新刊案内(07年5月)



61014-96.jpg 『源氏物語と音楽』
中川正美著
定価1,575円(本体1,500円)
(IZUMI BOOKS14)四六並製・256頁 ISBN978-4-7576-0414-8
日本図書館協会選定図書

 古事記の琴をはじめとして、宇津保物語、平安後期物語、平家物語、今昔物語集からお伽草子まで、物語の音楽の基底には必ずといってよいほど楽の音の奇瑞が横たわっている。しかし、そうした先行後追の物語と源氏物語との決定的な違いは源氏物語に楽の音の奇瑞が一ケ所としてみえないことである。音楽記述を多用し、場面に応じて雅びな、あるいは甘やかな、あるいはものさびしい楽の音を響かせながら奇瑞を峻拒する源氏物語は音楽にどんな意味を負わせているのか。音楽用語、楽器、音楽記述の型、楽の音の表現の特徴を他の物語、特に宇津保物語との比較を通して考察していくと、やがて源氏物語には楽の音が響かない世界が広がっていることに気づかされる。奇瑞を用いない源氏物語の音楽は同時代の物語の範疇にとうてい収まるものではなく、それをはるかに超えた世界を創出し、主題と関わっているのである。
一九九一年に和泉選書として刊行された本の新装版。

〔内容目次〕序 文学と音楽T 王朝貴族の音楽意識 貴族をとりまく音楽状況/楽/あそび/音楽用語からみた王朝文学/U 物語の音楽、源氏物語以前 古事記/初期物語/宇津保物語/枕草子と女流日記/V 琴から和琴へ 源氏物語の執筆/末摘花巻の恋/琴の魅力/六条院女楽の琴論/新しい美意識、和琴/虚構観の呈示/W 宴遊 音楽記述の型/宴遊の二面性/六条院に御遊びなどなき年/光源氏の生の軌跡/X 伝授・交情・一人琴 奏法の伝授・男女の交情/孤愁の一人琴/恋の推移/源氏物語の表現構造と音楽/Y 舞 王朝の舞/舞う側の記述/享受する側の記述/物語の舞/舞の魅力/Z 催馬楽 しゃれた応答/公の場で/私的な場で/人間模様の活写/[ 楽の音 楽の音の表現/和歌の喩/場面の象徴/秘琴の響き/方法としての楽の音/\ 源氏物語の主題と音楽 紫式部の音楽観/人と人とを結ぶ音楽/掻き合わせない女君/女の物語の構想/源氏物語の達成/] 物語の音楽、源氏物語以後 後期物語の奇瑞/浄土の音楽/音楽の説話化/王朝への憧れ/付 源氏物語の主要な音楽記述/あとがき



4月のページへ  6月のページへ


新刊情報はじめへ

注文はこちら


Go to Top