23373-96.jpg ■源氏物語千年紀記念出版■
『明治から昭和における『源氏物語』の受容 近代日本の文化創造と古典
川勝麻里著
定価10,500円(本体10,000円)
(研究叢書373)A5・上製・函入・467ページ・ISBN978-4-7576-0449-0

《『源氏物語』を近代日本人はどのように利用したのか。》

 
国内外の資料から近代日本の文化再創造に古典が果たした実用的役割を考える。末松謙澄が外交上の情報操作や明治国家の天皇親政の方向性作りに利用したのを始め、小説中の近代的人物造型作り、文学概念の形成、性生活における女性の解放まで、古典は実用に役立ってきた。外交官、イギリス・フランス・ドイツ・オーストリアなど各国のお雇い外国人、歴史学や国文学その他を教える東京大学の教授たち、芥川龍之介、菊池寛、小島政二郎、堀辰雄、舟橋聖一などが、『源氏物語』以下『今昔物語集』『日本書紀』『古事記』『平家物語』などの古典をどのように読んだかを、小説、翻訳、旅行記、文学史教科書などから分析する。また、歴史学や美術とは違う文学という概念がどのように作られたか、国民文学はどのように誕生したか、文学の研究や鑑賞がいつから始まるかなどの素朴な疑問についても考察する。

〔内容目次〕凡例/はじめに/第一章 日本の文化イメージと『源氏物語』 第一節 明治国家構想と日本の文化イメージ 一、外交と『源氏物語』 二、『源氏物語』の天皇呼称と明治国家構想 三、女子教育と『源氏物語』 四、資料編 【資料一】末松謙澄 “Genji Monogatari” 序文/【資料二】末松謙澄『英国諸礼観察報告書』(自筆全三冊、宮内庁書陵部所蔵、函番号一七〇―一二八)『源氏物語』引用箇所の翻刻/第二節 観光と日本の文化イメージ 一、外国人旅行記に見る観光/二、風景論から国民文学論へ―美術と文学の境界線―/第二章 ジャンル(学問領域)の編成と『源氏物語』 第一節 美術と『源氏物語』 一、美術史編纂と末松謙澄/二、美術および文学の芸術化/三、『源氏物語』の写実性/四、『源氏物語』の近代的小説構造/第二節 歴史学と『源氏物語』 一、文学の成型と東京大学の学科編成/二、想像力と実証性/第三章 東京大学における古典鑑賞 第一節 芥川龍之介とその信奉者たちの古典鑑賞 一、芥川による「王朝もの」の開拓と古典鑑賞の始まり/二、菊池寛と芥川龍之介の競作/三、堀辰雄と「王朝もの」小説/四、小島政二郎の「わが古典鑑賞」/第二節 舟橋聖一と学者たちの『源氏物語』鑑賞 一、学者による古典鑑賞/二、池田亀鑑と紫式部学会の発足/三、舟橋聖一と紫式部学会/第三節 新興芸術派と近代の超克―舟橋聖一を中心に― 一、新興芸術派の位置づけ/二、行動主義と舟橋聖一/三、反省する光源氏の知性/四、『源氏物語』と中間小説/第四節 「王朝もの」のビジュアル化 一、演劇における「王朝もの」の開拓/二、『源氏物語』単行本のビジュアル化/三、「王朝もの」映画の創始/おわりに/初出一覧/あとがき


 


36038-96.jpg 『夏目漱石 「自意識」の罠 後期作品の世界
松尾直昭著
定価5,250円(本体5,000円)

(近代文学研究叢刊38)A5・上製・307ページ・ISBN978-4-7576-0450-6
日本図書館協会選定図書

 
本書は、自意識が人間を「無縄自縛」の情態に追い込んでゆく過程を確認した上で、漱石の作品の主要問題分析に応用した作品論である。後期の代表作品である「三四郎」「それから」「門」「行人」「こゝろ」を取り上げている。「三四郎」では対人関係の中で、自意識が主体を迷走させてしまう問題を説明した。その際、主体を間主観的な存在として捉えたことは独自の視点である。また、自意識が何故に人間を精神的混乱まで追い込んでしまうのかを「それから」「門」で詳細に確認した。この混乱した主体を統合する手段として、禅仏教が作中人物達に希求されているが、禅の開示する情報を主要人物達が誤読しているために、「それから」「門」「行人」の主要人物達に慰安は訪れない。この問題を彼等の精神特性と関連付けて説明した。そして、しばしば自殺の原因が不明だと指摘される「こゝろ」では、明示されず暗示される事実から特別なメッセージを読み込もうとした。

〔内容目次〕前書き/「三四郎」における〈私〉の問題 「三四郎」論(一) 〈私〉のいる場所/「三四郎」論(二) 〈私〉の形成をめぐって―野々宮との係わりを中心に/「三四郎」論(三) 〈私〉の形成をめぐって―広田と与次郎との係わりを中心に/「三四郎」論(四)―美●(示+爾)子と三四郎との係わりを中心に 1/「三四郎」論(五)―美●(示+爾)子と三四郎との係わりを中心に 2/「それから」における自意識の罠 「それから」論(一)―「倦怠」と「自然」の係わりをめぐって/「それから」論(二)―逃げる代助/「門」における我執の相克 「門」論(一)―空白の時間をめぐって/「門」論(二)―参禅の意味をめぐって/「行人」における自意識の矛盾 「行人」論(一)―一郎の矛盾性の苦悩をめぐって 1/「行人」論(二)―一郎の矛盾性の苦悩をめぐって 2/「こゝろ」における自己完結性 「こゝろ」論(一)―「私」の意味をめぐって/「こゝろ」論(二)―「先生」「K」「奥さん」の意味をめぐって/「こゝろ」論(三)―「淋しさ」に関わる語り得るものと暗示し得るもの


 


36039-96.jpg 『歴史小説の空間 鴎外小説とその流れ
勝倉壽一著
定価5,775円(本体5,500円)

(近代文学研究叢刊39)A5・上製・307ページ・ISBN978-4-7576-0452-0
日本図書館協会選定図書

 日本の近現代文学史には鴎外、芥川をはじめ多くの〈純文学系の歴史小説〉が存在するが、その小説群は〈歴史小説〉として通時的・体系的に記述されず、大衆小説の一部、または各作家論の中で説明されるという異様な様相を呈している。
 その原因は歴史小説を〈歴史家のなすべき歴史叙述〉の〈補完機能〉において位置づけ、歴史家が望む〈あるべき歴史叙述〉の〈代行行為〉を求めて逸脱を断罪する範疇論と、歴史小説家の創作目的、方法、表現との決定的な乖離、相互不信にあると考えられる。
 本書第一章では文学史の記述上の問題の指摘、範疇論の分析により、純文学系の歴史小説が史実・史料準拠のみを第一義とする歴史叙述とは異なり、歴史的な時空間に展開される独自の芸術的営為であることを論述している。
 また、第二章では鴎外の歴史小説、第三章では鴎外の影響下に独自の世界を拓いた六名の歴史小説家の作品分析により、多面的な芸術的営為を解明している。


〔内容目次〕第一章 歴史小説の空間 第一節 歴史小説と歴史小説論 一 近現代文学史の問題 二 歴史叙述と歴史小説 三 歴史小説と現代的課題 四 芥川・菊池寛の歴史小説/第二節 歴史離れへの道 一 「歴史其儘と歴史離れ」の位置 二 「安井夫人」の問題 三 鴎外小説の流れ 四 『落城』連作の意義/第三節 田宮虎彦の歴史小説観 一 はじめに 二 鴎外の歴史小説について 三 歴史と歴史小説 四 現代小説と歴史小説の関係/第二章 森鴎外の歴史小説 第一節 初稿「興津弥五右衛門の遺書」の位置―「死遅れ」を視点として― 一 はじめに 二 「死遅れ」の問題 三 六丸襲封との関係 四 論争の解釈 五 乃木殉死と鴎外/第二節 「佐橋甚五郎」論―謁見の場の構図と日韓併合問題について― 一 はじめに 二 通信使来聘の史実と謁見場の構図 三 研究史通観 四 「警戒」と「意地」の内実 五 蜂谷事件・甘利殺害の問題 六 鴎外と日韓併合問題/第三節 「安井夫人」の問題―「歴史其儘」の苦悩― 一 はじめに 二 佐代像の問題 三 佐代の生涯 四 「安井夫人」の位置/第四節 「栗山大膳」論―「見切り」をめぐって― 一 はじめに 二 作品の構図 三 「見切り」の内実 四 後日談の意義/第五節 「ぢいさんばあさん」論 一 はじめに 二 伊織・るんの形象 三 刃傷の●(眞+頁)末 四 別離後の生活 五 おわりに/第六節 「最後の一句」私見 一 問題の所在 二 いち像の形象 三 対決の構図 四 「孝」の論理 五 「マルチリウム」と「献身」/第三章 歴史小説の展開 第一章 芥川龍之介「糸女覚え書」の構図 一 歴史小説の構想 二 語り手の位相 三 秀林院のおののき 四 「糸女覚え書」の位置/第二節 井伏鱒二「青ケ島大概記」の諷刺性 一 はじめに 二 作品の構造 三 彦太郎とその係累の話 四 名主次郎太夫と漁夫徳右衛門の対決 五 民衆史観の位相/第三節 田宮虎彦「霧の中」論 一 はじめに 二 史実との関係 三 岸本義介造型の意味 四 題名「霧の中」の意味 五 幸徳秋水のかげ/第四節 大原富枝「婉という女」論―歴史小説と自伝小説― 一 歴史小説の拒否 二 「秋砧」の位置 三 「生きること」 四 父親像の変遷 五 「もの」への回帰/第五節 井上靖「補陀落渡海記」論 一 はじめに 二 典拠と構想 三 作品の分析 四 渡海信仰の現実 五 清源の存在/第六節 中山義秀「咲庵」論―光秀反逆への「道」― 一 歴史小説について 二 典拠と構想 三 戦国の虫 四 義秀の光秀観/後記


 


42089-96.jpg 現代語訳付 笈の小文・更科紀行・嵯峨日記』
上野洋三編
定価1,575円(本体1,500円)

A5・並製・101ページ・ISBN978-4-7576-0457-5

《大活字本で学ぶ古典の名作》

 
『笈の小文』は、さまざまの種類の短章が記しとどめられた備忘録様のものを骨子とするらしいが、版本以前の作者自筆草稿の類が伝存しない。本文の作成については、各部に敢えて章題を付し、各章のポイントを確かめる形で行った。『奥の細道』制作直前の、芭蕉の筆致を確認する資料として、意義あるものと読みとれるように期待して。
 『更科紀行』は、右に続く月見の記であり、版本『笈の小文』に付載されるもの。『鹿島詣』と同じく、一気に記録された小旅行の「記」においての作者の筆力を感知させる。
 『嵯峨日記』は、『猿蓑』期の芭蕉の心境が、日記という形態を借りて巧みに捉えられた記録。
 三点いずれも、やがて執筆される『奥の細道』への準備が、どのように行われたかを知る意味でも、深い理解と鑑賞が期待される。本文の章段、頭註、口語訳に工夫をして、講義のテキストとして使用し易いように努めた。本文の大活字も魅力である。


〔内容目次〕凡例笈の小文 一 自号記 百骸九竅の中に/二 旅だちの興 神無月の初/三 道の記論 抑、道の日記といふもの/四 鳴海の興 鳴海にとまりて/五 保美へ 三川の国、保美といふ処に/六 伊良古崎 保美村より伊良古崎へ/七 尾張 熱田御修覆/八 故郷へ 師走十日余/九 旧里越年 旧里や/一○ 早春譜 初春/一一 新大仏寺参詣記 伊賀の国、阿波の庄といふ所に/一二 一句 さまゝゝの/一三 奉納二句 伊勢山田/一四 伊勢にて 菩提山/一五 吉野への旅だち 弥生半過る程/一六 旅路の憂さ 旅の具多きは/一七 長谷寺参籠 初瀬/一八 葛城山 葛城山/一九 峠 三輪/二○ 滝づくし 滝門/二一 吉野山 桜/二二 吉野の逸興 よしのゝ花に/二三 紀伊路 高野/二四 旅賦 跪はやぶれて/二五 大和路 衣更/二六 須磨浦眺望その一 須磨/二七 須磨浦眺望その二 卯月中頃の空も/二八 古戦場を弔うその一 東須磨・西須磨・浜須磨と三所にわかれて/二九 明石夜泊 明石夜泊/三○ 須磨浦眺望その三 「かゝる所の龝なりけり」/三一 古戦場を弔うその二 淡路嶋、手にとるやうに見えて/更科紀行 一 旅だち さらしなの里/二 僧との出逢い 何ゝゝといふ処にて/三 木曾路 高山奇峰、頭の上におほひ重なりて/四 馬上の奴僕 桟はし・寝覚など過て/五 更科の逸興 夜は草の枕を求て/六 山中の盃 「いでや、月のあるじに/七 付載句集一 かけはし 桟や/八 付載句集二 更科の月 さらしなや/九 付載句集三 留別吟 ひよろ?と/一○ 付載句集四 信濃路 木曾のとち/嵯峨日記 一 入庵 元禄四辛未卯月十八日/二 小督 十九日/ 三 落柿舎の記・談笑 廿日/四 閑居 廿一日/五 作句 廿三日/六 来客 廿五日/七 閑居・妄想・念夢 廿七日/八 読書 廿九日/九 来客来信 朔/一○ 曾良 二日/一一 惜別 一、四日/概説

■好評既刊■(価格は税込)
『新注絵入 奥の細道 曽良本』 上野洋三編 定価1,260円
『影印 奥の細道 付参考図集』 上野洋三編 定価1,260円


 


23376-96.jpg 『天草版『平家物語』の原拠本、および語彙・語法の研究』
近藤政美著
定価13,650円(本体13,000円)

(研究叢書376)A5・上製・函入・473ページ・ISBN978-4-7576-0461-2

 天草版『平家物語』は室町時代末期に来日したイエズス会の外国人宣教師たちが日本の言葉と歴史を学ぶためのテキストとして編纂された。和漢混交文の『平家物語』を当時の話し言葉に訳したもので、語彙・語法等を解明するのに最も重要な資料である。第一部ではポルトガル語式のローマ字で綴られた本文を漢字平がな交じりに翻字し、『平家物語』諸本(一〇〇種余り)の古写本・古版本の原本・写真・影印による調査と対照した。そして、範囲によって原拠にした『平家物語』の種類が異なることを明らかにし、現存の諸本を基準にしてそれぞれの位置付けを試みた。第二部では、『平家物語高野本語彙用例総索引』(自立語篇)・同上(付属語篇)・『天草版平家物語語彙用例総索引』を作成し、『古典対照語い表』(宮島達夫編)をも参考にして、天草版『平家物語』の語彙の比較計量的分析を試みた。たとえば室町時代・話し言葉・作品の内容という視点から、天草版『平家物語』の語彙の特色を把握したことである。また語法については、原拠本の本文に近い諸本との比較によって分析し、解明した。


〔内容目次〕まえがき/第一部 天草版『平家物語』の原拠本の研究 第一章 はじめに/第二章 原拠本研究史の概観/第三章 天草版『平家物語』の原拠本(〔イ〕の範囲) 〔T〕巻Tの原拠本―百二十句本系諸本との語句の照応を視点にして― 〔U〕巻U第1章(妓王)の原拠本―百二十句本系諸本との語句の照応の視点にして― 〔V〕巻Tの原拠本と『平家物語』〈早大本〉との関連/第四章 天草版『平家物語』の原拠本(〔ロ〕の範囲)―巻U第2章〜巻V第8章、および巻W第2章〜巻W第28章―/第五章 天草版『平家物語』の原拠本(〔ハ〕の範囲)―巻V第9章〜巻W第1章―/第六章 むすび/第二部 天草版『平家物語』の語彙・語法の考察 第一章 はじめに/第二章 天草版『平家物語』の基幹語彙(自立語)の計量的考察 〔第二章付録〕資料T 天草版『平家物語』の基幹語彙(自立語) 資料U 『平家物語』〈高野本〉の基幹語彙(自立語)/第三章 天草版『平家物語』の語彙(付属語)の計量的考察 〔T〕助動詞の基幹語彙 〔U〕助詞の基幹語彙/第四章 天草版『平家物語』の文末語の計量的考察 〔T〕ピリオド終止の語およびその文の種類との相関性 〔U〕ピリオド終止の場合の品詞・活用形などと文の種類との相関性/第五章 天草版『平家物語』の語法の考察―原拠本との比較を中心にして―/第六章 むすび/あとがき/〔付録〕天草版『平家物語』の日本語の音節のローマ字綴り

■好評既刊■(価格は税込)
『中世国語論考』 近藤政美著 定価12,075円
『校注 平家物語選』 近藤政美・濱千代いずみ編著 定価1,575円
『学生・教師・社会人のための漢字ハンドブック』 近藤政美・濱千代いずみ編著 定価1,890円


2月のページへ  4月のページへ


新刊情報はじめへ

注文はこちら


Go to Top