新刊案内(07年2月)



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『韻文文学と芸能の往還』
小野恭靖著
定価16,800円(本体16,000円)
(研究叢書360)A5・上製函入 679ページ ISBN978-4-7576-0399-8

本書は和歌と歌謡という密接な交流を持った二種類の韻文文学の関係に注目し、さらにそれらの韻文文学世界が音楽や芸能とどのようにかかわってきたのかを体系的に論じる著者四冊目の本格的な研究書である。全体は大きく論考編と資料編に分類される。論考編は、第一章「韻文文学の交流」で催馬楽、室町小歌、教化歌謡と和歌、狂歌、道歌との相互交流について具体的に論じる。第二章「韻文文学と音楽の交響」では和歌と歌謡という韻文文学と音楽との関係を通史的に考察する。第三章「中世歌謡と芸能の周辺」では中世歌謡と芸能との接点を探求する。第四章「近世歌謡と芸能の周辺」では、江戸期の歌謡を中心に韻文文学と芸能との多様な関係を解明する。後半の資料編には『美楊君歌集』の本文と総索引の他、近世初期と末期の流行歌謡の本文と各句索引の合計四種類を収録する。いずれも日本の歌謡及び文学・芸能研究において有益な索引資料である。

【内容目次】T 論考編 第一章 韻文文学の交流第一節 催馬楽出自の歌ことば第二節 和歌と催馬楽第三節 院政期の催馬楽第四節 芸能説話の生成第五節 『琴腹』研究ノート第六節 和歌・狂歌と室町小歌第七節 『一休和尚いろは歌』小考第八節 古月禅材『いろは歌』研究序説第九節 良寛の歌謡と和歌第十節 『道歌心の策』小考第二章 韻文文学と音楽の交響第一節 口承と書承の間第二節  歌謡の生態とテキスト第三節  子どもを歌う歌謡史第四節  古代・中世・近世の子どもの歌第五節  仏教関連古筆切資料考第六節  音の歌謡史第三章 中世歌謡と芸能の周辺第一節 室町小歌の音楽第二節 『閑吟集』に描かれた愛と性第三節 「朝川」考第四節 隆達・「隆達節歌謡」と茶の湯第五節 『美楊君歌集』小考第四章 近世歌謡と芸能の周辺第一節 近世歌謡の成立第二節 近世流行歌謡をめぐる諸問題第三節物売り歌謡研究序説第四節 物売り歌謡続考第五節 おもちゃ絵の歌謡考第六節 おもちゃ絵の歌謡続考第七節 『琴曲抄』影印と翻刻U 資料編第一章 『美楊君歌集』本文と総索引第二章 近世初期流行歌謡五種 本文と各句索引第三章 一枚摺りせんだい節♂フ謡集成 本文と各句索引第四章 『浮れ草』所収近世小唄調歌謡 本文と各句索引跋/収録図版一覧/索引(人名・書名・事項索引/歌謡索引)



 


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『天皇と文壇―平安前期の公的文学―
滝川幸司著
定価8,925円(本体8,500円)
(研究叢書361)A5・上製函入 520ページ ISBN978-4-7576-0402-5

平安時代には、勅撰集の存在が象徴するように、天皇の命令によって作成・編集された文学作品・文学作品集がある。天皇の命令である以上、国家の側が要求する文学ということになる。それを公的文学と定義すれば、一義の存在であったのは漢詩文である。そして、天皇を中心として公的文学を作成する人々の集団を文壇と名付ければ、公的文学生成の場は、天皇が頂点にあり、天皇のもとに人々(=官人)が集まる、天皇の文壇ということができる。その中にいかに漢詩文が存在するのか。いかに和歌が位置付けられるのか。その際、国家の側から規定される宮廷詩宴の存在が重要となってくる。天皇が主催し官人が参集し、漢詩文を作成する場だからである。本書では以下の三編に分けて、考察を加えた。第一編では、宮廷詩宴を軸として平安前期の文壇の内実と変容を探る。第二編では、個々の宮廷詩宴を取り上げて考証する。第一編・第二編は相補う内容である。第三編では、当時の政治体制の中に本来的に位置を持ち得るのが困難であった和歌が、いかにして公的社会に位置付けられたかを論じる。

【内容目次】序文/凡例/序論 天皇と文壇―平安前期の公的文学に関する諸問題―第一編 天皇の文壇 第一章 平安初期の文壇―嵯峨・淳和朝前後―/第二章 宇多・醍醐朝の文壇/第三章 村上朝の文壇/第四章 一条朝の文壇/付章 「風月」考―宮廷詩宴との関わりにおいて―/第二編 宮廷詩宴考証 第一章 内宴/第二章 重陽宴/第三章 花宴/第四章 曲水宴/第三編 公的文学としての和歌/第一章 宇多・醍醐朝の歌壇/第二章 延喜二年飛香舎藤花宴をめぐって/第三章 古今作者の官職をめぐって/第四章 『古今和歌集』の勅撰性について―二番貫之歌の位置をめぐって―/第五章 儀式と和歌―宮廷詩宴との関わりにおいて―/第六章 儀式の場と和歌の地位―天徳内裏歌合をめぐって―/資料編 宮廷詩宴年表/索引/初出一覧/あとがき




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『小説の面白さを語ろう』
佐藤和正著
定価1,260円(本体1,200円)
(IZUMIBOOKS11)四六・並製 151ページ  ISBN978-4-7576-0400-1
日本図書館協会選定図書

面白い小説に出会ったとき、他の人に何か言ってみたくなる。しかし、何をどのように語ればいいのだろうか。人に面白さを伝えることは難しい。このように我々の内に語ろうとする欲望を生み出しながら、同時に語ることの困難さを感じさせるような装置として小説を捉えるところから本書は出発する。たとえば小説の文章が個々の言葉の意味以上の何かを伝えてくるところから語りにくさが生じるとすれば、そもそも言葉の意味とは何なのか。また、小説はそのような装置であると同時に、語ることの困難を乗り越えて生みだされた結果でもある。語り難さを乗り越えるために、たとえば語り手はどのような役割を負わされ、どのような語り方を生み出してきたのか。こうした疑問に立ち返りながら、小説の「面白さ」に迫る。「面白さ」を語る試みを通して読書という行為の可能性を追求する。

内容目次】はじめに/第T部 小説への理解第一章 言葉の文脈を理解する/読むことと表現することのつながり/「バカ」は使いよう?/文脈から読み取る〈意味〉/何のために語るのか/第二章 文学とコミュニケーション―作者・作品・読者の位置づけ/文学と身内のコミュニケーション/読みかたの「正しさ」と客観性/作者はどこにいる?/言葉の〈意味〉を求めて/第三章 語り口の変容―主人公・語り手・読者の関係/「犯人はあの人だ」―受け手を意識する登場人物たち/虚構を支える語り手たち/現代の語り その1―庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』/現代の語り その2―吉本ばなな『キッチン』/第U部 小説を語る 第四章 空白の過剰性―村上龍『悲しき熱帯』/「リアルなもの」と物語/異境への帰還―『コインロッカー・ベイビーズ』/帰化するヒーロー―「フィリピン」/滑稽さと過剰性―「ハワイアン・ラプソディ」/観客としての読者/第五章 伝えることの難しさ―夏目漱石『こころ』/文学の耐用年数?/世代を超えて伝えること/異性への違和感/自分の世界に帰るとき/語り手のなかの聞き手/第六章 文学教材で何を語るのか―辻仁成『そこに僕はいた』/国語という教科/語ろうとする欲望と文学/沈黙によって語ること/道徳教育と文学/他者と出会う/参考文献/おわりに




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『循環型地域社会のデザインとゼロ・ウェイスト』
寺本博美編著
定価3,990円(本体3,800円)
(三重中京大学地域社会研究所叢書8)A5・上製・231ページ・ISBN978-4-7576-0397-4

ごみは人類の歴史と切り離すことはできない。環境問題は人間の経済活動と密接である。環境と廃棄物の問題を解決する方向は、逆説的である。経済と環境とは二律背反であるという従来の考え方への挑戦が始まった。環境と対峙し克服することは、人間活動の宿命である。まったく方向の異なる価値観の対立を同化することは、未来の社会ではなく今日の社会が解決しなければならない大きな問題のひとつである。本書は、イギリスの大気汚染と産業政策に淵源を求め、徳島県上勝町に端を発した日本版ゼロ・ウェイストとそれに関連する政策を中心に、地域社会の豊かさ追求の現実を、経済と環境が好循環する地域社会の発展という観点から、理論的・実証的に分析している。また、本書は、人口が減少し高齢化が進行する地域社会の再生と持続の鍵をとくに循環(自然、人、物、エネルギー)とゼロ・ウェイストに求めた地域経営の啓蒙書である。

〔内容目次〕はしがき/執筆者一覧/第1章 地域社会のデザインとゼロ・ウェイストの経済学/1はじめに/2地域社会のデザイン思考/3地域経済と環境経済/4ゼロ・ウェイストの経済学/5結びにかえて―循環型地域社会形成の課題―/第2章 ゼロ・ウェイスト政策への社会的費用論アプローチ/1はじめに/2大量廃棄型社会の構造と社会的費用/3社会的費用という概念について/4ゼロ・ウェイストにおける社会的費用、社会的基準/5結びにかえて―制度的視点からみたゼロ・ウェイスト政策の意義―/第3章 ゼロ・ウェイスト政策の展開―徳島県勝浦郡上勝町の実験1―/1はじめに/2上勝町の概況/3ゼロ・ウェイスト宣言以前のごみ処理政策/4ゼロ・ウェイスト宣言とゼロ・ウェイストアカデミー/5上勝町におけるゼロ・ウェイスト政策の効果と課題/6おわりに/第4章 ゼロ・ウェイストを通じた地域資源の活用と創造―徳島県勝浦郡上勝町の実験2―/1はじめに/2木質バイオマスの取り組み/3地域通貨の取り組み/4「日本で最も美しい村」連合/5おわりに/第5章 ゼロ・ウェイスト政策の最近の動向と今後の方向性/1はじめに/2自治体におけるゼロ・ウェイスト政策に関する動き/3自治体主導でない新たなゼロ・ウェイスト政策に関する動き/4ゼロ・ウェイスト政策の今後の方向性―トップ・ダウンかボトム・アップか―/第6章 バイオマスエネルギーを活用した地域内循環/1はじめに/2バイオマスエネルギーの現状/3日本における木質バイオマスエネルギーの利用事例/4三重県における木質バイオマスの取り組み状況/5おわりに/第7章 循環型社会における地域交通政策/1はじめに/2社会的共通資本としての地域交通―効率性とQOLの観点から―/3金沢市におけるTDM/4上勝町における地域公共交通政策/5おわりに―地域交通の継続と維持に向けて―/第8章 持続可能な地域社会の創造に向けて―Local Agenda21の経験から学ぶ―/1はじめに/2わが国における公共政策/3社会指標化への動向/4持続可能な公共政策/5結びにかえて―地方自治体の役割―/索引



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