『伝存太平記写本総覧』
長坂成行著
定価8,400円(本体8,000円)

(研究叢書380)A5・上製・函入・248ページ・ISBN978-4-7576-0484-1

軍記物語の例に漏れず『太平記』にも100点以上の伝本があり、全体像の把握は容易ではない。この分野では高橋貞一『太平記諸本の研究』(1980年、思文閣出版)に纏まった成果はあるが、その後の写本の発掘や近年の研究の深化もあり、また他の軍記作品の研究状況とも併せ鑑みると、伝本を総覧すべき機は熟しつつあるというべきだろう。本書は現存する写本の解題だけでなく、長編の多様なダイジェスト版ともいうべき『太平記抜書』の類や、絵巻の類も含めて、現在は所在未詳ながら過去の記録・目録などに情報が載る伝本も可能な限り捕捉し、それら写本の実態を示すことにより『太平記』の流伝・享受の様相を明らかにしようとするものである。
なお『太平記』においては、諸本分類の指標のひとつとして巻区分のあり方が注意されるが、巻末に付した主要諸本九本の巻区分対照表はそのための有効な工具となる。
末尾には『太平記』写本関連年表、および諸写本の奥書・識語中の要語・固有名詞などにも及ぶ索引を付載した。


〔内容目次〕
『太平記』写本 甲類本 
【神田本系】 【西源院本系】 【玄玖本系】【南都本系】 【甲類本のうち、系統未分類】/乙類本丙類本丁類本流布本系統零本所在未詳本 【『参考太平記』所引で所在未詳本】 【江戸末までの記録・目録などに載るが所在未詳の本】 【展観などで存在が確認され、内容がある程度わかる本】 【昭和以降の目録などに掲載されたが未確認の本】 【焼失とされる本】
『太平記絵巻』・絵入本
『太平記抜書』の類 
【全巻の粗筋を要約した抜書】 【島津家本異文の抜書】 【『参考太平記』に関わる抜書】 【特定の地域・人物に関わる抜書】 【地名・人名等を総覧する抜書】 【語句に関する抜書】 【和歌などの抜書】 【部分的な抜書・抄出】 【古筆切】 【その他】
『太平記』写本(含『太平記抜書』の類)関連年表主要諸本巻区分対照表
索引 
〔立項諸本/立項諸本所蔵者/伝来関係者・寺社・地名・事項等/著者・論文等執筆者名/書名/蔵書印(票)印文〕

好評既刊■(価格は税込)
古態本太平記抄 長谷川端・加美 宏・大森北義・長坂成行編 定価1,890円


大塩平八郎と陽明学
森田康夫著
定価8,400円(本体8,000円)

(日本史研究叢刊19)A5・上製・函入・396ページ・ISBN978-4-7576-0487-2

 大塩思想は過激な陽明学でもなければ、勿論、体制擁護だけの儒学でもない。それは『孝経』を原点とした天地万物をつらぬく他者性に着目したすぐれた仁愛思想であった。さらに大塩は『古本大学』を通して正心誠意の心を体得することで至善を庶民と共有することを目指した。このような仁政の回復こそが大塩のめざす孔孟学としての陽明学思想であった。
 寛政異学の禁の余波のなかで大塩が朱子学に低迷していた時、中国から舶載された呂新吾『呻吟語』を媒介に陽明学を再発見し、ここから大塩の陽明学的学問形成が開始された。本書は大塩思想のこのような形成過程からみた本格的な総合研究で、大塩思想の全体像が初めて明らかにされたといえよう。
 なお1・2・3・5・7・11の各章は本書のために書き加えられた。とりわけ幻の書とされた大塩編『洗心洞唐宋元明清名家詩選』も初めてその全貌が注釈をくわえて紹介され、今後の大塩研究に欠かせない書となるであろう。



〔内容目次〕
第1章 大塩平八郎の陽明学への射程―呂新吾『呻吟語』の位置―
 はじめに/1 大塩の学んだ儒学/2 『呻吟語』との出会い/3 学堂東掲から『洗心洞箚記』へ/4 陽明学への探求
第2章 大塩思想の原点としての『孝経』 はじめに/1 近世朱子学における孝経観/2 陽明学の『孝経』受容/3 大塩遺著『孝経講義』の注釈/4 『増補孝経彙註』からみた孝経観/おわりに
第3章 『洗心洞箚記』における陽明学的構成 はじめに/1 『箚記』成立をめぐる言説/2 『箚記』の構成/3 平八郎の陽明学/4 『箚記』における儒教論/おわりに
第4章 大塩思想における『儒門空虚聚語』の意義 はじめに/1 『聚語』の構成/2 中国思想のなかの空虚霊無/3 大塩の機軸概念としての太虚/4 太虚観をめぐる評価と継承/おわりに
第5章 近世陽明学における『大学』受容の特徴と『古本大学刮目』の位置 はじめに/1 中江藤樹の『大学』受容/2 熊沢蕃山の特徴/3 三輪執斎の場合/4 『古本大学刮目』の意義
第6章 門人・西村履三郎からみた洗心洞 はじめに/1 履三郎の学問/2 自筆本『洗心洞唐宋元明清名家詩選』/3 洗心洞での生活/4 立教館柘植葛城との交流
第7章 大塩平八郎と天照皇大神信仰 1 政治理想としての古代/2 『洗心洞箚記』の富士・伊勢奉納/3 燔書と聖人の再来
第8章 大塩平八郎の被差別民観 はじめに/1 大塩をめぐる被差別民論/2 人間観としての天地万物一体之仁/3 町奉行所手下としての非人/4 大塩とかわた村/5 被差別部落民の乱参加の意味
第9章 心情の文学としての『洗心洞詩文』 はじめに/1 『洗心洞詩文』の主題/2 『洗心洞詩文』と『洗心洞唐宋元明清名家詩選』/3 大塩の詩文論
第10章 大塩思想の継承者・三宅雪嶺 はじめに/1 雪嶺の学業/2 雪嶺にとっての雑誌『日本人』/3 道理に立脚した日本文化論/4 陽明学の継承/5 良知を致せば聖人に至る/おわりに
第11章 大塩後素編『洗心洞唐宋元明清名家詩選』の世界より はじめに/T 『洗心洞唐宋元明清名家詩選』巻一/U 『洗心洞唐宋元明清名家詩選』巻二/おわりに
あとがき

好評既刊■(価格は税込)
浪華異聞・大潮餘談 森田康夫著 定価3150円
福沢諭吉と大坂  森田康夫著 本体5,250円

河内 社会・文化・医療 森田康夫著 定価2,940円  



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