新刊案内(06年11月)



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『複合辞研究の現在』

藤田保幸・山崎誠編
定価11,550円(本体11,000円)
(研究叢書357)A5判上製函入・351ページ ISBN4-7576-0389-4

「複合辞」(複合助詞・複合助動詞)の発達は、近・現代日本語の文法の重要な特徴であり、その意味・用法の的確な理解は日本語の運用の一つの基礎となるものであるが、こうした形式に関する研究はまだまだ十分に掘り下げられているとは言い難い。本書は、そのような問題意識のもとに、平成14〜16年度に科学研究費の交付を受けて行われた複合辞に関する共同研究の成果を、論文集の形で世に問うもので、複合辞研究に関する初めての包括的な研究書としての体裁を備えたものとなっている。収録された研究論文では、いずれも複合辞及び関連の形式を取り上げて多角的な考察が展開されており、それぞれが「複合辞研究」についての「現在」の研究水準を示すものだといえる。詳細な「複合辞関係文献目録」も付され、今後の複合辞研究の基礎文献となる一書である。

〔内容目次〕
はじめに/第1部・序論 複合辞研究の展開と問題点 藤田保幸第2部・研究論文 「言う」を用いた複合辞―文法化の重層性に着目して― 砂川有里子/複合辞「うえで」について―特に動詞の基本形に接続する「うえで」の特徴― 馬場俊臣/複合辞「〜くせに」について 藤田保幸/原因・理由の暗示的累加を表す従属節―こともあって・ことだし― 前田直子/新聞記事データに見る「につれて」「にしたがって」 山崎誠 /格助詞らしからぬ〈複合格助詞〉―ニツイテ、ニトッテ、ヲモッテ、トシテの場合― 三井正孝/複合格助詞「にとって」の意味と文法機能 杉本武 /「〜どころか」、「どころで(は)ない」とその周辺の諸表現―あわせて、「〜ばかりか、〜はおろか」等との比較― 服部 匡/複合辞研究と文法化―動詞が欠落した口語的複合辞を例として― 松木正恵/「ての」の用法について 丹羽哲也/集合を設定する「ウチ」の分布特性 江口 正/コピュラ再考 田野村忠温/複合辞「として」について―中国語との対照― 中畠孝幸・楊佳/日本語と朝鮮語における複合格助詞再考―対照言語学からのアプローチ― 塚本秀樹第3部・資料編 複合辞関係文献目録 山崎誠・藤田保幸/英文目次(Contents)/執筆者一覧




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『大学図書館の挑戦』
田坂憲二著
定価2,625円(本体2,500円)
(和泉選書154)四六上製・232ページ ISBN4-7576-0394-0
日本図書館協会選定図書

 予算と人員の少ない小規模大学の図書館で、利用者サービス、利用者教育、情報発信、書籍展示など、どこまで可能であるのか。地方の公立大学附属図書館で四年間に行われた様々な挑戦の記録。経済不況・外部委託という逆風の中でも、貴重書・稀覯本に恵まれなくとも、アイデア次第で実行可能な多くの業務がある。たとえ周回遅れの改革でも愚直に取り組むべきだとする新人館長の熱意が伝わる。図書館ツアー、図書委員懇談会、図書館だより、休日開館の試行、書籍展示等々を手作りで立ち上げる。特に、町春草・山内義雄・舟橋聖一・澤村田之助など玄人好みの特集をはじめ、細川書店から新潮社・河出書房まで出版社の特性を浮き彫りにし、小津安二郎からリリアン・ヘルマン、ジェームス・ディーンの生誕・没後の節目の年に行われた二〇回に及ぶ所蔵資料展の解説は壮観。他に、図書館の書籍の所蔵方法のありかた、書誌に装丁情報を加えるべき、WEB上の書誌情報の改善、など多くの提言を含む。

〔内容目次〕凡例/第一章 大学図書館の実験 一、大学図書館の実験 二、書誌情報の充実と図書博物館への道 三、川端康成全集のこと 四、幻の川端康成全集、幻の博物館 五、福岡女子大学図書館所蔵資料展について 六、図書館の今日と明日 七、装丁情報の目録化に向けて 八、人間国宝澤村田之助丈来学 九、本学の蔵書情報の改善に向けて 一〇、「図書館だより」など 1、図書館だよりの発行 2、雨の訪問者 3、学生図書委員懇談会を終えて 4、図書館ツアー実施のお知らせ 5、六月と図書 6、小さな図書館の小さな工夫/第二章 大学図書館の実践 所蔵資料展特集形式の試み 一、『豆腐屋の四季』と松下竜一署名本 二、町春草の著書と装丁本 三、翻訳本の世界(1)―日本から― 四、翻訳本の世界(2)―日本へ― 五、ダニエル・デイ=ルイスで読む英米文学 六、新潮社の世界文学全集に見る出版文化史 七、山内義雄の著述と旧蔵書 八、小津安二郎をめぐって(1) 九、小津安二郎をめぐって(2) 一〇、署名本・サイン本の世界(1) 一一、署名本・サイン本の世界(2) 一二、細川書店の本 一三、河出書房の世界文学全集に見る出版文化史(1) 一四、河出書房の世界文学全集に見る出版文化史(2) 一五、舟橋聖一の小世界 一六、大衆文学の世界 一七、古書目録とオークション 一八、三代目澤村田之助をめぐって 一九、自伝と評伝・映画と音楽 二〇、川端文学と美の世界 二一、小さな本の大きな世界/第三章 『川端康成全集』とNACSIS WEBCAT第四章 NACSIS WEBCATとWEBCAT PLUS/主要書籍検索システム・用語解説/あとがき




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都市福祉のパイオニア 志賀志那人 思想と実践』
志賀志那人研究会・代表右田紀久惠編
定価5,250円(本体5,000円)

(大阪叢書3)A5上製 函入・327ページ ISBN4-7576-0386-X

 日本の社会福祉は「西高東低」といわれるが、その歴史的背景に志賀志那人(しが・しなと)の存在があった。近代大阪として発展するかげに資本主義の波にのまれた底辺住民の存在は無視できなかった。志賀はそれらの人々を対等な人間関係のなかで、自立と協同を促す施策を大阪(北)市民館を中心に展開した。公吏としての志賀はその信仰に裏づけられた使命感と社会学的思想を駆使して山積する諸課題に挑戦した。その足跡はまさに先駆者の道であった。
 本書は、大阪文化の育成や子供の福祉を追求した志賀の近代社会福祉の構築を、今日的視点から検証するために新たな史料と研究視角からアプローチしたもので、大阪市社会福祉研修・情報センター所長右田紀久惠先生を中心とした研究成果である。このほか大正期の興味深い志賀の『軍隊日誌』や『書誌』『年譜』も掲載されている。

〔内容目次〕はじめに 右田紀久惠/温故知新―社会福祉と地域福祉の原点をみる― 右田紀久惠/志賀志那人の生涯と社会事業実践の思想 永岡正己/社会福祉史からみた「北市民館」の位置 西野 孝/志賀志那人の思想的発展と愛隣信用組合 小田康徳/北市民館保育組合における母親の協同と郊外保育 福元真由美/芸術化への意志―浪花節改良をめぐる実践と志賀志那人― 真鍋昌賢/『子供の世紀』と児童愛護連盟 堀田 穣/北市民館と大正デモクラシー 久保在久 /社会事業施設としての北市民館の建築的特色 新谷昭夫/志賀の市民館運営とそのネットワーク 森田康夫/父を語る 田辺香苗/史料・志賀『軍隊日誌』/年譜/志賀志那人研究書誌/あとがき 森田康夫



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