『宮沢賢治との接点
池川敬司著
定価3,360円(本体3,200円)
(和泉選書164)四六・上製・280ページ・ISBN978-4-7576-0469-8

《文学と音楽・詩の交感》

自らの位置を、日本の近代の〈詩〉や〈詩人〉、詩の思潮―日本の近代文学の展開―の直中に置き、それを前提にした上で宮沢賢治を究明した論集。
第五章 「文学と音楽のコラボレーション」 では、チェリスト大木愛一氏・ピアニスト田中紘二氏を迎え、『セロ弾きのゴーシュ』に登場する楽曲の実演を挟みながら作品を読み解いていく、新たな講演の試みも収録。


〔内容目次〕
第一章 作家論
 第一節 宮沢賢治の初恋と短歌―不可解な歌をめぐって―/第二節 宮沢賢治と鈴木三重吉―決して交わらない構図―/第三節 〈心象スケッチ〉のはじまり並びに補説―信仰の退行と文学の始動―
第二章 詩論 第一節 「屈折率」―詩のはじまりと惑い―/第二節 「くらかけの雪」、「日輪と太市」―迷いの行方、うつつへの眼差し―/第三節 「丘の眩惑」、「カーバイト倉庫」―自然交感のはじまりと孤独―/第四節 「コバルト山地」、「ぬすびと」―自然と人事の交錯―
第三章 童話論 第一節 「雪渡り」―雪原の遊戯―/第二節 「おきなぐさ」―無償の生の有様―/第三節 「虔十公園林」を読む―自然への覚醒と生きた証―/第四節 「谷」を読む―少年の日の〈通過儀礼(イニシエーション)〉―/第五節 「オツベルと象」―強迫観念に支配された哀れな男―
第四章 研究史 第一節 『校本全集』以後―開示された作品形成過程―/第二節 『春と修羅』第一集〜第三集―昭和五十五年〜平成五年まで―/第三節 『春と修羅』第二集―昭和四十年代〜昭和末年まで―/第四節 宮沢賢治と近代詩人―同時代詩人の受容と展開―/第五節 「東京」ノートと「東京」、「裝景手記」ノートと「裝景手記」、『春と修羅 第三集』と『春と修羅 第三集補遺』
第五章 文学と音楽のコラボレーション 文学と音楽の交感―宮沢賢治の童話「セロ弾きのゴーシュ」を通して―/後書き/索引

好評既刊■(価格は税込)
賢治論考 工藤哲夫著 定価5,250円
宮沢賢治作品集1〜3 沼田純子編注 各巻定価1,575円


『岸和田古城から城下町へ 中世・近世の岸和田
大澤研一・仁木宏編
定価3,885円(本体3,700円)

(上方文庫34)四六・上製・258ページ・ISBN978-4-7576-0481-0

《地域史研究に大きな刺激を与える一冊》

本書は、中世前期(13世紀)から近世前期(17世紀)にわたる岸和田の歴史を、中世史・近世史、考古学、城郭史、都市史などから総合的に解明する論文集である。
大阪府の南部、泉南地域の中核都市である岸和田市は、今も近世城下町の面影を残す歴史の町である。この岸和田が和泉地方の中心地の一つとして史上に姿をあらわすのは鎌倉時代。在地武士である岸和田氏は南北朝内乱で活躍し、室町・戦国時代を生きのびる。その居館(岸和田古城)が発達して、現在の岸和田城につながっている。近年、発掘され話題を呼んだ岸和田古城についての調査報告や、和泉地域の古城図についての貴重な図版を多くふくむ。
岸和田研究としてはもちろん、第一線 の研究者がつどい、多角的に地域の歴史を徹底的にほりおこした事例として、ひろく地域史研究の方法に大きな刺激を与える一冊。


〔内容目次〕
はしがき 大澤研一・仁木 宏
第一章 南北朝内乱における岸和田氏とその周辺 堀内和明
第二章 戦国期和泉の地域権力と岸和田城  山中吾朗
第三章 発掘調査からみた中世後期の岸和田―岸和田古城跡の発掘調査― 山岡邦章
第四章 『和泉国城館跡絵図』と城館研究―鬼洞文庫旧蔵絵図を中心に― 福島克彦
第五章 城郭史からみた岸和田古城と戦国期・近世岸和田城 中西裕樹
第六章 岸和田城下町の成立 大澤研一
第七章 譜代大名岡部氏と岸和田 岩城卓二
第八章  岸和田古城が残したもの―研究成果と今後の課題― 仁木 宏

好評既刊■(価格は税込)
大坂近畿の城と町 懐徳堂記念会編 定価2,625円
難波宮から大坂へ 栄原永遠男・仁木 宏編 定価6,300円
大阪の佃 延宝検地帳 末中哲夫解説編集・見市治一翻刻・中尾堅一郎企画編集 定価8,925円
戦国・織豊期城郭論 丹波国八上城遺跡群に関する総合研究 八上城研究会編 定価9,975円


『近世前期文学の主題と方法』
鈴木 亨著
定価15,750円(本体15,000円)

(研究叢書379)A5・上製・函入・611頁・ISBN978-4-7576-0480-3

著者50年の研究歴の中で書き貯められた論考より30篇を集成した論文集。
第一部では、『恨の介』『浮世物語』『二人比丘尼』『竹斎』等の仮名草子の主要作品を仔細に検討し、その主題や構成、文学史的位置付けについて、独自の見解を提示する。また、仮名草子や宗論におけるキリシタン思想の受容や反撥、それらに関わる仏教側の対応の様相を詳細に検討している。
第二部では、『好色一代男』以下の西鶴の諸作品について、主題の再考を試みる。特に『一代男』の主人公・世之介の青少年時代(巻一・二)の叙述をあえて教養小説的に読み解くことによって、単に異常な早熟児の失敗の滑稽のみでなく、好色スーパーマンのリアルな成長譚としての鑑賞を提示している。また、『諸艶大鑑』や『万の文反古』における人間観の深化を精密に考察する。
第三部では、妖魔・仏心の間を微妙に揺れ動く人間心理を描いた「樊噲」(『春雨物語』)の独特の文体を分析した論考をはじめ、『三人法師』『菅原伝授手習鑑』等についての論考を収める。


〔内容目次〕
一 仮名草子の思想史的探求
 仮名草子における教訓性と文芸性―『浮世物語』の構成をめぐって―/『恨の介』と『薄雪物語』/『恨の介』の主題と構成/『曾我物語』と『二人比丘尼』/『仁勢物語』瞥見/『為愚痴物語』の中道思想/『可笑記』の文体と思想/仮名草子における後生観/仮名草子におけるキリシタン思想の一考察/『竹斎』について/浮世房型人間像の成立/『竹斎』の方法/『一休咄』覚書/御伽草子的仮名草子の分析/『祇園物語』小考/『百八町記』の考察/近世初期の浮世思想/仮名草子における仏教思想の基調―鈴木正三の著作を中心に―
二 井原西鶴諸作品の考察 少年期の世之介/青年期の世之介/西鶴における養生の理念/『万の文反古』における一つの問題/「ほれぬ」という誓紙/西鶴の改作方法
三 研究余滴 大島嶺の家/『三人法師』小論/憂き世と浮き世―価値観の対立と融合―/病鴈小海老考/心放てば妖魔―『春雨物語』の一考察―/重層構造の展開―『菅原伝授手習鑑』を中心に―
あとがき/書名索引/人名索引

好評既刊■(価格は税込)
西鶴浮世草子の展開 森田雅也著 定価13,650円


『古今的表現の成立と展開』
岩井宏子著
定価13,650円(本体13,000円)

(研究叢書375)A5・上製・函入・476頁・ISBN978-4-7576-0459-9

 『古今和歌集』を中心に展開する表現は、『万葉集』を源泉としながらも、新しい趣向の下に、文学としての自覚と斬新な抒情に輝くものである。本書はこのような古今的表現において核をなす歌語に重点を置き、古今的表現世界の確立と展開を考察する。
第一章では歌語や歌材が誕生する時代の相を、政治的、文学的、或いは歌学の視点から捉え、考察例を挙げた。第二章では第一章よりも狭義の枠の中で、歌語が成立していく状況を述べ、同時に、古今的表現世界の特質を論じた。第三章では、古今的表現世界の確立に多大な影響を与えた漢詩と和歌との関わりを『白氏文集』との関連で詳説した。第四章は古今集時代の漢詩人に目を向け、和歌文学考察に当たっての漢詩人の思想などにも触れた。
本書は異国文化の導入と咀嚼がもたらした文学世界を広い視野の下に考察したもので、今後の和歌、漢詩研究はもとより異文化交流の活発な現代において有益な一書となるはずである。



〔内容目次〕
   新間一美/凡 例/はじめに
第一章 古今的なるものの生成と展開 第一節 「花がめに桜の花を挿す」考―藤原文化の萌芽 一、はじめに/二、古代日本の花の扱い/三、家持の四一五一番の歌について/四、古代日本の仏花/五、古代中国の折枝/六、邸内の桜から室内の桜へ/七、花瓶から花瓶へ/八、結び/第二節  「花の鏡」の歌―新歌材の受容 一、はじめに/二、呪的な鏡から映す鏡へ/三、日本漢詩に見える鏡表現/四、鏡と塵/五、鏡と梅/六、鏡の比喩としての水と鏡と花/七、「年をへて」と「年ごとに」/ 八、結び/第三節  納涼詠の生成―新歌材の受容と展開 一、はじめに/二、『万葉集』における涼感の表現/三、『古今集』における「涼し」/四、納涼詠の始まり/五、『拾遺集』から『後拾遺集』時代の納涼詠/六、納涼と屏風絵/七、結び/第四節  「天河紅葉を橋にわたせばや」の歌―古今的美意識の表現 一、はじめに/二、「天河紅葉を橋にわたせばや」の解釈/三、中国の七夕伝承/四、日本漢詩における鵲橋伝承の受容/五、和歌における鵲橋伝承の受容/六、「天河紅葉を橋にわたせばや」における「橋」と「舟」/七、結び/第五節 「心ざし深くそめてしをりければ」の「をり」考―古今的調べ 一、はじめに/二、「をり」の注釈史/三、「心ざし」について/四、梅と鶯の取り合わせ/五、結び
第二章 古今集時代の歌語の基盤と生成 第一節 「馬なめて」から「駒なめて」へ―体制の変容と歌語 一、はじめに/二、古代社会における馬文化/三、『万葉集』における「馬なめて」/四、古今集時代の遠出/五、『古今集』における「駒なめて」/六、結び/第二節  「わび人」の周辺―六歌仙時代の歌語 一、はじめに/二、『万葉集』における「わび人」/三、『古今集』における「わび人」/四、貫之とその周辺の「わび人」/五、九八五番の「わび人」/六、日本漢詩における厭世者表現/七、結び/第三節  「さみだれ」生成と基層―季節と歌語 一、はじめに/二、友則の「さみだれ」歌の周辺/三、貫之とその周辺の「さみだれ」歌/四、躬恒の「さみだれ」歌と「家持集」の「さみだれ」歌/五、時候表現としての「さみだれ」/六、当代人の「さみだれ」の時節意識/七、結び/第四節 「七夕の涙」考―説話の受容と歌語 一、はじめに/二、中国の七夕詩と『万葉集』の七夕歌/三、七夕の「涙」の歌/四、織女の涙と白露/五、鮫人説話と涙の玉/六、結び/第五節 「涙の玉」考―説話と仏典の受容と歌語 一、はじめに/二、鮫人説話/三、九世紀後半における鮫人説話の受容/四、漢文学における涙表現/五、歌語「涙の玉」の成立/ 六、別れの涙と衣裏珠説話/七、結び
第三章  漢詩と和歌の世界  第一節 『古今集』における黒髪詠の断絶と白詩 一、はじめに 二、『万葉集』における黒髪/三、「黒髪」詠の断絶と復活/四、主として六朝詩における「黒髪」/五、白詩以前の唐詩における「黒髪」/六、白詩における「黒髪」/ 七、日本漢詩における「黒髪」/八、黒髪から白髪へ/九、貫之周辺の髪の歌/ 十、結び/第二節 貫之の「老い」を鏡に映し見る歌と白詩 一、はじめに/二、映す目的を素材とする和歌と詩/三、『白氏文集』における鏡を詩材とする詩/四、貫之の歌における白居易の影響/五、結び/第三節  「雁」の詩と「かり」の歌 一、はじめに/ 二、万葉・古今の「かり」/三、中国詩の「雁」/四、日本漢詩の「雁」/五、漢詩と和歌の表現の位相/六、「かり」の歌の変容/七、結び/第四節  『土御門院御集』における「詠五十首和歌」 一、はじめに/二、「詠五十首和歌」TとUの概要/三、「詠五十首和歌」Uの句題「竹亭陰合偏宜夏」の作者表記/四、「詠五十首和歌」TとUの句題の対比/五、結び/第四章 古今集時代の漢詩世界 第一節 平安前期の納涼詩の世界 一、はじめに/二、中国における苦熱詩と納涼詩/三、日本における納涼詩/四、結び/第二節 島田忠臣における納涼詩 一、はじめに/二、忠臣の「夏日納涼」詩/三、忠臣の精神世界/四、結び/第三節  「風新柳の髪を梳る」考―都良香の世界 一、はじめに/二、内宴における宮女の姿態/三、万葉・古今における柳の詠/四、結び/第四節  菅原道真の「逍遙」をめぐって―道真の思想 一、はじめに/二、中国における「逍遙」/三、日本における「逍遙」/四、「山家晩秋」詩/五、白居易における「逍遙」/六、結び/おわりに/和歌索引/漢詩索引/書名・人名索引

好評既刊■(価格は税込)
文学史の古今和歌集 森 正人・鈴木 元編 定価3,360円
古今和歌集の遠景 徳原茂実著 定価8,925円


『藤村小説の世界』
金 貞恵著
定価3,675円(本体3,500円)

(和泉選書165)四六・並製・232ページ・ISBN978-4-7576-0482-7

本書は、韓国の日本文学研究者である著者の、長年に亘る島崎藤村研究の成果である。
構成は、『うたたね』の意味と構造を論じたもの、『うたたね』の創作基底に樋口一葉の影響を推論したもの、『老嬢』における女性の自立と挫折について論じたもの、『家』の持っている本来の意味と、日本と同じ近代社会でありながら、日本の植民地社会と言う状況の中での家の問題を描いた韓国の小説『三代』との比較を論じたもの、島崎藤村のナショナリズム的傾向を『巡礼』を通してその可能性を論じたもの、『破戒』と同じ部落民と〈白丁〉というモチーフを持った韓国の小説『日月』との比較を論じたものなどである。
ここに国際性豊かな島崎藤村の小説の世界を見ることができる。



〔内容目次〕
『うたたね』創作の基底『うたたね』の構造と意味
『老嬢』のアンビバレンツ的性格
「家」の空間―島崎藤村の『家』を中心に―
『夜明け前』と近代/『巡礼』のナショナリズム的解釈の可能性
島崎藤村の『破戒』と黄順元の『日月』との比較研究―疎外の様相を中心に―
島崎藤村の『家』と廉想渉の『三代』との比較研究
あとがき

好評既刊 ■(価格は税込)
島崎藤村遠いまなざし 高橋昌子著 定価3,885円


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