![]() |
『浜松中納言物語論考』 中西健治著 定価8,925円(本体8,500円) (研究叢書351)A5上製・函入 273ページ ISBN4-7576-0368-1 狭衣物語、寝覚物語、とりかへばや物語と併称される平安末期物語佳作のなかで、研究がもっとも停滞しているのが浜松中納言物語であった。その現状に鑑みて前著『浜松中納言物語全注釈』(上・下)を刊行した。本書は前著を生み出す背景や根拠となった考察を論考のかたちで示したものである。また、本書は浜松中納言物語研究の概論書や入門書としての性格をも持たせるために、題名、作者、設立年代などの基礎的考察を再検討する論や物語に見られる特徴的な表現についての考察、近世から近代にかけての研究史を綿密に分析する論考などを収めた。さらに尾上本巻五と宮下本巻五の対照も新見として付加した。前著『浜松中納言物語全注釈』と本書とを併せることで、浜松中納言物語の基礎的読解は着実に前進しよう。 〔内容目次〕序説 平安末期物語の中の浜松中納言物語 一「平安末期」という名称について 二 浜松中納言物語の位置/第一章 浜松中納言物語の題名・成立年代に関して 第一節 浜松中納言物語の題名 一 従来の諸説の吟味 二 大君の歌について 三 中納言の歌について 四 為家と浜松中納言物語との関わり 第二節 浜松中納言物語の成立年代への一視点 一 問題の所在 二 『全集』の頭注 三 中納言の員数 四 「あまた」の用例 五 「あまた」の中納言 六 「中納言」像の憶測 第三節 浜松中納言物語の作者 ――更級日記と同一作者とみて―― 一 定家自筆本更級日記奥書から 二 孝標女作としての浜松中納言物語 三 浜松中納言物語の「といふ」表現 四 「大内山」と「み吉野」 五 孝標女の「み吉野」/第二章 浜松中納言物語の表現 第一節 異郷往還の表現をめぐって 一 問題の所在 二 「七月七日」について 三 「行き着く」について 四 「行き着く」などの語義検討 五 浜松中納言物語の用法 第二節 「山階寺」・可笑味について 一 「山階寺」の記事など 二 可笑味について 第三節「もろこし」・「からくに」一 問題の所在 二 「もろこし」と「からくに」 三 浜松中納言物語の用例 四 今後の課題 第四節「日本」・「ひのもと」 一 問題の所在 二 物語本文での「日本」 三 「日本」「ひのもと」の考察 四 周辺文学作品による考察 五 概括 第五節 「わうかくしやう」(巻一)試注 一 「わうかくしやう」は人名か 二 「わうかくしやう」は「留学生」か 三 「かうそう」のイメージ 四 「てんふ」は「竹符」か 五 概括/第三章 浜松中納言物語研究史 第一節 宣長・春村の浜松中納言物語研究 一 浜松中納言物語研究の初期 二 宣長の「石上助識篇」について 三 春村の「古物語類字鈔」について 第二節 岡本保孝「浜松中納言物語系譜」考――人物系譜を中心に―― 一 岡本保孝の浜松中納言物語研究 二 人物系譜の概要 三 人物系譜の注記及び考証の検討 四 概括 第三節 岡本保孝「浜松中納言物語系譜」考――人物系譜以外の箇所について―― 一 「浜松中納言物語系譜」の構成 二 現存本にはない内容への考察 三 年立について 四 風葉集所載和歌一覧 五 概括 第四節「目録」・「類標」研究 一 索引としての「目録」・「類標」 二 「浜松中納言物語目録」について 三 「浜松中納言物語類標」について 四 「目録」と「類標」との関係について 五 概括 第五節 宮下清計氏の浜松中納言物語研究 一 『新註』の誕生前史 二 『新註』の誕生と執筆姿勢 三 宮下清計氏の経歴 四 宮下清計氏の人となり 五 おわりに――宮下清計氏の著書一覧―― 付録 (一)宮下清計氏書写の浜松中納言物語巻五について (二)『浜松中納言物語総索引』所載「本文補正表」の補正 あとがき 索引 |
![]() |
『木簡・金石文と記紀の研究』 小谷博泰著 定価12,600円(本体12,000円) (研究叢書352)A5上製・函入 337ページ ISBN4-7576-0369-X 第一部「上代文字資料の表記をめぐって」では、木簡・金石文だけでなく、法隆寺旗墨書銘などを含む、上以外の布、木、石、金属などに文字が書かれた、いわゆる文字資料を中心に研究を進めている。さらにそれらの資料を手がかりに、記紀歌謡、初期万葉、風土記などの上代文学作品の表記などに関しても考察をすすめた。 近年に各地から出土した七世紀の木簡の検討によってはじめて、実証的に研究を進めることができたものといえよう。 第二部「古事記の成立と日本書紀」では、古事記のそれぞれの神話・伝説と、日本書紀のそれとを文字を追って詳しく対比させ、分析、検討することで両書の形成・影響関係、文体・表記の様相を考察したものである。先の上代文字資料の表記の様相とも比較することで、成立の状況にせまろうとした。 記紀両書は、その細部の徹底的な対比、分析が後れていたが、それを実行することによって、より確実な考証を行ったものである。 〔内容目次〕第一部 上代文字資料の表記をめぐって 1 七世紀における日本語の文章表記/2 法隆寺幡銘と斉明紀挽歌/3 文章史から見た法隆寺幡銘と薬師像光背銘/4 万葉集の「柿本人麻呂歌集」と初期木簡/5 播磨国風土記の筆録/6 上代木簡の文体史/7 [書評]沖森卓也『日本古代の表記と文体』/8 日本語表記のルーツを探る/9 上代の文字と意味/10 万葉集と庭園/第二部 古事記の成立と日本書紀 1 木花之佐久夜毘売/2 国生み・黄泉の国・須佐之男昇天/3 天孫降臨/4 国生み・天の石屋・八俣の大蛇/5 神武・祟神・垂仁(古事記中巻)/6 古事記の形成と文体/7 古事記の筆録と和風表記/8 仁徳・允恭・安康(古事記下巻)/9 [書評]西條勉『古事記の文字法』/10 記紀の表記と上代文字資料/初出一覧/あとがき/事項索引/執筆者名索引 |
![]() |
『戦国期畿内の政治社会構造』 小山靖憲編 定価8,400円(本体8,000円) (日本史研究叢刊16)A5上製・函入 404ページ ISBN4-7576-0374-6 和泉国を含む畿内は、戦国期においても「日本国」内の先進地帯とされてきた。しかし近年の戦国期研究進展のなかで、畿内戦国史研究は個々の守護・地域権力研究を除いて低調なままである。本論集は和泉国とその周辺地域を対象地域に設定し、戦国期畿内の政治や社会の構造を問う十二本の論文を四本ずつ三部に構成して編まれている。第一部では戦国期和泉の権力像を大きく塗り替え、第二部では国と地域の枠組や文化・宗教から戦国期社会を見通す。第三部では周辺諸国や広域支配権力と和泉国の関係に迫る。そして、付編として研究の更なる飛躍の基礎となるデータである文書一覧を配する。 本書の編者である小山靖憲氏(元帝塚山大学教授)は、遺憾なことに本書の完成を待つことなく逝去された。本書に集った十二人はここに故人の遺志を受け継ぎ、新しい和泉国戦国史、ひいては戦国期畿内の歴史像を世に問うものである。 〔内容目次〕序論 戦国期畿内・和泉国研究の課題/一 戦国期畿内研究の展望 廣田浩治/二 戦国期畿内の権力論研究 古野貢/三 和泉国の戦国史研究と本編論文 廣田浩治/第一部 和泉守護・松浦氏と支配体制/細川氏庶流守護家の権力構造 古野貢/和泉守護代替り関連史料の再検討 森田恭二/細川澄元(晴元)派の和泉守護細川元常父子について 岡田謙一/和泉国松浦氏小考―永禄年間を中心に― 山中吾朗/第二部 戦国期和泉の地域と社会/戦国期和泉国の基本構造 廣田浩治/「政基公旅引付」にみる歌会と連歌張行 大利直美/戦国期公家領荘園と荘内寺社―九条家領和泉国日根荘を事例として― 坂本亮太/中近世移行期の和泉五社と別当寺―大井関明神の別当寺を中心に― 宮田克成/第三部 周辺諸国と和泉国/和泉国上守護代宇高氏と興福寺官符衆徒棟梁古市氏 田中慶治/畿内に出陣した紀州衆 弓倉弘年/十河一存と三好氏の和泉支配 天野忠幸/織田信長の東瀬戸内支配 藤田達生/付編 和泉国地域公権力受発給文書一覧/戦国期の和泉国地図/編集後記 |