新刊案内(06年8月)



24151.jpg 小林秀雄 美的モデルネの行方
野村幸一郎著 定価3,675円(本体3,500円)
(和泉選書151) 四六上製・232ページ ISBN4-7576-0381-9
日本図書館協会選定図書

 ベルグソン、ランボー、マルクスなど西欧の思想や文学の影響の下で批評活動を開始した小林秀雄は、日支事変の頃から、徐々に古典に傾斜していく。戦後、坂口安吾は、小林秀雄は祖国の宿命に殉じたと語った。戦時下の小林秀雄の批評において、美とイデオロギーは、一見そうとは見えない形でつながっている、安吾はそう指摘したのだ。本書では、初期批評から「無常といふ事」までを視野に納めつつ、小林秀雄によって語られた「美」が「戦争」に寄り添っていくプロセスの解明が試みられている。そこから浮かび上がってくるのは、西洋的な知性を母胎にして、小林が構築した日本精神、伝統的自我が放つ「美」である。そして、この問題は小林に限らず、美そのもの、思想そのものが内包する「負の本質」の問題でもある。

〔内容目次〕 はじめに
 美的モデルネの構造/批評の出発/〈宿命〉の構造/言葉と商品/第一章 唯物論と純粋持続 形式主義論争/純粋持続という存在様式/絶対言語の思想/第二章 批評の科学性 科学的批評の構造/弁証法的唯物論の可能性/精神化された商品/第三章 資本主義と自己意識 〈私〉の封建的性格/故郷を失った〈私〉の抽象性/私小説論議の行方/第四章 美学イデオロギーの形成 事変の〈新しさ〉/戦記文学への関心/国民的心性に対する信頼/歴史の単独性/無関心的態度と美学/第五章 戦時下の日本文化論―小林秀雄から西田幾多郎・坂口安吾へ 通俗性と美/無関心的態度と日本精神/矛盾的自己同一の原理と世界史の形成/頽落という実存形式/補章 〈私〉の解体/〈物語〉の解体―牧野信一と川端康成/第一節 演技する〈私〉―牧野信一の実験 内面という神話/他者が期待する〈私〉/私小説という制度/自己同一性という神話/他者指向性の欠落―中期作品群への展望/第二節 消費する〈私〉と流動化する〈私〉―川端康成『淺草紅團』 浅草の欲望/仮装人物の優位性/語りの非特権性/あとがき




23356.jpg 西鶴文学の地名に関する研究 (第六巻)
堀章男著 定価18,900円(本体18,000円)
(研究叢書356) A5上製・函入・680ページ ISBN4-7576-0384-3

西鶴の浮世草子二十五作品に見られる全地名を抽出し、五十音順に配列。該地の歴史的背景と近世の実情を各種資料により実証的に解説。


[内容目次]
項目別一覧/凡例/【シュ】―【シン】・【シュサ】/【ス】―【スン】

好評既刊(価格は税込)
『西鶴文学の地名に関する研究 第一巻ア-オ 16800円(ひたく書房刊)
『西鶴文学の地名に関する研究 第二巻カ-キソ 15750円
『西鶴文学の地名に関する研究 第三巻キタ-ク 18900円
『西鶴文学の地名に関する研究 第四巻ケ-サツ 21000円
『西鶴文学の地名に関する研究 第五巻サト-シャ 21000円




23353.jpg 『『野ざらし紀行』古註集成』
三木慰子編 定価10,500円(本体10,000円)
(研究叢書353) A5上製・函入・255ページ ISBN4-7576-0370-3

 松尾芭蕉の第一の紀行文である『野ざらし紀行』研究にとって、古註釈書は基礎資料として欠くことのできない存在だといえる。江戸時代に出された同紀行の発句を収めた註釈書類は現在、29種類ある。それらを32条に分け、各発句ごとに対比翻刻したものが本書である。これより『野ざらし紀行』所収の芭蕉発句が江戸期にどのように理解されていたのかを知ることができ、現在の註釈書に与えた影響をも窺えよう。
『野ざらし紀行』という芭蕉紀行文学の魅力の根源を探究するための一助としてここにあえて古註釈集成を初めて編み、皆様に提供したいと思う。

〔内容目次〕 凡例/一、深川旅立 野ざらしを心に風のしむ身哉 秋十とせ却て江戸を指古郷 二、箱根の関 雰しぐれ冨士をみぬ日ぞ面白き 深川や芭蕉を冨士に預行 ちり/三、富士川 猿を聞人捨子に秋の風いかに/四、大井川 秋の日の雨江戸に指おらん大井川 ちり 道のべの木槿は馬にくはれけり/五、小夜の中山 馬に寝て残夢月遠し茶のけぶり/六、伊勢 みそか月なし千とせの杉を抱あらし/七、西行谷 芋洗ふ女西行ならバ哥よまむ 蘭の香やてふの翅にたき物す 蔦植て竹四五本のあらし哉/八、故郷母の白髪 手にとらば消んなみだぞあつき秋の霜/九、竹の内 わた弓や琵琶になぐさむ竹のおく/一〇、当麻寺 僧朝顔幾死かへる法の松/一一、吉野 碪打て我にきかせよや坊が妻/一二、西行庵 露とくく心みに浮世すゝがばや/一三、後醍醐帝の御廟 御廟年経て忍は何しのぶ草/一四、常盤の塚 義朝の心に似たり秋の風/一五、不破の関 秋風や藪も畠も不破の関/一六、大垣 しにもせぬ旅寝の果よ秋の暮/一七、桑名 冬牡丹千鳥よ雪のほとゝぎす 明ぼのやしら魚しろきこと一寸/一八、熱田 しのぶさへ枯て餅かふやどり哉/一九、名古屋 狂句木枯の身ハ竹斎に似たる哉 草枕犬も時雨ゝかよるのこゑ 市人よ此笠うらふ雪の傘 馬をさへながむる雪の朝哉 海くれて鴨のこゑほのかに白し/二〇、故郷越年 年暮ぬ笠きて草鞋はきながら 誰が聟ぞ歯朶に餅おふうしの年/二一、奈良 春なれや名もなき山の薄霞 水とりや氷の僧の沓の音/二二、鳴瀧 梅白し昨日ふやを盗れし 樫の木の花にかまはぬ姿かな/二三、伏見 我がきぬにふしみの桃の雫せよ/二四、大津 山路来て何やらゆかしすみれ草/二五、辛崎 辛崎の松は花より朧にて/二六、石部 つゝじいけて其蔭に干鱈さく女 菜畠に花見皃なる雀哉/二七、水口 命二ツの中に生たる桜哉/二八、大顛和尚の訃 いざともに穂麦喰ハん草枕 梅こひて卯花拝むなミだ哉/二九、杜国留別 白げしにはねもぐ蝶の形見哉/三〇、桐葉留別 牡丹蘂ふかく分出る蜂の名残哉/三一、甲斐 行狗の麦に慰むやどり哉/三二、深川帰庵 夏衣いまだ虱をとりつくさず/『野ざらし紀行』と古註釈書おわりに




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■重版出来■
『東常縁』 
井上宗雄・島津忠夫編 定価3,675円(本体3,500円)
A5上製・函入・192ページ・口絵4ページ ISBN4-87088-696-0

岐阜県郡上郡大和町は、中世の武将東常縁の居城篠脇城址や東氏館跡の発掘により、いま新しく「古今伝授の里」として蘇ろうとしている。(略)古今集の悉皆伝授がここ妙見宮(明建神社)で行われ、その榊葉のもとで伝授の誓いが立てられたことは古今伝授の性格上、きわめて重要なことといわねばならないであろう。(略)大和町に立派な「古今伝授の里・フィールドミュージアム」が完成したことを機会に、(略)現段階における東常縁のできるだけ史実に忠実な一書を編んでみたいと思ったのである。(「はしがき」より)


【内容目次】
はしがき 島津忠夫/東常縁と歴代当主 鶴崎裕雄/東常縁の生涯と文事 島津忠夫/正徹・堯孝と東常縁
「東野州聞書」を中心に 稲田利徳/東常縁の家集並びに諸著作の考察 附・東家末流著作一覧 井上宗雄/古今伝授と東氏 島津忠夫/篠脇城址と東氏館跡庭園 土松新逸/東常縁年譜 井上宗雄/東家寄託文書解題 島津忠夫/古今伝授の里・フィールドミュージアム風土の歴史と、歴史への認識による町づくりに関わって 小瀬洋喜/感謝の心をこめて 東胤/文献索引/あとがき



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