 二、書誌的整理 三、第一の特徴 四、随想雑感コラムの内容の独自性 五、近代文学における三大小品/上司小剣と野村胡堂―野村胡堂宛上司小剣書簡を中心に― 一、はじめに 二、蓄音機とレコード 三、新聞人、作家として 四、親として 五、戦争の影 六、 おわりに/紀延興『雄山記(ママ)行』〈上司家蔵〉翻刻 一、書誌 二、解題 三、翻刻/上司小剣文学研究案内 はじめに 一、選集・文学全集 二、著作目録・参考文献目録 三、年譜 四、書簡 五、戦前の作家論 六、戦後の作家論 七、新聞記者時代のコラム 八、明治社会主義との関わり 九、京阪情緒もの 十、新聞小説 十一、歴史小説/U 久米正雄「三浦製糸場主」―その改稿をめぐって―/昭和期の『萬朝報』について―萬朝報社長・長谷川善治の大日本雄弁会講談社社長・野間清治宛書簡の紹介―/初出発表一覧/あとがき |
![]() |
『形容詞・形容動詞の語彙論的研究』 本書は、形容詞・形容動詞の語彙を取り上げ、(一)語構成をはじめとする質的な側面についての体系性を明らかにするとともに、(二)(一)の分析結果に基づき語彙の量的構成を明らかにする(計量的分析)という、二つの側面から形容詞・形容動詞の語彙論的研究を推し進めるものである。第一篇「古代語形容詞の語彙構造」では、古代語形容詞の語構成についての具体的な分析方法を示すとともに、語構造論および造語論的な観点から古代語形容詞の体系性と量的構成について考察し、第二篇「形容詞・形容動詞の体系性と連関」では、分析の対象を中世まで広げ、中古以前には原則的に認められなかった両活用形容詞の成立事情を考察する中で、語の活用と意味との関係性を再考し、さらにはク活用形容詞・シク活用形容詞・形容動詞の三形式の連関についてまとめた。そして、第三篇「形容詞・形容動詞の計量的分析」では、第一篇で行った語構成を中心とする質的な面からの考察を踏まえて、中古の形容詞および形容動詞の量的側面を分析・考察した。 〔内容目次〕序 語彙研究の視点/第一篇 古代語形容詞の語彙体系 第一章 古代語形容詞の語構成―分析の対象と方法― 第二章 古代語形容詞の量的性格 第一節 活用から見た古代語形容詞 第二節 上代形容詞の継承性と中古新出の形容詞 第三節 古代語形容詞の「つくり」 第四節 古代語形容詞の階層構造 第五節 古代語形容詞の「くみたて」/第二篇 形容詞・形容動詞の体系性と連関 第一章 中世語における形容詞―両活用する形容詞を中心に― 第一節 ク活用「イカメイ」とその周辺―ク活用後出の両活用形容詞― 第二節 虎明本狂言集のフカシイとフカイ 第三節 重複形容詞との連関をもつ両活用形容詞 第四節 両活用形容詞からシク活用形容詞へ 第五節 両活用形容詞「うたてし」について―平家物語を中心に― 第二章 語構成と意味 第一節 「語形容詞」と「句形容詞」 第二節 形容詞・形容動詞の意味領域 第三章 古代語における形容詞と形容動詞の交流 第一節 形容詞と形容動詞の交替―ケシ型形容詞を中心に― 第二節 ゲナリ型形容動詞―造語力拡大の様相について―/第三篇 形容詞・形容動詞の計量的分析 第一章 八代集および中古散文作品の形容詞 第二章 中古散文作品の形容動詞―ゲナリ型形容動詞とカナリ型形容動詞―/むすび/別表一 古代語形容詞の語構成 別表二 八代集の形容詞対照語彙表 別表三 中古散文作品の形容詞対照語彙表 別表四 中古散文作品の形容動詞対照語彙表 参考資料 訓点資料の形容詞の語構成/あとがき/人名・事項索引/語彙索引 |